がじゅまるの樹の下で。

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『南島雑話』の不思議な葬制

2018年07月20日 | ・和心な本、琉球な本

前記事の続き)

 

『南島雑話の世界 名越左源太の見た幕末の奄美』
(南日本新聞社/2002)

より、今度は私が特に印象に残った風習を1つご紹介。

 

それは『樹木葬』です。

 

亡骸を箱に入れて木に吊るす…というもの。

3年放置し、そののち洗骨して壺に納めるのだそう。

ただこれが一般的だったわけではなく、
特別な人がこのように葬られていたようです。

その特別な人というのは…
「ノロ」です。

奄美のノロも琉球のノロと同じく
精神的指導者として人々の信頼も厚く
祭りや祭事には欠かせない存在でした。

そのノロが亡くなった時の葬り方のよう。

聖なる山の奥地でこのように行い、
人々の立ち入りは近視。
樹に吊るすのは「神が天に上りやすいように」と書いています。

 

樹木葬…なんとも特異で不思議な風習です。

 

なお、このトピックの後半には
一般人の葬制の事にも触れていて、
(土葬や洞穴風葬なのですが)

「泣き男」「泣き女」を身分に応じて雇っていたのだそう。

悲哀に満ちて涙を誘うような
「泣きが上手い」人には報酬も高かったんだって(笑)

身分の高い家は「泣き男」や「泣き女」をたくさん雇って
たくさん泣かせた…ということでしょうか。

 

+ + +

 

この本には雪隠つまりトイレ事情や
様々な風俗、風習について
それから薩摩との関係などにも触れています。

また、
見たこともない異形の動物を見ると
「とりあえず食べてみよう」
となるのも奄美の人たちの気質が表れていてなんだか可笑しい。
(それでワニや見たこともない魚を食べちゃってます)

楽しく興味深く読めた1冊でした。

是非手元に欲しいな…。
(でも絶版中で古本でもなかなか情報ヒットせず…)


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