ファーストタッチは、白黒反転で恐怖映画のタッチを模している。何か公害を訴える昭和な時代のドキュメンタリーのようだ。
勿論映画はドキュメンタリーだ。
映像の入れる順番、コメント、感情、情景、事実。
編集と言う作業を巧みに行わないと、「あ～そうなんだ」だけでさらりと心をすり抜けてしまうだろうが、そうは行かなかったのがこの映画での編集技術だ。
ドキュメンタリーと呼ばれる映画も普通の映画と同様に、効果音、ＢＧＭも含め編集によって徹底的に作り込まれるものだ。
素朴で平和な「現実」などそこにはない。
「辛いイルカ」の映像の次に出演者の 「涙」の映像が流れる。
それがメッセージになる。
主演者の話の巧さ、凄く手間と時間を掛けたであろう隠し撮りの躁的なノリ。
善良さ、謙虚さという名のもとに行われる、傲慢さを感じるが、それを見せるのも映画だ。
どのようにパズルを組み立てて、強いメッセージを成立させるか、その技術の見本として、この作品は多いに有効だ。
覚悟をして見に行ってくださいね。