ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

ホトケサマ

2012-02-23 13:08:20 | 日記・エッセイ・コラム

BS放送で「楢山節考」を観る。
深沢七郎原作。1958年上映。
木下恵介監督、主演:田中絹代・高橋貞二。

姥捨山伝説に基づき
信州の寒村に住む人々の因習を描いたもの。
無惨というか残酷というか
あまりの恐ろしさに観なければよかったと思う。

この村では口減らしのために
70歳になると楢山に捨てられる。

莚の上に小さく正座して
もう一枚の莚を頭からかぶり
手を合わせている田中絹代の姿はまるで仏さま。
カラスが群れ雪が降ってくる。
このラストシーンと
伊藤雄之助の扮する息子が
命乞いする父親を崖から蹴落とす光景が
瞼に焼きついてしまった。

人間の奥に渦巻く闇
見ないで済むものなら見ない方がいい。
知らずに済むものなら知らない方がいい。

映像から与えられる凄まじさは
身の毛もよだつほど。
しかしこれに似たような事象は現代にも在って
孤独死などは
形を変えた姥捨山に他ならない。

 舌に受く二月の雨の甘さかな