以前にも書いたが、
新潟で寿司屋を営む義父が、
元日に合わせて豪勢なおせち料理を送ってくれる。
今年も家族三人でありがたく頂いたのだが、
どの料理が一番美味しかったか?と家人(大)が言い出した。
それぞれの好みもあるので、票は分かれたが、
全員一致で挙げたのは「鰆吟粕味噌焼き」だった。
たしか昨年まではなかった料理だ。
後日、新潟に行った折、この料理の話をした。
すると、返ってきたのは、意外な言葉だった。
曰く、
「いつもは鰤を使っているが、
値段が上がっているので鰆に変えた」
曰く、
「体力的にキツくなってきたので、
いつもより早めに準備を始めた。
それによって、より長い時間、漬け込むことになった」
どちらの行為も、実は味を高めることがメインの目的ではない。
魚を変えたのは、物価高の中、同じ値段で料理を提供するための工夫だし、
漬け込む時間が変わったのは、体力的な問題だ。
でも、その2つが合わさった結果、とても美味しい料理が誕生した。
この“偶然”が、僕にはとても興味深かったのだ。