ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

わが糞闘記

2007-05-03 12:57:43 | 日記・エッセイ・コラム

書棚を整理していて古い日記を見つけた。
東北のとある国立病院での闘病日誌である。
其の中から幾つかを徐々に紹介して参ります。
しかし 「食べる・出す・眠る」という、
生きる事の本質を記したもので
けして美しい表現はありません。
で、なるべく食事の前には読まないようお願いします。

○月○日
役者のような名前のドクターが
ぼくの股関節を入れ替えた。
チタン合金の丈夫な人工骨。

ずっと後の話だが、
このことをある女性に話したところ
その人はぼくの下半身をまじまじと見ながら
何やら意味ありげに笑うのです・・・・。
どうやらその人は股関節股間と勘ちがいしたらしい。
確かにまぎらわしいが、
そんな物が股間に入っていたらどうだろうか・・・
忙しくてたいへんなことになる。

さて病院の話に戻ります。
ここは元の陸軍病院の址で
今もって施設は古色蒼然としている。
医師も看護婦も穏やかで前時代的な顔をしている。
節約のため病棟内の照明を半分消してある。
だから昼も夜もとても暗い。
平成の世にこれほどの病院が残っていたとは・・・。
外科医の評判に惹かれ
病院のことには考えが及ばなかった。

消燈後、廊下を歩き回る松葉杖の音に
傷痍軍人の亡霊を感じてしまうほどである。

時代から取り残されたようなこの国立病院で
これから3ヶ月間の闘病生活がはじまる。

            
つづく