知人が世界各地を貧乏旅行した時の話だ。
インドかパキスタンだかの村はずれで、
バナナをひと房抱いたまま、
屋外で居眠りをしてしまったという。
と、何かの気配で目を覚ました。
見ると、まわりを猿に囲まれていた。
たくさんの猿が彼をにらんでいる。
バナナが目当てなようだった。
抵抗したところで勝てるわけないと観念した彼は、
ボスと思しき猿にバナナを差し出した。
ボス猿がバナナを受け取ると、
猿たちはおとなしく去っていった。
「寝ている間に奪われたならともかく、
猿ににらまれ、
こっちからバナナを渡した・・・
あの瞬間、完全に負けたと思ったよ」
そう、彼は猿に完全敗北したのだった。