山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

マーマレードを瓶に詰める

2013-07-25 | たべもの・台所


いろいろなジャムの中で、マーマレードは面倒さにかけてはピカ一なんじゃないかと思う。
いちごは皮をむかないで洗うだけでいい。
スモモやアンズには皮や種があるが、煮れば皮は自然に溶けてしまうし、種もたいていはスルリと取れる。
ジャム造りが趣味だという糸井重里によれば、一番簡単なのはブルーベリーだそうだ。

マーマレードは、分厚い皮に包丁で切れ目を入れてむき、その皮はひたすら細かく刻む。
その際、さっさと切れるように庖丁を研がないといけない。
皮に黒いしみなんかがあったら取り除く。
実は、中の袋に切れ目を入れて薄皮を取り、(白い綿は適度に入れた方がいい)
結構たくさんある種を取り除く。
こうして2キロの夏みかんを下処理するのに、物も言わずに頑張って1時間半かかる。

それから皮は半日から一晩水につけておく。
その間に、実の方には砂糖をかけて水分を出させる。

その後、煮るのは結構簡単。
何かをしながら、片手間にかきまぜ、こがさないように気をつけるだけ。
これにかける時間はわずかだ。

そして、この後の工程は、マーマレードに限らず、どんなジャムでも同じなのだけど、
瓶に詰めるのが、ものすごくめんどくさいのだ。
このことは前にも書いた。

これを職業として毎日やっていれば、段取りも出来上がっていて要領もつかめているから
それほど大変ではないかもしれないけど、
ときどきやるとなると、いろいろと、ああしてみたり、こうしてみたりで
これにもまた1時間半はかかってしまうのだ。



私の瓶詰の仕方。

ガス台や流しや調理台の周りをきれいにしておく。
調理台の一部にタオルを敷いておく。
薄手の木綿手袋と、分厚いグローブ型鍋つかみ(軍手でもいい)を用意する。
かわいた布巾を3枚、菜箸、ゴムべら、ステンレスのスプーンを用意する。

瓶を用意する。
13個も作ろうと思うと(2キロのみかんで13ぐらいできる)、煮沸消毒するときの鍋は2つ要る(あるいは2回に分けて行う)わけだけど、
1度に一緒にやる瓶は同じぐらいの高さのものにしておかないと、やりにくい。
この段取りを間違えると、あとからあたふたして、いやに時間がかかって疲れることになる。

まず、瓶を水といっしょに鍋に入れて、煮沸消毒する。瓶のふた、菜箸、ゴムべら、スプーンも一緒に鍋に入れる(使う部分が消毒できればよい)。
瓶が完全に水に浸かっていなくても、蒸気で結構消毒できると思っている。
それに瓶をお箸で回せばよい。
5分ぐらい煮たら、取り出す。
瓶を取り出す時に、菜箸と手袋・鍋つかみを適当に使う。

瓶は下向きによく振って水けを落とし、すぐに上向きにして乾かす。
よく本には、瓶は伏せて乾かす、と書いてあるけど、伏せたら絶対に乾かない。乾いたとしても、あさって頃だろう。
上向きにすれば30秒から1分ぐらいで乾く。

ふたは、縁が内向きに曲がっているので、そこに水がたまってしまい、そのままだと水分は飛ばない。冷めてから布巾で拭くよりは、熱いうちにざっと布巾で水けをぬぐい、あとは蒸発させて乾かす。

その後、まだ熱い瓶に、まだ熱いマーマレードを詰める。
結構気泡が入ってしまうので、スプーンで中央をぐにぐに押しながら詰める。
びんの上の縁から3~5ミリぐらい下まで入れて、
ふたを軽くする。

びんのふたには、きゅっとひねるだけのふたと、ぐるぐる回すタイプのふたがあって
ひねるだけのふたは、結構しっかり締めないと、このあと再度煮沸するとき、振動によって完全に外れてしまう。

お湯を張った鍋の中に布巾を敷いて、びん詰めになったマーマレードを並べる。
さっき煮沸消毒したときのお湯を使えばよい。
当然だけど、びんを横にしたりしてはいけない。こぼれる(笑)。
布巾を敷くのは、びんがガタガタ鍋とぶつかるのを防ぐためである。

本には、お湯をびんの肩まで張らないといけないと書いてあるけど
そんなに深くしたら、この後、沸騰して、びんたちは完全にお湯をふたの上からも下からもかぶってしまうので、せいぜいびんの半分ぐらいの高さにする。

そして火をつけて、ぐらぐら煮立て、5分ぐらい。
中のマーマレードも一緒にぐらぐらしていると良い。



それから手袋をした手でびんを取り出し、
ふたを一瞬開けるほうに回してから、きゅっと締める。
あんまりぎゅうぎゅう締めると、後で確実に開かなくなるので、ほどほどでいいと思う。

ふたを一瞬開ける方に回した時、プシュッと音がするのが理想だが、
ひねりふたの場合は、まず音がすることはない。
それどころか、煮沸前に軽く締めておいたふたは、さっき書いたように
煮沸の振動で完全にゆるんでいることがよくある。
なので、煮沸前に結構きちっと締めておいた方がいいのだ。

ふたをしないまま煮沸したりすると、
お湯が飛び跳ねてマーマレードの中に入ってしまう。

この後、15分もすると、盛り上がっていたびんのふたの中央が、へこんでくる。

この状態で、1年前の瓶詰も、ちゃんとおいしく食べられる。
夏場のものすごく暑いときは念のため冷蔵庫に入れるけど、
秋冬春は、常温でも大丈夫。ただし薄暗いところで保管。
また、中の空気を完全に抜いていないとだめだとよく言うけれど
少々入っていてもどうっていうことはない。
さすがに1年前のは瓶を開けたとき表面が少しパサついてやや色がくすんでいるけど
腐っているわけではなく、まぜてしまえば気にならない。

もちろん冷凍なんてする必要は全くないのだ。



また、私のマーマレードやジャムは、本に書いてあるよりうんと砂糖が少なくて、
保存食としてどうなんだろうというところだが、
今のところ大丈夫である。もっと砂糖を増やせば、真夏でも常温保存できるだろう。
今年つくったものは、冷蔵庫には入れていない(入れ場所がない!)。
涼しい部屋に入れておけばいい。蔵なんてあれば楽勝だけどうちにはない。

砂糖の量は基本的に20~25%だけど、そんな数字は固定できるものではないし、人の真似をするものでもない。なぜなら、みかんによって甘さが違うからである。
もっと甘くした方がマーマレードらしいと思って増やしたこともあったけど
そうすると甘すぎてたくさん食べられないのでやっぱり減らした(笑)。
パンよりマーマレードの方が分厚いぐらいにたくさん使っている。贅沢。


そういうわけで、皮をむき、煮てから瓶に詰めるという一連の作業をする時間を取るのに
結構気合いが必要になる。
しかし、これも瓶に詰めなければ、そんなに苦労しなくていいのだ。
プラスティックの容器に入れて冷凍してしまえば、実に簡単。

けれど、瓶に入っているからときめきを感じるというのは、私だけだろうか。

写真/上から、カンボク、アジサイ、シダ

 

 

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夏みかんマーマレード

2013-07-25 | たべもの・台所


今年は去年よりもマーマレード造りが1カ月以上遅れてしまった。
つくり始めたのが7月に入ってから。そしてまだ半分ぐらい夏みかんが残っている。
この夏みかんは、渥美の親戚が送ってくれたもので、あちらではたいていの家の庭に夏みかんの木があり、冬には大きなオレンジ色の玉がごろごろと実り、
また、ごろごろと樹下に落ちていたりする。

この夏みかんは、昔の夏みかんほどすっぱくもないのだけど、親戚の叔母さんは、甘夏ではないという。
甘夏は後年できた品種であって、この夏みかんは、その地に昔からある在来種、「地のみかん」だというのだ。
冬でも食べられるけど、採っておいておくと5、6月にはもっとおいしくなると言われる。
こういう柑橘の日持ちのよさは格別で、3月にもらったものを冷蔵庫にも入れずに物置に置いておいたけれど
6月でもまだ平気なのだった。
さすがに最近は暑いので、腐るというよりはしなびてくるものがあって、
残っているものは冷蔵庫に入れている。

そういえば、最近は夏みかんなんてお店にも売っていない。
若い子は知らないんじゃないか。甘夏だってあやしい。


やっと始めたマーマレード造りも、今年はどうもうまくいかない。
色が濃くなってしまうのだ。
明るいオレンジ色に仕上がらない。
去年は100%うまくいっていたのに。
残りのみかんで、もう少しがんばってみたい。

すでに大なべで3回つくったのである。
1回にみかん約2kg。
これは丸のままの重さなので、内袋やあまりよくないところを取り除くと実際には1.5~1.8kgぐらいだろう。
これに砂糖を500g弱。
水は入れずに煮て、180g瓶が13できる。

3回つくったってことは、39できていることになる。いやはや。
さらにあと2回分はあるから、65できることになる。ははははは……。
きれいな色で上手にできていればどんどん人にあげるのだけど、
現段階であまりあげたいものはない。
よほど親しい友人や親せきに、ごめんねごめんね、と言いながら渡すぐらいだ。
甘さ控えめだから、1年あれば自分で結構食べられるだろう。
180g瓶なんて、3回ぐらいで食べ切ってしまえるのだから。

最近気づいたのは、朝の寝起きのぼんやりしているとき、マーマレードを食べるとシャキッと目が覚めて体が生き返ったようになることだ。
オレンジの香りは、交感神経と副交感神経を切り替える……どっちからどっちへだったか忘れたけど、要は、目覚めさせる。それは知っていたけど
香りだけじゃなくて味もだった。

マーマレードをつくるとき、苦味をなくすために、皮を何度も水にさらしたり、一度ゆでこぼして水を替えて煮るという人がいるけど、
苦くないマーマレードなんておいしくないと私は思う。
ただ甘いだけのマーマレードなんて。
去年、途中で1度水を替えてさらしたら、苦味がほとんど抜けたけど、
全く面白くない味になってしまった。
それ以来、水は替えず数時間からせいぜい1晩置くだけにした。

けれどこの苦味がくせもので、駄洒落みたいだけど、食べ出したらやめられないような、くせになってしまうのだ。
マーマレードへの依存性は苦味によって高くなる……。

で、体をしゃきっとさせるのは、この苦み成分のような気がしないでもない。
気がするだけで、本当のところは全然不明。

苦くないとおいしくないってのは、きゃら蕗も同じ。水にさらしすぎると面白くなくなる。蕗の薹だって苦くなきゃ誰も食べないかもしれない。
苦味ってつくづく、おいしさの一要素なんだと思う。


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