たまたま新聞で書評を見て、出かけたついでに、
買ってしまいました。
特に書評というのが印象に残っていたからではないのですが。
私は知らなかったのですがサスペンスの作家だそうです。 書評が文芸作品として名作であると書いてあったこと、
雑誌社の「お勧め文庫王国2010-2011」のエンタメ部門第1位に選ばれ
仕掛けを展開する本屋も出たとかにつられて、
読んでみようと思ったんです。
大きな本屋さんでは、検索の器械があり見つけやすい、
それを使うことを覚えて楽しいからです。
「猫鳴り」 この耳慣れにことば、早い話猫がごろごろ鳴らす あれを表現してるんですね。 作家の沼田さんが編集者から執筆を依頼された時 「ひとつ書きたいことがある」といったという それがこの3部である
私には猫が捨てられる場面や死別するシーンは
つらくて、涙がわいてくる。
しかし書評には
これはイタづらに涙を誘う小説ではない
したたかに生きたねこが寿命をまっとうするさまを見つめ。厳粛に命と向き合う境地に至る人間の心模様。
静かだが力強い筆致は見事しか言いようがない。
書かれているがその通り!
特に3部は愛猫をみとった実体験が反映されているという。
私も、もう直18歳になる愛猫を同じ病気で亡くした。
その時一年半近くの治療が果たしてよかったか。
みんなが振り返り、ちょっとした有名猫になるほど泣き叫ぶにゃんこの医者がよいしてよかったのか・
旅立たせた後も、いつも自問していました。
この3部では、療法食のペーストを泣き叫んで嫌がるにゃんに疲れ果てて、苦しみから救ってやるべきと主人公が決心した時、
お医者さまが、、
「苦しんでいませんよ、喜んでいますよ、ごらんなさい。」言われる、
口はくさくて、食べんものも食べず、水すら飲まないで、やがてはトイレにも行けなくなる、たれながし、ボロボロのにゃん子。
それは飼い主が耐えられないだけ。
にゃんは天寿を全うしようと自然体でいる
ということにきづくのです。
私自身も、治療のこと何度も果たして、彼の為になるのかと自問しました。
そんな私の心を察してか、
「こんなにしてもらって幸わせな子だね~。嬉しいね~」って時折
言われたのを思い出します。 沼田まほかおるという作家
「喜怒哀楽といった記号化された感情の、その奥にある機微をすくい取る作家だと。つくづく感服せずにはいられない。」
という藤田香織さんの帯の言葉に尽きます。
サスペンス作家らしい乾いた表現で、容赦のない書きっぷりに
愛猫の幸せを想う気もちが感じられる文芸作品です。
読んでくださってありがとう