ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

わが糞闘記/part5

2007-05-08 16:35:21 | 日記・エッセイ・コラム

○月○日

    『糞闘中』

まる5日、15食分のお通じが無い。
下腹部がぱんぱんに脹らんで今にも張裂けそう。
寝たきりの状態でいると大腸の蠕動が衰えて
ひどい便秘を起こしてしまう。

もはや限界!  座薬を所望する。

  『 糞闘中につき入室厳禁!』

赤のマジックペンで手書きの張り紙を廊下に出し
付添のおばちゃんがゴム手袋をしてスタンバイ。
張り紙を見て誰かが笑いながら通る。

その最中に訪問者があったりすると
折角のチャンスを駄目にしてしまう。
ぼくの部屋は病棟の目抜き通りにあるので
いつ、だれが入ってくるか分らない。
〈はい、ごめんなんしょ〉 と言いながら
昨夜も歩行器のおばちゃんが
トイレとまちがって入ってきた。

ウンチは人生と同じ。
幾度かのチャンスがあって
それをつかんだか逃がしたかでは
その後のウン勢が大きく変わる。

付添のおばちゃんは、ぼくの出口に顔をよせて
今か今かとその瞬間を待っている。
まるでお産のようだ。
ぼくは歯をくいしばり、渾身の力を一点に集中させるが
出口にセメントのような硬いものが詰まっていて
いくら力んでも出てこない。
脂汗をたらしながら、もうダメかと思ったその時
ついにやって来た。

〈 オー! ソレ! ホレ! 〉

付添のおばちゃんの掛け声につられ
あとからあとからモリモリモリモリやって来る
おばちゃんもよほど嬉しかったとみえて
イモでも掘り当てたような格好で
せっせせっせと掻き出す。

なにしろ5日分の量というのは半端じゃない。
出るに任せていたら
もくもくと舞茸のような形にふくれ上がり
股間をすっぽり埋め尽くしてしまう。
だから、どんどん掻き出してもらわないと
エライことになってしまう。

〈 ホレ! モット出ろ! モット出せ! 〉

おばちゃんに勇気付けられて、ぼくは天井睨んで頑張る!

    つづく