○月○日
『勘ちがい』
お通じの後はケータイ用ビデにて洗浄してもらう。
ぬるま湯を入れた本体をぎゅっと握ると
ノズルの先から、しゅしゅしゅと湯が飛び出す。
オムツをずらしながら、おばちゃんはとても扱い上手。
入浴もシャワーさえも許されない患者にとっては
まさに天のたすけ。( 決して大げさではないのです )
ウオシュレットを使用した後のように清々と気持ちがいい。
今日はおばちゃんの家族に急病人が出たため、
急遽、付き添いが妻に替わる。
午後になって、もよおして来たので
急いで例の張り紙を廊下にだす。
またまた難産につづく大盛り・・・・・。
おばちゃんと同じ、手ぎわよく掻きだしてくれる。
ここ掘れワンワン・・・・・
なかなか上手、感心、感心。
すっかり空っぽになって
ひと仕事をなし終えた充足感と
無一物の爽快感にひたっていると突然、
ビデのノズルがぼくの出口の奥深くに侵入してきた。
全くの突然の出来事・・・・
〈 ナッ! 何すんだ、コノー! クッー! 〉
〈 ・・・・・・・?? 〉
おばちゃん、こっちも緊急事態だ!
早く帰ってきてくれー!
***この回をもってシリーズ『わが糞闘記』を終了します。
拙い内容にも拘わらずお付き合い頂き感謝します。
生きるとは、ときには汚れにまみれることも・・・。
さて、当病院はその後の国立病院統廃合計画のもとで
廃院となり、他市の施設に統合された。
役者のような名前のドクターは
その新しい病院の院長として迎え入れられ
今も熱心に患者たちと向き合っている。
たしかに時代遅れの病院ではあったが、
そこに関わっていた人たちの朴訥な笑顔が
懐かしく想い出される。
ありがとう!