山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

75年前の8月15日に

2020-08-15 | 山里

1人暮らしのお年寄りの家を何軒か回った。この暑さの中でどうされているかと。

皆さん冷房をつけて、お元気で。いつも思うのだけど、私自身が一番不安だ。お年寄りの心配をしている場合ではないと。

 

で、中で一番年長の女性の方と玄関先でしばしお話。期せずして敗戦の日のことになった。

その日、13歳だったその方は、学校からみんなで山へ薪を採りに行っていて、ラジオの天皇陛下のお言葉は聞かなかった。山から帰ってきたら「戦争に負けた」ということになっていて、驚いたと。

お兄さんも出征しておられたので、戦争終結して内心ほっとして嬉しかったのではと想像したが、「とても悲しかった。なにしろ、負けるなんて全然思ってなかった。勝っているとばかり思っていたから」と。

その日のことは、本当に今もはっきりと覚えているそうだ。

75年なんてあっという間に経つのだろう。その間に世の中は本当に変わった。途中で燃料革命という大革命もあった。それらの移り変わりを全部見てこられたのである。

驚くことにこの方は、家も庭も完璧にきれいにして、突然訪問してもいつも非常にきれいな身なりをしている。田舎に住んでいるとほとんどの人はズボンをはいているが、いつもピシッとしたスカートとブラウスを着て、髪もきれいに整えている。今日はピンポンしたらきちんとマスクをしてから玄関を開けてくれたのである。毎朝涼しいうちに庭の手入れをしているらしい。庭木の剪定も全部自分でしているのである。

なんてこった。

こういう方とお話しできることに感謝する。

 

写真/タチアオイ。花びらに透け感のあるこの花がとても好きだ。ハイビスカスと同じアオイ科。ハイビスカス同様、花びらが、布地にワッシャー加工をしたみたいに皺しわしてマット感もあるのが、本当に好ましい。いつまでも眺めていられる。梅雨時に咲くのですぐ倒れてしまう。7月上旬。向こうに笠置山。