農機具買取プレジャー内写真(ヤンマーYC5)
農地そばの小屋にこの耕運機は保管されていた。農地は父が急な病で他界後、近所の知人に「荒れないように」と使ってもらった。
その後32年。知人夫妻が介護施設を利用されるようになり、定年退職後の私に「戻したい」と連絡があった。小屋は利用されていたが、雨漏り状態だ。
小屋の応急処置後、父に車庫入れされて後、私を待っていた状態の耕運機はハンドルのクラッチワイヤーは片側が切れ、切り替えギヤレバーは錆で叩いてやっと動き、タイヤは重量を受けてヘコミ固まっている。私の力では引いても押しても動かない。出せたとしても動くようにするには費用も時間も大きいだろう。
そこで廃物業者に「こんな耕運機があるのだけれど」と相談。ディーゼル耕運機YC5で理解できるようで「引取りに伺いましょう」と。大きいため重機を待ってからの作業となった。太陽の照り付ける14時に作業が開始された。二人の作業員が力を合わせると、耕運機はやっと小屋から出て来る。
長い期間太陽を見ずに過ごしていた。やっと私にも顔を見せる。精密な部分の錆は機能不全を起こさせている。しかしエンジンなどはすぐにも動きそうだ。作業は進み、耕運機は重機で吊られてトラックの荷台に。そこでは顔が私の方に向けられている。耕運機は私に何か言いたげにも見えた。作業時間は30分。
耕運機は去った。「私と居るよりも、機械を知った別の人に可愛がってもらって」それが幸せだよ、と自分にも言い聞かせた。短い対面ではあったが、機械に出会って、寄せる父の愛情にも触れることができた気がしている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます