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ただ、すんなりハッピーとならないチェザーレの映画には「悲」や「哀」がある。
現実生活や公言した夢を叶える為に、自分が本筋とはしていない音楽嗜好の売れ線のバンドに加わる。
方や、何度もオーディションを落ちたことで俳優としての才能の限界を感じる。
ほとんどの人生が妥協を突きつけられ、「夢」と「現実」のはざまで揺れる心情が切なさをかきたてる。
そして恋愛。
お互いの高揚した気分の浮き沈みのタイミングがすれ違い、恋の行方を微妙に左右する。
映画的にはハラハラさせられ、また胸をキュンと。
冷めた目で見れば現実はこんなもんだと。
かなった夢とかなわなかった夢。
逃した幸福とつかんだ幸福。
本心の二人の理想が走馬燈のようにかけめぐるラスト15分。
ミアの後悔や懺悔にもとれる表情、それに小さくうなずくセブの姿に、過去も現在も未来も「僕たち二人に間違いや後悔はないんだよ」と言う、やさしさを見た。