ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

豚肉のしょうが焼

2012-02-10 11:45:34 | 日記・エッセイ・コラム

豚肉のしょうが焼。
ご飯のおかずにはこれがいちばん!

12歳のときから祖母に育てられ
祖母の得意料理がナマリの煮付としょうが焼であった。
その頃村には肉屋さんが無く
祖母は汽車で隣町まで買いに出る。
醤油と砂糖のこってりした味付け。
つまり豚肉のしょうが焼はばあちゃんの味である。

弁当にも入れてくれてお昼が待ち遠しかった。
ある日
体育の時間から教室に戻り弁当を開けたところ
なんと! 肉が無い。
ばあちゃんの入れ忘れではない
白いご飯にタレが沁みついているから。

教室が空っぽになったとき
誰かが食べたのだ。

しかし、ぼくは黙っていた。
そんなことで騒ぎにはしたくなかったし
肉など滅多に食べられない時代
贅沢している自分に後ろめたさもあって・・・・

昭和30年、高度経済成長期に入り
マンボズボン・トランジスターラジオがはやり
石原慎太郎の「太陽の季節」が芥川賞となり
歌謡曲の「別れの一本杉」がヒットしていたが
地方の暮らしぶりはまだまだ豊かとは言えなかった。

その後も
豚肉のしょうが焼きは弁当に入ったが
その日かぎりで無事であった。
沈黙を徹したことで彼の心に変化が生じたのかも。

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