スギ林やヒノキ林を伐採した後に広葉樹を植栽すると、その周辺の林分で獣害被害のリスクが高まるのか?
という研究が第127回森林学会大会にてポスター発表されていました。
参考までに発表ポスターの写真は撮影させていただきましたが、ここへの掲載は控えます。
広葉樹林化を進めた場合、シカやクマによる剥皮被害が高まる地域を色分けマップにして、分かりやすく、まとめておられました。
シカによる剥皮リスク。
関西をはじめ西日本は、ハイリスクの赤色が多く、九州(熊本県・宮崎県あたり)や四国(特に徳島県)も赤色が目立ちました。
東日本は関東に赤色が固まり、北海道も赤色が多かったです。
東北などの東日本では、シカの生息頭数が、今はまだ少ないものの、広葉樹林化が進めば剥皮を受けるリスクは高くなるとのこと。
クマによる剥皮リスクは、全体的にハイリスクの赤色は少なかったです。
さて、環境志向が高まる中、広葉樹林化の取り組みは進められています。
しかし、この取り組みを進める裏側で、実は、獣害リスクを高めているということの認識を持つことが、これからは重要だと思いました。
決して、広葉樹林化を否定しているわけではありません。誤解しないで下さい。
植栽樹種がスギやヒノキであろうが、サクラなどの広葉樹であろうが、結局のところ、植栽地や伐採地、伐採跡地にシカは集まります。
そして、伐採や植栽、作業道開設など山で行う施業は、「シカを増やす」ということに繋がっています。
これから広葉樹林化を進めようが、再造林を進めようが、そういった行為そのものが、シカの繁殖を促していることを認識する必要があると思います。
今回のポスター発表は、それを裏付ける1つの根拠になるな~と思った次第です。