トラン・アン・ユン／陳英雄はベトナム出身の映画監督・脚本家である。12歳のときにベトナム戦争を逃れるため、両親と共にフランスに移住した。
現在はパリ在住。だからセンスが光るんだ。
ボクはてっきり香港人監督か何かと思っていた。
絶妙な言い回しやセリフでの距離感を見せる村上春樹の世界観を「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」を撮った監督がやるのか.....と言う一抹の不安はあったんだけれどもね。
されど原作者は村上春樹である。
村上作品独特の世界観を映像でいかに表すか....。
どれだけ原作に遜色なく、かつ不可解なものにならないように映画の中では原作から省くか。
またセリフの距離感をいかに計るかという点だと考えていたんだ。
それは村上作品のセリフはどこか相手ではなく、もっと遠くに向かって発せられているような感じがするからです。リズミカルで感情を排したような、一歩間違えれば「大根役者」になりかねない喋り方は、良くあるメロドラマになってしまう危うさからうまく逃れられた。
人物の表現も、その役者が持っている「生」の強さ、若さ、弱さをところどころで出し、「強さ」や「弱さ」も身体のそれぞれの腕、首筋、横顔などパーツによって出し方を変えたような表現だったように思える。
それが危うさ、憂い、悲しみ、フレッシュ、何もかもを発散しているように思えた。
そして案外ビートルズの「ノルウェイの森」が流れない。
でも流れるとやっぱりしっくりと来る。
この頃は村上春樹もビートルズも奥深かった時代なんだ。
どの作品でも、原作での自分のイメージと映像とでは人物像に差異があるので見ないようには心がけていました。
でも見てしまった。
差異は有ったけれど、それ以上に映像がきれいだったから、ボクは「チャラ」です。
インテリア、ファッション、ヘアスタイル。
そして情景、映像は本当に良かったな～
細野春臣と高橋幸弘はYMOファンにとってはびっくり。
お洒落の中にもシャレが有る。