蝉のなる木

2009年08月23日 08時45分42秒 | ホラーのかけら

実家の近くにグランドがあり、
それを囲むように大きな木が植えられている。

グランドの横を歩いていたら、
木の幹に蝉がいるのを見つけた。

子どものころだったらさぞやテンションが上がっていただろう、
そう思いながら歩いている、
別の木に今度は2匹蝉がとまっていた。

一緒にいた実家暮らしの母親が言う。

「こっちの木に蝉がよくいる」

グランド横の木は、
残念ながらその名前はわからないが、
樹皮が細長い甲羅状の木と、
樹皮が薄い色で滑らかな木という
対象的な2種類が交互に植えられており、
滑らかな樹皮にしか蝉の姿はない。

母親に導かれて、
滑らかな木の裏側、
つまり通りに面していない側を見てみると、
そこには僕の身長程度の高さに、
蝉が5,6匹とまっていた。

「これはみんな今朝かえった蝉」

そうか。
今朝、羽化したばかりだから、
こんな低いところにとまっているのか。

たしかに木の麓を見れば、
そこには抜け殻が落ちている。

よく虫取りをしたころ、
こんな光景を見たことはなかった。

蝉は常に木の高いところにおり、
網を伸ばさないと取ることはできなかった。

どうしてこんな所に蝉がいるのか。

今年が大量発生の年なのか。
それとも子どもたちが虫取りをしなくなったからなのか。

それはなんとも非現実的な光景だったのだ。