山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ひぐらし大交響曲

2012-08-01 | めぐる季節と自然

昨日から、一足早く立秋が来たように、空が高く青く澄んでいます。
丸い月が煌々と照って地上を明るくしています。

昨日の夕方6時半ごろ、山間の加子母というところで、車を降りると、
空気がうねるかのように、ものすごいヒグラシの声が鳴り響いていました。

国道の両側には、山並みが連なっています。
小さな山がいくつも重なって、片方は美濃の方へ、片方は木曽の方へと
延々と続いているところ、
そのいくつもの小さな山から、ヒグラシの群れの声が
降るように響いてくるのです。

360度の満天で鈴が鳴り響きいつまでも鳴り続けているかのようでもありました。


ヒグラシは群れになって鳴きます。聞いた話では、1カ所のヒグラシは8の字を書くように鳴くタイミングがずれているということです。
とにかく、遠くと近くで少しタイミングがずれて、集団としての音に遠近感、立体感が生じ、弦楽器の弦がうねって鳴っているように感じるのです。
そして、第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロ、と、弦楽器のグループがそれぞれの旋律を奏でながら合奏している、交響曲のようなのです。
   →2006年7月9日記事


我が家の隣には雑木林があるので毎日その交響曲を聴いています。
けれど、
昨日の加子母の谷のヒグラシの声……!


小さな山がいくつもいくつもあって、それぞれの山でその交響曲が奏でられている。
一つの交響曲に小さな遠近感があるけれど、山々も遠近があるので、
複層的で複雑な遠近感になる。
そして、それぞれの交響曲が合わさって、一つの壮大な交響曲を奏でているのです。
100人ぐらいのオーケストラが何十団、何百団と一緒になって、目に見えない指揮者のもとに、大合奏しているのです。


その、うねる弦楽器の音、リンリン鳴る鈴の音を、
頭の中を空にして、いつまでも聴いていたいと思いました。


日ごろ自宅のヒグラシに酔っているけれど、
この大合奏には頭なぐられるようでした。

山里に住んでいる人は、毎日こんな音を聴いているのです。
猛烈にうらやましい。世の中不公平にできている。
これは山里の特権。ものすごい、贅沢。音もまた、資源です。


写真/野麦峠

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