薬師寺には中学,高校ともに修学旅行で訪れた記憶があります。
そのどちらだったかは定かではありませんが,
関西弁を駆使して,おもしろく,いろいろ解説をしてくれた
お坊さんのことが鮮明に記憶に残っています。
数えてみれば,もう45年以上前のことです。
そのお坊さんが薬師寺の再建にたいへん努力され,
後の管主になった高田好胤さんだったようです。
管内で流していたビデオで当時の高田好胤さんの姿を見て,
その当時のこと,その時のことを思い出しました。
外を見ると,薬師寺には今日もたくさんの修学旅行生が訪れています。
薬師寺といえば,薬師三尊像と東西の塔を思い浮かべます。
金堂の手前に左右に並ぶ東西の塔は,一見六重の塔のように見えますが,
少し小さな屋根3つは裳階(もこし)と呼ばれるもので,
実際は三重の塔ということになります。
東塔は現在薬師寺に残る唯一の奈良時代のもので,
天平年間の西暦730年に建てられたという説が有力のようです。
建立後,今年で1280年ということになります。
その姿は洗練され,下手な写真であらためて見てもとても美しく思えます(写真上)。
西塔は1528年に焼失してしまい,1981年に再建されました。
ほぼ同じような形ですが,東塔に比べ,
なにかありがたみを感じないのは新しいせいでしょうか。
思えば,修学旅行のあとも,西塔の建設中,そして完成して間もない時期に,
何度か薬師寺を訪れています。
こうやって塔を眺めていますと,
それぞれその当時のことが思い出され,感傷に浸ることができます。
古い建物には,そのような効能があります。
写真下は薬師寺の庭にたくさん並んでいた鉢に植えられた蓮,
花にはまだ時期が早く,蕾のあるものもわずかでしたが,
その中で,もう間もなく咲きそうな個体が一鉢ありました。
古いお寺に蓮,これもつきものです。
涼風の如来の顔に寄せにけり