○月○日
『パートナー』
ぼくは大部屋というのが苦手。
人が気になって眠れないのだ。
そこで個室を用意してもらった。
当外科病棟に二つある特別室の一つである。
これにはバス・トイレが付いている。
(でも三週間過ぎないと入浴できない)
ここで付添のおばちゃんとしばらくの間、寝食を共にする。
〈特別室って一泊いくらなの?〉
従姉から電話があり、3000円と答えると
〈へぇ! うちのフェレットは4000円よ〉
と 驚いている。
つまりペットホテルのイタチの宿泊料より安いのだ。
付添のおばちゃんは会津のとある村の出身。
訛りがすごく、聞きづらいところもあるが
今のぼくにとっては最も頼りになるパートナー。
介護しながらいろいろローカルな話を聞かせてくれる。
坊主に金を騙し取られ、神経病んで入院した男の話とか、
娘婿は役場の税務課勤務だとか、
喜多方ラーメンのほんとに旨い店はどこそこだとか、
爺様は熊にやられた首の傷がもとで死んだとか、
最近は会津も雪が少なくなったとか
聞きもしないのにあとからあとから話がつづく。
ぼくは相づちを打ちながら
もう5日間もウンチが無いので
そのことばかりが気になっている。
足の爪きるひとの手の温かし
つづく
*さて次回はいよいよタイトル通りの糞闘記です。
くれぐれも食事の前にはブログを覗かないで下さい。