鬼鷲ー琉球王尚巴志伝ー
2016年8月28日(日)
国立劇場おきなわ(大劇場)
今年度初の現代版組踊観劇、
夜の部に行ってきました!
世界無形遺産「組踊」の専用舞台
「国立劇場おきなわ」で
現代版組踊が演じられるのは2005年以来のこと。
(まだワタシが現代版組踊とも琉球史とも出会う前…)
平田さんもスタッフさんも子供たちも
感激ひとしおであったことでしょう。
さすがの舞台設備(迫や花道も!)、
舞台音響でした。
スクリーンを使ったオープニング、
タイトルバックには
「かっこいい!映画みたい!」
ってなりましたね。
花道はワタシの座席からは
効果的に見れなかったのが残念でしたけど
メンバーには交流で会津メンバーも5名参加していて
一緒に舞台に立っていたのも印象的でした。
客席にいた大阪メンバーもダイナミック琉球で演舞合流☆
現代版組踊の横のつながりが広がっているのは
ファンとしてはとっても嬉しいデス
メンバーさん、保護者のみなさん、スタッフさん
お疲れ様でした!
今回も素敵な舞台をありがとうございました。
*
前回同様、澪之助がすでに素敵な
イラストレビューをツイッターにアップしてるので
是非そっちも見てくださいね。
さて、ワタシのレビューはというと、
ちょっとこれまでと調子が違うかも。
演出やシーンの一つ一つや
役者一人一人については
基本書かず、舞台全体の印象を書きます。
妙に小難しくとらえてしまっているのかもしれないけど
初演からずっと見続けてきた者としての
正直な印象、
そして今、思うことを
ワタシなりにまとめてみました。
今回の舞台、
全体的な印象は、
正直に言うと
こーんな感じでした
あちゃー…みたいな。
いや、もちろん舞台全体のレベルは高いし
皆キラキラ輝いていましたよ。
でも、
…尚巴志以外のキャラ、
濃すぎでショ…。
おねぇキャラなアカインコも
"巨体"のオモロも、
キャラとしては面白いし
演者さんの役変化もすごいと思ったけど、
おいおいおいおい、大丈夫か…???
ってなりました。
異色キャラの二人だけでなく、
「迫」の舞台装置を唯一使った鮫頭も、
大変革・本部平原&攀安知(+乙樽)もそう。
今回は北山戦が大変革すぎて
前回とは違って、残念ながら
尚巴志に意識を戻すことはできませんでした…。
一人一人が芸達者だっただけに
場面場面はもちろん楽しかったし
見ごたえもあったのですが、
尚巴志が主役の舞台全体のバランスとして
これでいいのかな…?と
少し疑問に持ったのも事実。
それに
音楽(芸能)で国を一つに、
という物語の柱も
個人的にはとても好きなのですが
よく考えたらそれってあまり尚巴志関係ないような…?
よって最後は完全にアカインコと尚真が持って行っちゃう。
(それともそれが狙いなのか…?)
統一の過程の中で戦が避けられなかった
尚巴志の苦悩とか葛藤とか
だからこそ統一の暁にはどんな国を目指すのかとか
伴侶・神女としてのきよらの役割とか
そういう部分がもっともっとクローズアップされても
いいような気がしました。
(全然ないわけじゃないけど…
さらっと流れてたり以前はあったけど消えてたり…)
そうすれば、その数多の屍の上に築いた琉球王国と
その先に尚巴志が目指したビジョンを
尚真が引き継ぐというか、改めて立て直すというか
(尚巴志死後もずーっとごたごたが続いてましたからね。
志魯布里の乱、護佐丸・阿麻和利の乱、喜界島討伐にクーデター、
尚真代になってからも八重山討伐に久米島討伐、奄美遠征っと……)
そのようなリンクが
もっと明確にもっと深くできるんじゃないかな?
昔は「天の時、地の利、人の和」という
尚巴志の生き方に対するキーワードがあったし、
万国津梁の鐘を利用して
立国のスピリットが語られていた時期もあったのですが…
ふりかえって改めて考えてみると
尚巴志の舞台はなかなか物語の核が定まらないデスね…。
うーん。
なんでこんなこと考えたかと言うと、
ワタシは初めて「肝高の阿麻和利」を見た時
まず主役である阿麻和利にすごく惹かれて
興味が出たんです。
その人そのものが知りたくなった。
そこから入って芋づる式に時代背景とか
周辺情報とか色々学んでいったんだけど。
さて、
今回の舞台を初めて見た人に
印象に残ったシーンを聞いたら
どれだけ尚巴志のシーンをあげるかな、と。
(鮫退治もインパクトは尚巴志<鮫なんだよなぁ…)
どれだけ尚巴志という人物に
重みや深さのある演出があったかな、と。
ちょっと考えちゃったんですね。
アカインコがウケたとか
シンさんがかわいかったとか
本部と攀安知がかっこよかったとか
鮫がすごかったとか
そっちをあげる人の方が多いんじゃないかな?
なんか難癖付けてるみたいでごめんなさい
ドラマチックに死ぬシーンのある
阿麻和利やアカハチの物語とは種類が違う
というのは分かってますが、
もっと尚巴志自身の人間性を掘り下げた
尚巴志という人間そのものに興味が出るような
そんな見せ方が出てきたらいいな、
そんな尚巴志の舞台も見てみたいな、
と思いました。
*
はい。
小難しいぼやきはこれくらいにして、
今回の舞台での1番のハイライト、
北山戦についてだけは特筆しておきます。
北山戦の見どころは
本部の裏切りと攀安知との対決
そして死。
これまで本部平原は
多少温度差はあるものの
密かに王位簒奪を狙う
正真正銘の「裏切者」でした。
しかし今回は
本部平原、
ヒーロー枠に完全昇格。
攀安知は裏切れない、
(不満を言う与那覇を諭すほど)
でもこのままではダメなのは分かる
でもどうすればいいのかわからない
葛藤の末、
北山の民のため、
裏切らざるを得ないのか、
という結論に至る。
そして、
裏切りを明かした本部が
攀安知に発した言葉。
「あなたは変わってしまわれた…!」
本部の怒りと悲しみ。
攀安知も裏切られた怒りの前に
まさかという大きな動揺。
対決する二人だが、
最終的には攀安知は自ら刀を投げ捨て
本部の刃に倒れる。
思わず本部は攀安知に駆け寄り、
この戦場から共に逃れようとするが
攀安知は
「お前だけでも行け-!!」と
本部を突き放す。
そして倒れる攀安知。
ゆったりとしたサンシンの調べに
舞台両端で舞う乙樽ときよら。
静かに死にゆく攀安知。
(個人的には阿麻和利オマージュな
攀安知の霊と乙樽のやり取りは
なくても良かったかな。
乙樽は淡々としてたほうが
よりクールでミステリアスだったかも)
本部は瀕死の状態で
戦場から去ってゆく…。
to be continued
みたいな!?
「北山の風」のヒーロー本部との誤差は
この舞台をもってなくなりました。
真逆の人物像ってのも
面白かったんだけどね…。
この本部像が今後もこのままなのか
それとも今回の演者さん特有のものだったのか
今後も北山戦に注目☆ですね。
ってか、「北山攻防譚(★ ★)」また見たいな…。
(そして護佐丸は雑魚扱いだった…(笑))
*
前回、前々回と砂を吐いていた
尚巴志のプロポーズのシーンは
ちょっと尺が伸びてキザさはだいぶ薄まってました(笑)
二人が結ばれるのも天命、みたいな。
前回までは
こんな回りくどく言わんで
スパッと嫁に来いって言わんか!
って思ってたんで(笑)
*
今回のスペシャルゲスト、
大城クラウディアさん。
クラウディアさんと言えば
前回の世界のウチナーンチュ大会の時の
「シンカヌチャー島の祭」でのコラボ。
舞台のシーンと歌声が相まって
すごく印象的だったのを思い出します。
今回も透き通った伸びやかな声で
魅了してくれました。
そういえば現代版組踊の歌姫と言えば
カナサ(愛)は元気?
(ってゆーか、タオのスタッフ、皆元気ですか!?)
と思ってたら、
あら!活動休止で明日ラストライブですか!
ってか、結婚もされていたとわわわわゎゎ…(゚0゚;)
それは知らなんだ…。
いずれまた沖縄に戻ってくるようですが
新天地アメリカでパワーアップして
また素敵な歌声を聞かせてほしいですね。
おっと、鬼鷲から遠ざかってしまったので
では今回はこの辺で。。。