ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

少年の夏

2012-06-21 19:18:12 | 日記・エッセイ・コラム

夏至・・・・
この言葉を耳にすると 
もうすぐやってくる長い夏休みに少年の胸は膨らむ。

盗み食うトマトの青臭さに初恋を予感したり 
近所のお姉さんの開襟シャツにどきどきしたり 
蝉や蟹や蛍を追いかけ
昼も夜もめくるめく少年の夏は 
ときめきの連続であった。

その中にませた奴がいて 
石ころが熱く灼ける河原に裸のまま整列して
陰毛の長さくらべなど・・・・

そのときからである。
ぼくの劣等感が始まったのは。

「遊びをせんとや生まれけん・・・」 
真っ黒になるまで少年はよく遊んだ。
夕方どこからともなく「笛吹童子」の笛の音が
流れてくると 
少年は走って帰ってラジオの前に正座した。
 ヒャラーリ ヒャラリコ ヒャリーコ ヒャラレーロ・・・

「笛吹童子」  脚本北村寿夫 
         尺八福田蘭童 
         昭和28年NHKラジオドラマとして夕方6時に放送。


豚になる

2012-06-20 10:59:51 | 日記・エッセイ・コラム

台風一過、今朝は快晴。
親にはぐれた風小僧が日の当たる庭の片隅で
カサコソつむじを巻いている。

備えあれば憂いなし 
と、昨夜は隣人が土のうを積んでくれた。
ところが注意報に反して
当地は雨風共に静かであった。
寝ずの番を覚悟していたが 
午前二時、風呂に入りそのまま就寝となる。

きょうは学芸員の来館日であるが昼食は手抜き。
コンビニのカレーライスとなる。
きのうもロータリークラブの例会で
カレーライスであった。
カレーがつづくのはさほど苦にならない。
近々ビーフカレーを作ろうかとも考えている。

まあまあと思えるほどの詩ができたので 
友人にファックスする。
そのひとの心情にも底通するするものがあって 
さっそくお褒めのメールが来る。

褒められると私は豚になる。

 あれもこれも遠くなりけりさくらんぼ


鯖寿司

2012-06-15 18:30:16 | 日記・エッセイ・コラム

毎年この時季になると 
道路を挟んだ向かいの公民館駐車場で
流しそうめんがある。

こどもたちのために大人が集まって用意する。
今年は放射能を心配して 
青竹の代わりに雨どいを使うが
ちょっと心配し過ぎではないだろうか。

それでもブリキの雨どいを囲み
こどもたちは純粋に楽しんでいる・・・・
原発事故はこどもたちから情緒も奪っている。

東武デパートにて
長崎の大村寿司展を催いているので 
さっそく買いに行く。
(昨年美味しかったので)

錦糸卵に被われた大村寿司そのものも
勿論美味しいが 
平野屋謹製の昆布巻き鯖寿司が絶品!

一本太いのをペロッと平らげる。
穴子寿司の方は明日の昼食へ残しておく。

 麦秋や日は切々と照り陰り


つまらない話

2012-06-13 20:17:37 | 日記・エッセイ・コラム

とある店で注文した天ぷら定食のエビから
腐敗臭が出ていた。
主人に伝えるよう店員に下げさせたが 
主人は調理場から出てこない。
代わりにゲソの天ぷらを持ってきて
店員が鄭重に詫びるだけ。

贔屓の店にしようかと妻と話していた矢先のこと・・・
残念である。

私もかつてレストランをやっていた経験上 
いくつかのミスティークはあった。
その際の客には二通りのタイプがある。 
はっきり忠告してくれる客と
何も言わずに黙って帰る客。

黙って帰る客は二度と来ないが 
忠告してくれる客は復やって来てくれる。
注意してくれる客こそ有難く 
余計なサービス品など付ける必要はない。
心を尽くして詫びることが大切である。

それにしても海老のお詫びに烏賊のゲソとは・・・・
何をかいわんや。

と言うわけで
肝心のエビが食べられなかったので 
スーパーで冷凍エビを買い 
海老チリを作ろうと思う。
当たり前のことだが
自分で作るのがいちばん安心安全である。

これに懲りて今後は少し外食を控えようと考えている。


ほたる

2012-06-10 13:28:11 | 日記・エッセイ・コラム

本日梅雨入り。
もうすぐホタルが舞い、暗闇の奥で稲の花が匂う。

ホタルについてちょっと調べてみた。
日本・中国・韓国の詩歌や小説の中にもよく登場し
神秘的で美しい青い光は霊魂を意味し 
春の桜、秋の虫の音と同じく夏の風物詩の一つとして
人々の暮らしの中に深く関わっている。

明治から昭和にかけてホタルを天皇に献上し 
ホタル問屋という商いも明治時代には存在した。

一方、虫の音を雑音と感じている西洋人は
このホタルについてもFire fly(光るハエ)と呼び 
一般的には不吉な光とし忌み嫌っているようだ。

戦死した兵士が
ホタルになって還ってくるエピソードは
涙無くしては聞けない。
野坂昭如の「火垂るの墓」も
戦争の被害に遭った幼い兄妹を題材にした
哀しくも美しい小説。

ホタルは日本人の郷愁のひかりである。

美しい俳句と八木重吉の短詩を一編紹介しませう。
   蛍くさき人の手をかぐ夕明り
(室生犀星) 
   蛍火や山のやうなる百姓家
(富安風生) 
   髪にとまれば髪青きなり蛍の夜
(見市六冬)

  
 よる 
   ほたるがとぶのは 
   息のようだ
(八木重吉)