ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

嵐の前の静けさ

2008年03月17日 05時37分00秒 | Weblog
揮発油暫定税率が撤廃された場合、流通の現場ではどのような現象が発生することになるのか巷間ではいろいろと意見沸騰ですが、細部については依然として明確になっていないようです。
一番の問題はすでに市場に出荷されている課税済み商品(ガソリン)に関する取り扱い。

意外と面倒なのが、軽油税ということになりそうです。
軽油税はガソリンと異なり特約店と販売店では税の取り扱いが異なるからです。
納税窓口も各都道府県ですから若干の温度差があります。

一部では、地方財政に直接影響するのは揮発油税よりも「軽油税」だという方も多いわけです。

軽油については特約店在庫は「未課税」、販売店(サブ店)在庫は「課税済み」ということですが、消費者から見たら、同じガソリンスタンドですから格差はないはずです。

まあ、当日までに何らかの対応が図られるはずですが、それにしても全国一斉に在庫調査や税金の還付作業などが発生するとしたら販売業者も役所もかなり繁忙な業務を強いられそうです。

販売業者や消費者による流通段階での動きもどうなる事やら、まさか、「玉切れ」は発生しないでしょうが月末の出荷調整やら月初の配送体制の課題なども想定する必要がありそうです。
これから月末にかけては流通在庫が極端に減少して、月初から一気に激しく動くことになるとしたら流通は混乱するかもしれません。

一部で懸念されている、「キャッシュフロー格差」の問題はどうなるのでしょう。
25円も下がった販売価格の回収資金で以前の商品代金を決済することになりますからかなりの「資金ギャップ」が発生し運転資金が不足する事も予想されます。

3月は期末です。
サブプライム問題が地銀や信用金庫などにも大きな影響を及ぼすと予想されている現在ではいかにもタイミングが悪すぎるような気もします。

それにしても、日本の政治不在を感じます。
日銀総裁人事などがこれほどの大きな問題と混乱を誘発するとは・・・、国民や石油業界にとっても大きな迷惑なのですが、本当に困ったものですね。

これで、石油業界の零細業者は一層淘汰されることになるのでしょう。
データによると年商5億円から10億円規模の販売業者は厳しい経営を強いられることになるようです。今までも売上高のかなりの比率を税金が占めていた訳で、それだけでも他の業種よりもハンディキャップがあったわけです。税金を差し引いた実質の売上高を見たらガソリンスタンドの業態は意外と小さい経営規模なのです。

ここにきて改めて非課税商品である「灯油」の販売メリットが浮き彫りになっています。やはり資金効率が違いますね、現段階にいたって灯油ビジネスが貴重です。

大手企業では、直売システムの見直しが進行しています。
やはり、石油ビジネスでは「流通管理」が生命線です。