薪
子供の時、お風呂当番をした。葉の付いた小枝や薪を使って風呂を沸かす。小枝に点火して大きくし薪へ拡げる。マッチの火が最初だから、この操作は案外難しい。
さて、里山の木から作る薪は、木を倒し、枝打ちし、幹や大きい枝から作られる。長さを40cm前後に切断し、釜の口に合う大きさまで割る。枝は小枝として使えるように、1m程度にし、紐で縛って持ち帰る。
私は定年退職して故郷に戻った。しばらくして、裏山の木が大きくなり、落ち葉が屋根に飛んで来ていることに気付く。裏山は我が家の里山。この大木を倒すことに。安全のため、山林組合に、倒木・枝打ち・幹は持ち運びできる長さまで切断、を依頼。その後は自分で薪を作る。
昨年11月に倒木作業をし、薪作りまでできたのは今年の10月となった。慣れていない作業、小枝は里山で燃焼処分、そして安全を優先して、燃焼火は小さくしたためでもあるが、長い時間が必要だった。
当番で使った同じ薪が、「こんなにも、気を遣って作られていたのか」と作業の大変さを知った。薪が毎日の生活に無くてはならない物だった時代があった。想像するに、日の出と共に起き、暗くなるまで外で作業していた。そんな時代でもあった。
父は田畑を耕し、サラリーマンをし、さらに乳牛を飼っていた。母と二人協力して。「さぞや、気の抜けない毎日だったろう」と、この経験をして気付く。父母が他界して30年を超え、今では思いをはせる事しかできないのだが。
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