がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

当サイトの掲載写真・イラスト等の無断転載/無断使用を禁じます

カテゴリ説明

2009年08月17日 | ・徒然日記

ブログのカテゴリ、

肝高の阿麻和利やら琉球史跡めぐりやら、
沖縄関連の記事が増えてきたので
更に細分化しました

「燃えよ琉球魂」も
「琉球/沖縄 徒然日記」に改称。

手ぬぐいと、本と、史跡と、肝高の阿麻和利以外の、
沖縄関連の記事がこれにあたります。
(沖縄そばとか美ら海とかね)

でも、正直なトコロ、
記事の内容がかぶってたりするのもあるので
全部キレイに分けられたわけじゃないんですが…

1記事に複数のカテゴリ当てられたらいいのにな~。

そしたら検索が便利…

 

ちなみに、「和心この頃、徒然日記」は
いわゆる雑記です。
どのカテゴリにも当てはまらない報告とか本当の日記とか、
そういうのがこちら。

細分化されてきたので、カテゴリ案内の頭にサインをつけました。

■→手ぬぐい関連(染めもこちら) 
◆→琉球、沖縄関連
●→その他関連               
★→雑記

では、これからも当ブログ
「和心、この頃 手ぬぐい日和」をよろしくお願いします


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Ji Ji CAFE ブランチ

2009年08月17日 | ・沖縄のcafe、お食事処

ひゃぁ~~~

昨日もたくさんのアクセスありがとうございます~
(あと3アクセスあったら夢の大台?だったのに~(笑))

今日は手ぬぐいのことと、和な小物のカテゴリ記事も書きますので
お待ちくださいね。

さて、金曜日の首里城(&付近)散策のとき、
一緒にどこかカフェでおいしいもの食べながらゆっくりしよ~

って思ってお昼は軽くサラダだけ食べて出発したのに、

撮影で時間がなくってそれどころじゃなく、
美の壺が終わる10:30まで結局何も食べれず…
(アイスをちょっと買うなんてことすらしてなかったわ)

で、結局その日の夕飯は吉野家お持ち帰りですよ

 

そのことに未練があったし、
最近体にいいもの食べてないような気がする…ということで
昨日、カフェでブランチしてきました。

場所は北中城村のJi Ji CAFE

評判だったし前から知ってたけどなかなか行くタイミングがなくて
昨日初めていきました。

ランチタイムのワンプレート。

↑はコリアンチキン。

ぴりっと辛くてゴマの風味とねぎでおいしかったし
思ったよりもお腹にたまりました。

南米のスープですって出された最初のスープ。

すごい癖があるのかな?と思いきやすっと飲めておいしかったです。
こっちもゴマがいい感じ

カフェランチしながら手帳日記を書いたり、
旅行計画に思いを馳せたり、
ゆっくりさせていただきました!

※写真はケータイ撮影※

 

Ji Ji CAFE

場所: 沖縄県中頭郡北中城村島袋1422-3
電話: 098-987-7515
営業: 11:30~24:00
休み: 木曜日


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ご報告

2009年08月16日 | ・手ぬぐい活用術など

「あいっ、首里城レポートもいいけど、何か忘れてないねー?」

「このブログが少なくとも手ぬぐいブログを名乗ってるなら…」

「やさ、やさ」

「ちょいと、アレはどうだったわけ?」

「ああ、首里城手ぬぐい(梨園染謹製)のことなー?」

「新作がでたかどうか……」

「ちょいと一眠りしてから言うさー ZZZ…」

 

そ~んなのんきな首里城まやーぐぁ~たーはほっといて、
首里城手ぬぐいの御報告です!

 

新作は…!

 

なし~!

 

残念!

 

これまでのデザインと、これまでの色違いがあるだけでしたー。

こちらも美ら海手ぬぐい同様、ワタシは全て持ってて
全て紹介したわけではないんですが。
(私的にイマイチな紅型風手ぬぐいもあるものだからー無理してまでは買わない…)

例えばこういうものとか過去に御紹介してます

     
↑クリックすると記事にジャンプします

  

あ、そうそう。

半手ぬぐいみたいなものが新しく出てたんですが、
四方縫われてたし、裏あるし、
普通のハンカチでした。

少なくとも梨園染の半手ぬぐいではないです


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テンペスト行脚~夜の首里城~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

途端、漏刻門の太鼓が申の刻を告げる。

連動して首里の寺が一斉に鐘を撞く。

たちまち王都が深錆色の重厚な波紋に包まれた。

「テンペスト(下)」より

首里城の松明に明かりが灯ると、真紅の宮殿はその本来の美しさを見せる。

昼間は華美で豪奢に振舞う役者なのに、
夜になると物憂げな女の眼のようにぼうとその姿を闇に浮かばせる。

宴をそっと抜け出して夜風に吹かれる貴婦人。

それが夜の首里城だ。

 

「テンペスト(上)」より

王宮には二つの顔がある。

昼間は政治の中枢として知的な顔つきをしているが、
夜は紅をさす貴婦人に変わる。

もともと王宮は男装の麗人なのだ。

女が男に化けていると思えば、いろいろなことが腑に落ちる。

世界の宗教建築にも匹敵する華麗な装飾、
幾重にも着飾った過剰な色彩感覚、
そして美と教養のみに特化した頭脳。

智恵と論理で競い、風流を作法の中にしみこませた役人達は美の僕だ。

しかし、誰がこの美と教養の王国に嵐が襲い来ると思ったであろう。

尚氏開闢から五百年。

文化が爛熟した王国に翳りが差し始めていた。

その翳りさえも美にしてしまうのは神から愛された故だろうか。

男装の麗人から貴婦人に戻った王宮は、
メランコリーに耽っているように映る。

やがて散る身を憂えながらも最新のファッションをさりげなく着こなしてみせる。

これこそが美学だとでもいうように。

 

「テンペスト(上)」より

 

はいっ!

ながら~くお伝えしました、写真と文章でたどるテンペスト行脚レポート。
昨日の前半戦と、今日の後半戦(笑)。全15記事っ

一応、これでラストです。

首里城、他にも木門とか西のアザナとか龍譚池とか継世門とか玉陵とか
もうちょっとロケ地があるんですが、
タイムオーバーと言うことで撮れませんでした。
(9時過ぎまで粘ってましたが10:00から美の壺手ぬぐい特集だったから帰らなきゃ…だったのです

また機会があればシリーズ化したいです
同じくタイムオーバーで行けなかった福州園にも行きたいぞー!

一連のレポートは、リンクしている文章を探すのはそんなに難儀じゃなかったです。
もうだいたいあの辺にこの記述があったな~と覚えていたので。
(写真の整理のほうが難儀だったー。何百枚撮ってたんだろう?)

ただ、ワタシがチョイスした文章がベストかどうかは別(笑)

抜粋しました文章は、テンペストという物語の見せ場ではありません。

本当にドキドキワクワクする見せ場はこれ以外に山ほどあります。

是非、この機会にご一読をオススメいたします

 

あ、そうそう、
以前、記事にした「
泊外人墓地」とか「識名園」とかもテンペストロケ地なので
よかったら覗いてみて下さい


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テンペスト行脚~首里城/御庭、御内原~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■御庭(うなー)■

首里城は複数の建物で広大なパティオを形成している。

それが御庭と呼ばれる空間だ。

御庭に施された白と赤のストライプ模様が
正殿に向かって視線を勢いよく駆け上がらせるように演出させていた。

紫禁城をモデルに造られた首里城は琉球の美意識と融合し、
より華やかな宮殿となった。

王宮の森の緑と正殿の真紅が補色になって強烈な印象を与えるのだ。

「テンペスト(上)」より

尚育王から表十五人衆の証である紫冠の帽子が被せられる。

寧温も朝薫もまだ地位の実感がわかない。

お互いに目で「あれをやろうな」と合図した。

戴帽式を終えたふたりは、科試に合格したときと同じように御庭を駆け出した。

「おめでとう。孫親方!」

「おめでとうございます!喜舎場親方!」

 

「テンペスト(上)」より

 

■御内原(うーちばら)■

評定所が表記の世界なら、御内原は見ても記してはならない世界、
起きたことが語られない闇の世界である。

寧温を案内するかのように一匹のオオゴマダラがゆらゆらと飛んで行く。

白い翅は朝霧のように溶けて御内原へと誘う。

「お待ち。ここをどこだと思っている。
鈴を鳴らさずに入れば命はないぞ」

「私は評定所筆者主取の孫寧温でございます」

「表の世界の人間は御内原に入ることはできぬ。
それくらい知らぬのか」

「入れないのは男です。しかし私は宦官。
これからは御内原の出入りは自由にさせていただきますので、
お見知りおきを、女官大勢頭部様」

 

「テンペスト(上)」より

 

    

 

御内原はいわゆる琉球の大奥で、男子禁制の女だけの世界です。

現在、御内原は整備中で中に入ることはできません。

お分かりの通り、首里城再建はまだ現在進行形。
来るたびに少しずつ進化していく首里城。

一度来たことある、と言う方も久しぶりにまた訪れてみてはいかがでしょう?


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テンペスト行脚~首里城/御差床、正殿二階~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■御差床(うさすか)■ ■正殿二階■

真鶴は涙声で明の手を引いた。

「明……。正殿へ行きましょう…」

「ここが首里天加那志のお座りになっていた御差床です。

後ろに二階に上る階段があります」

真紅の階段を上がると余白を埋めつくすウルトラバロックにも似た装飾が、
荘厳なシンフォニーを奏でる。

 

「明、玉座に座りなさい」

「これより即位の儀を行います。

中城王子様、この王印をお受け取りください」

明の顔つきが王の威厳に変わる。

これは琉球王国の最後ではなく、新しい王朝の始まりだと思った。

民が生きている限り、どんな国でも造れる。

それが明の信念だ。

「今日は誠に吉き日である。新生琉球王国の生誕の日なのだから」

「余は王位に就かず民の心の中の王とならん。
どんなにこの国が荒れても、たとえ戦に巻き込まれても、
民の心の中に灯る希望とならん」

  

「テンペスト(下)」より


「今は耐えよう。きっとまたいつか花が咲くこともある」

いくさ世も済まち 弥勒世もゆがて

嘆くなよ臣下  命どぅ宝

  

「テンペスト(下)」より


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テンペスト行脚~首里城/南殿、書院・鎖之間~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■南殿■ ■書院・鎖之間■

昨日、勢いに任せて連続アップしたテンペスト行脚。

テンペストの舞台になっているロケーションを写真と文章でたどるシリーズです。

昨日はたくさんの方のご訪問ありがとうございます

せっかくココまで来たので、あともう少しお付き合いください

太字になっている部分が物語からの引用です。
(※文章を多少前後させたり略したりしているところもありますので御了承下さい)

では、再開~

王の執務室である書院では尚育王が夜勤を行っていた。

書院は正殿の中華様式とは異なり、純和風建築の建物である。

廊下ひとつ渡ると国が変わるかのような様式が王宮の特徴だ。

 

「テンペスト(上)」より 

 

尚育王が日本式の居間でくつろぎながらふたりに問いかける。

「どうした?2人とも顔色が優れないぞ」

王はこれが重責のせいだと知っている。

「首里天加那志。私は今、思いと言葉が離れていくのを止められません…」

「孫親方。これが国家の頂点だ。震えるのは当然のことである。
どうだ、この高みから見える世界は。
琉球が時代のどこにいるのか、どこに向かっているのか、
見たままを申すがよい」

 

「テンペスト(上)」より 

調査は王不在の書院を使って行われた。

純和風建築の書院は首里城の中でも異質な空間だ。

ここは主に薩摩の役人をもてなす場でもある。

紫禁城形式の正殿に隣接された書院は廊下ひとつで異国へ旅するようなものだ。

ここは日本かと雅博の知覚が一瞬麻痺する。

そして中に寧温の姿を見つけると滲むような笑みを浮かべた。

「孫親雲上。いや糺明奉行殿、お久しぶりです」

 

「テンペスト(上)」より

 

書院、鎖之間は比較的新しい再建エリアです。

朱塗りの正殿、北殿とちがって白木造りの南殿、書院は不思議な感じです。

中ではお茶と琉球菓子をいただけるエリアもあるのでオススメでーす♪


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テンペスト行脚~首里城/王印~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■王印■

「あごむしられ様、何をなさるのですか!」

突然、真美那は着ていた紅型のうち掛けの裾を「えい」と引き裂いたではないか。

 

真美那の船が琉球の海上から消えかける頃、
遍照寺の住職から真鶴にある包みが手渡された。

「これは真美那さんの紅型だわ」

真美那が一番気に入っていた牡丹の紅型が風呂敷に裁断されていた。

その包みの中を見て、真鶴は目まいを覚えた。

中には黄金の王印が入っているではないか。

第二尚氏王朝の王だけに受け継がれる国王のシンボルだ。

 

「真美那さん、明に希望を託したんですね!」

 

テンペスト(下)より

 

    

 

↑の王印が琉球処分の時から紛失している、というのは史実です。

写真はレプリカ。

これって……らくだ?

珍しく龍じゃないのです

 

連続記事アップ、つかれたー

でもまだもうちょっと写真あるぅ~。
南殿とか、書院とか、御内原とか、正殿とか

続きはまた明日ー。

あー、美の壺の記事書けなかった~


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テンペスト行脚~首里城/おせんみこちゃ、百浦添御殿重修仮奉行~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■おせんみこちゃ■

正殿の二階にある、おせんみこちゃと呼ばれる拝所は、
王宮がグスクと呼ばれる聖域であることを如実に示している。

首里城は聖域の中に行政機構を宿した巨大グスクだ。

おせんみこちゃへの拝礼は朝と夕方行われる。

「さしのあむしられよ、真美那が無事に出産するように祈ってくれ」

「御意。首里天加那志」

「それと真鶴の健康の祈願も忘れるな。国母も、王妃も、聞得大君も」

おせんみこちゃでは王の本音が聞けるのが利点だった。

――首里天加那志は真鶴様を気に入っていらっしゃるんだ。

 

■百浦添御殿重修仮奉行■ (笑)

「寧温が百浦添御殿重修仮奉行!?」

目を白黒させたのは朝薫のほうだ。

百浦添御殿とは正殿のことで修復事業の責任者に任命するというものだった。

正殿の修復が行われたのは1846年で十年余り前のことだ。
正殿の修復は30年を目安に行われるから、あ20年は手付かずの事業である。

「そう。孫親方は今日から百浦添御殿重修仮奉行よ」

「私はどこに勤めればいいんですか?」

「二十年後、王宮に呼び戻すわ。
それまで王宮への立ち入りを禁じます」

 

「テンペスト(下)」より

行脚とはちょっと違いましょうが、ちょうど只今正殿の漆塗り直しの作業中です。。。

コメント (2)
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テンペスト行脚~首里城/久慶門、北殿~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■久慶門■

表世界は民と繋がる空間だ。
王宮の門には一応門番がいるが、膂力よりも人格の良さが求められる。

ある日から、久慶門に明るい笑いが響くようになった。

「おはよう。おはよう。がはははは」

多嘉良は久慶門の門番になっていた。

「これはこれは孫親雲上、今日はお早いご出勤でございますな。がはははは」

「多嘉良のおじさん、門番の格好がお似合いですよ」

「だろう?わしも十年前から門番をやっているような気がしてならんのだ。
ついにわしも王宮勤務だ。ただし入り口までだがな。がはははは」

 

■北殿■

北殿の中は異様な緊張感だ。

ここが王府の全てを纏めている評定所である。

評定所筆者たちの熱気が床にも壁にも染み付いている。
ここで布令が書かれ、外交文書が作成され、全ての政策が決定される。

「すごい。ここが評定所か」

「私は今、本当に評定所にいるんですね」

 

「テンペスト(上)」より

出口はかつての職場である。

表世界はピンと張り詰めた思考の空間だ。

また王国の全てを把握する情報収集積基地であり、貿易を管理する総合商社でもある。
この厖大な情報にひとつの道筋をつけるのが評定所だった。

 

「孫寧温、ただいま八重山から戻りました!」

 

テンペスト(下)より


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テンペスト行脚~首里城/漏刻門、龍樋~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■漏刻門■

漏刻門の水時計が未の刻を告げた。

太鼓の音に合わせて寺の鐘がなる。

――いけない。申の刻までには御内原に戻らなきゃ。

寧温の一日には太陽と月の二つの顔がある。

側室に戻る時間が迫っていた。

 

「テンペスト(下)」より


 

■龍樋■

「多嘉良殿、この前の西瓜を持って参れ。三つ盗ったのを知らぬと思っているのか?」

「ちぇ。見られてたか。女房と子どもに食わせようと思っていたのに」

多嘉良は西瓜を瑞泉門の脇にある龍樋に漬けてあった。
この龍樋は王国一の名水と謡われる泉で、どんな干魃のときでも枯れたことがない。

亜熱帯の王国において、龍樋の水の冷たさは氷室よりも重宝された。

冷えた西瓜を抱えてやってきた多嘉良はあまりの冷たさに指をかじかませている。

「うひょおおっ!冷てえ。
前に御料理座の料理人が慶良間の西瓜を龍樋で冷やしているのを見て、
一度やってみたかったんだ。
首里天加那志はこうやって冷やした西瓜をお召し上がりになるのがお好みだそうだ」

 

女官大勢頭部は寧温を瑞泉門の脇にある龍樋へと案内した。
闇の中でこんこんと湧き上がる水の音だけが周囲に響いていた。

「この奥にかなり深い洞窟があるのです。阿片はそこに隠しました……」

 

「テンペスト(上)」より


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テンペスト行脚~首里城/系図座、京の内~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■系図座■

「系図奉行が寧温を探っているようだ。何か心当たりがあるかい?」

系図奉行は士族の戸籍管理をする部署だ。
奉行所の中でもそれほど重要な部署ではない。

「朝薫兄さん、心配しずぎです。私は系図奉行に疑われることなどありません」

そうは言ったものの、寧温の筆は止まっていた。

 

――そういえば兄上の系図はそのままになっていた。

 

 

■京の内■

紅の王宮の中に緑豊かな神殿がある。

王宮の中でも京の内と呼ばれる広大な敷地は王族神・聞得大君や
限られた神女しか立ち入ることのできないサンクチュアリだ。

この京の内が首里城をただの宮殿ではなく、
巨大グスクと呼ばれる神々の城たらしめている。

まるで綾取りのように一本の糸をつまむだけで、

男と女、神と人、面と裏、光と影が裏返り、
全く新しいパラダイムを見せる。

もっとも男が男として、女が女として生きていることを強いられている限り、
たとえ王でも首里城のすべてを知ることは不可能だ。

もしそれができる者がいるとすれば、
性を超越した存在だけである。

 

「テンペスト(上)」より


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テンペスト行脚~首里城/下之御庭、奉神門~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■下之御庭(しちゃぬうなー)■ ■奉神門■

「おお、孫寧温。君をまっていたぞ。ようやく決心してくれたんだな」

「違います。私は科試を受けるために王宮に来たのです」

「なんと初科に受かったのか!信じられん!」

踊奉行に手を引かれて入った王宮に寧温は息を呑んだ。

小奇麗な中庭の中央に立派な建物が聳えている。

「これが王宮ですか。なんと素晴らしい……」

「まだまだ。この先が本当の王宮だぞ」

寧温がいるのは下之御庭と呼ばれる王宮に入るための広場だ。

寧温が正殿だと勘違いしたのは奉神門である。

建物が門になっているなんて寧温は初めての経験だ。

 

「テンペスト(上)」より


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テンペスト行脚~首里城/守礼門、歓会門~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

テンペスト行脚、いよいよ首里城編です。

首里城はメイン舞台なだけに場面も描写も多いので
いくつかのエリアに分けて御紹介します★

ただ、夕方~夜にかけての撮影なので、
だいぶ写真の時間帯が前後してますが、御愛嬌でお願いします

では、再開ー ←トゥイ小(笑)

 

■歓会門■

「寧温、これを着て行け」

と自宅まで押しかけてきたのは多嘉良だ。

役人の正装である黒朝衣は自分が着るために仕立てたものだった。

「おまえはわしらの希望だからな。歓会門まで送ってやるぞ」

「ここが歓会門……」

石造りの曲線に寧温の視線がカーブを描く。

重厚な歓会門は俗世と王宮を分ける堅牢な隔壁だった。

寧温が真鶴と名乗っていた頃、
一生この門を潜ることはないと諦めていた栄光の門が、今まさに開かれた。

「科試を受ける破天塾の孫寧温です。お通し願います」

  

「テンペスト(上)」より

 

 

■守礼の門■ ■歓会門■

ペリー提督はあくまでも公式な訪問を望んでいた。

私人として王宮に入ることなど意味はない。
これと同じことを江戸城でもするのだ。

予定通り王宮の外に立つ守礼門を通過する。

王府の案内人は久慶門のほうへ導こうとする。

「待て。清国の貴賓門のような門があそこにあるぞ」

東洋では身分によって潜る門が異なることをペリー提督は知っていた。

「あの門は修復中でございます」

「構わん。あの門を使え」

“Open the gate!”

 

「テンペスト(下)」より


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テンペスト行脚~金城町の石畳~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■金城町の石畳■

ある雨の日、番傘をさした朝薫はふらりと金城村の石畳を下っていた。

前だけを見て走ってきた朝薫の人生にゴールが見えてきた。

「雨が昔を思い出させるなんて知らなかったな。
僕も歳をとったということか」

琉球石灰岩でできた石畳は潤いの似合う小径だ。

雨の日はまるで海中都市を歩いているように錯覚させた。

緩やかに蛇行した坂道を下っていると、
いちいち目の前の景色に驚かされる。

傘に籠もる雨の私的な音が、
この情緒を独占しているかのように思わせた。

ある民家から質素な着物姿の女が主人と談笑している声が聞こえた。

たぶん、機織の腕を買われて士族の反物を織ったのだろう。

面をあげた女の顔に朝薫は息を呑む。

――寧温!

  

傘も差さずに民家から出てきた真鶴を朝薫は呼び止めた。 

 

朝薫は人目につかないように寧温を樋川へ誘った。

爽やかな苔の緑と清涼な泉は密やかな会話に聞き耳を立てている。

「日本に維新政府が誕生したのを朝薫兄さんはどう思いでしょうか?」

「どういう政権になるのか見当もつかないが、琉球に興味があるのは確かだ。
概ね薩摩よりも紳士的な扱いだ。利用する価値はある。
もしかしたら奄美だって返ってくるかもしれない」

「いいえ。琉球は維新政府に利用されたのです。
日本は帝国を築く第一歩を琉球からと決めたのです」

 

「君は琉球が滅びてもかまわないのか?」

「民はたとえ国が滅びても生きていけるほど強いのです」

 

「テンペスト(下)」より

 

金城町の石畳。

すぐ近くに親戚がいるのでここは私にとって
那覇の史跡(?)の中で1番なじみのある場所です。

ちなみに、この民家はNHK「ちゅらさん」の主人公、
古波蔵家の外観に使われた屋敷です


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