山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

長野県岡谷の土砂崩れの現場を地理院地図で見てみた

2021-08-17 | なんとなく報告

           ▲地理院地図

YouTubeのANNニュースで岡谷の土砂崩れ現場を空撮で報道してくれていたので

      → 土石流現場を上空から 長野・岡谷市(2021年8月16日) - YouTube

地図を見てみた。

   ▲Google mapに矢印書き込み

1の線が被災した方がある方。2も崩れているのだが建物や人に被害がなかったのでニュースでは取り上げられていない。が、空撮には映っている。

 

下の映像で2本の土砂崩れが見える。上の地図とは上下逆なので、左が1、右が2。(ANNのこの後のニュースでは間違って2の方を被災した方として映していた)

地図を見ると、小さな谷地形のところで崩れているのがよく分かる。ここの土砂は驚くほど岩が混じっていなくて、見た目、黒くてサラサラっぽく見える。私の住んでいる地方だと大きな石と粘土質の赤土混じりのところが多いので、こんな土を見るとびっくりする。そして、こんな土だからこそ、高速道路の下のトンネルを抜けて流出したのだろう。

高速道路の上側の法面が、この谷地形のところで下がっているのが分かる。谷だから下がっているわけだけど、そこがガクっと、というかドドッと崩れて高速道路の下に入っていったようだ。

一体どうしてこんなところにトンネルを作っていたのか。この山側に特に畑も建物もないので道など作る必要はないわけだ。そして空撮をよく見ると、ここに水を抜く大きな土管が埋められているのが分かった。その工事のために作った通路? 多分。

高速の上 ↓

高速の下 ↓

谷筋は水が抜けるので危ないというのはよく知られていると思う。このように水抜きしてここに水を集めても、周りの土は十分に水を含んでいるわけだから、崩れる時には崩れるということである。

地形的に、(地図を見て)、凹んだところは危ない、凸になったところは大丈夫、と、かつて三六災害という大災害を経験した人が言っていたことの意味がよく分かった。三六災害はここからそう遠くない長野県の上伊那地方で昭和36年に起こった水害である。

地図でこの近辺を見てみた(下図)。くぼんだ地形のところに青線を入れてみた。ただし、川は除く。

縦に走る緑の線は中央自動車道(高速)。青と赤の線が緑の線を越えているもの(1、2、7、9両方)は、高速の下にアンダーパス(トンネル)があるところ。

(9が2カ所にあるが、ミスです)

    ▲地理院地図

今回はたまたまトンネルのあるところで崩れたので、土砂がそこをくぐったのだけど、トンネルがなければ高速道路上に土が覆いかぶさるかもしれない。

これらの中でもやはり今回崩れた赤線のところが際立って等高線が密になっていることは確かだ。

4の川はかなり急傾斜で山が迫っているが、川に砂防ダム(だと思う)が作られている。川自体もおそらく護岸などされて頑丈に造られていると思う(希望)。これも高速をくぐるところがボトルネックみたいになっているのだけど、工事されているだろうから大丈夫だと思いたい。

6と7の間の川にも堰堤がある。

川になっているところは、砂防工事など対策がとられていたり、少しゆるやかだったり、川に水が集まってくるようになっている。それでも大きな災害になれば川が土石流になることはある。今回は川まではなってないところが水を含みきれなくなって崩れたということになる。

被災された方々は本当に気の毒だった。御冥福をお祈りする。そしてこのように線を引くと、そこに住んでいる人には残酷なようだが、私とてひとごとではないのである。このような場所は日本中いたるところにあり、また、日本中危険じゃないところは少ないぐらいだ。よって、こういう地形のところに住んでいるとしたら、もちろん地質にもよるだろうけど、大雨のときには躊躇せず早めに避難した方がいいということだ。

 

それと、この岡谷の高速道路のところ、数日後に通る予定なのだが……怖い……

と思ったら、今通行止めになっていた。当然なんだけど。

 

高速を避けて違う道を通ったとしても、どこも山が迫っていて、やっぱり怖い。