実家の近くにグランドがあり、
それを囲むように大きな木が植えられている。
グランドの横を歩いていたら、
木の幹に蝉がいるのを見つけた。
子どものころだったらさぞやテンションが上がっていただろう、
そう思いながら歩いている、
別の木に今度は2匹蝉がとまっていた。
一緒にいた実家暮らしの母親が言う。
「こっちの木に蝉がよくいる」
グランド横の木は、
残念ながらその名前はわからないが、
樹皮が細長い甲羅状の木と、
樹皮が薄い色で滑らかな木という
対象的な2種類が交互に植えられており、
滑らかな樹皮にしか蝉の姿はない。
母親に導かれて、
滑らかな木の裏側、
つまり通りに面していない側を見てみると、
そこには僕の身長程度の高さに、
蝉が5,6匹とまっていた。
「これはみんな今朝かえった蝉」
そうか。
今朝、羽化したばかりだから、
こんな低いところにとまっているのか。
たしかに木の麓を見れば、
そこには抜け殻が落ちている。
よく虫取りをしたころ、
こんな光景を見たことはなかった。
蝉は常に木の高いところにおり、
網を伸ばさないと取ることはできなかった。
どうしてこんな所に蝉がいるのか。
今年が大量発生の年なのか。
それとも子どもたちが虫取りをしなくなったからなのか。
それはなんとも非現実的な光景だったのだ。