年の暮なので、昔の拡大造林とこれからの再造林について、考えて いや、妄想してみました
僕の手元に、1963年(昭和38年)に作成された「和歌山県勢」という本があります。
実は、今、住まわせていただいている家が、築100年くらいの立派な家で、古い本を漁っていたときに見つけました
当時の和歌山県の財政状況や人口、そして、各市町村の状況がまとめられています。
もちろん、一番気になったのは、当時の和歌山県の林業について。
今回は、当時の造林について簡単に紹介したいと思います。
当時の用材林の伐採量は、約59万立方(素材生産量を示しているかはわかりませんが)で、用材林の年間成長量は約41万立方と過剰な伐採が問題視されていたそうです。
そこで、過伐の解消と国土保全のために造林の長期計画が推進されるようになりました。
そして、将来的に、人工林面積を大幅に拡大し、資源の増強と成長量の確保を図ることとしています。
そのために、造林に対する補助や融資を行うとともに、雑木林や粗悪林などの採算の合わない林地を人工林に転換するといったことも書かれています。
僕が気になったのは、「雑木林や粗悪林などの採算の合わない林地を人工林に転換する」という文面。
前にも掲載しましたが、下のグラフは、林野庁の統計資料にあるシイタケ原木とスギ・ヒノキ・カラマツの価格を示したものです。
☆スギ・ヒノキ・カラマツの価格は製材用の中丸太(直径14cm以上30cm未満)の価格です☆
昭和38年のデータはありませんし、スギ・ヒノキ・カラマツの価格は、簡単に一定の数値に置き換えることはできないので、一概には言えませんが、「採算性の合わない雑木林や粗悪林」を人工林に転換したのであれば、これからの再造林は・・・
「用材として採算性のある山をスギ・ヒノキ、シイタケ原木として採算性のある山をコナラ・クヌギを植える」
ではないのか・・・というのが、今回の妄想。
正確には、「何を植栽すれば採算性が高いのか」というのが、これからの再造林ではないか・・・という妄想ですね。
これに、経営も委託・請負なのか、内製・自営(自伐)なのか、立木売りなのかという点や出口・需要のことも考えないといけないと思います。
特に広葉樹は、萌芽更新が期待できるので、再造林不要など育林経費を抑えられるメリットや短い周期で収入が得られるというメリットもあります。
また、和歌山県の場合は、「紀州備長炭」というブランド炭もあるので、ウバメガシやアラカシという手も考えられます。
今年の林業経済学会でも、ウバメガシ林の方がスギ・ヒノキ林よりも経済性が高いという報告もあります。
→ http://www.jfes.org/kenkyukai/JFES_2015_Fall/2015_yoshi_A2.pdf のA7にその報告が書かれています。
と、妄想を膨らませていると・・・
所有山林に何を植えれば採算性が高いのか。
そして、所有山林内の資源を使って、地域を活かせる方法は何か。
他業種の人も含めて、様々な人たちが集まり、知恵を出しあって、色々な方法を考えることが重要ではないか。
やはり、そこに行き着きます。
とは言え、樹種転換・林種転換は時間もかかるし、大変です。
人に勧める前に、まずは自分で実践。
ということで、竹林を薪炭林に転換中・・・。
★これに関連した記事(再造林の樹種選択)はこちらです
→ http://blog.goo.ne.jp/yamaikora/e/63dbc2d900b5a215e7d58fc1b476921f