おそらくこの続編を誰よりも渇望しながら、誰よりも恐れていたのは監督のダニー・ボイル自身?。
20年というインターバル。
1996年に生まれた「トレイン・スポッティング」は、アンダーワールド、ブラーといった英国ミュージックを盛り込み、「人生を選べ」と言いながら無節操にドラッグに明け暮れる若者たちを描いていた。
映画はその世界を斬新なスタイルと弾けんばかりの熱量で映像化した。
で、その20年後....。
まったく同じキャストが再結集したキャラクターたちはオッサンになり、かつてのような能天気なエネルギーも、あっけらかんとした楽観性も持ち合わせていない。
むしろ人生に失望し、こんなはずではなかったという悔いを抱えている。
そこをどう描くか、というのが本作の最大のポイント。
結果から言うと、ボイルは賭けに勝った。
これはたんに彼らのその後を写した続編ではなく、まったく異なる角度からみつめ、異なるテーマを描いた。
むしろインパクトで勝負していた前作よりもドラマとしてはより成熟した。
前作で金を持ち逃げしたレントンが、久しぶりに故郷に戻る。
裏切った仲間たちに、それでも会わずにはいられないのは、他に行くところがないから。
だが、更正するどころか相変わらずキレまくっている仲間たち。
そんな彼らの男として、父として、人間としての痛すぎるあがきがしかし、感傷的になることなく、どこかに希望を残しながら描かれる。
音楽ファンが思わず膝を打ちたくなるような、新旧まざったサウンドトラックの使い方も巧い。
とくに絶妙なのは、前作でテーマソングのように印象的だった曲を、現在のキャラクターの心情に合わせ重々しいリミックスに変えていること。
さらに前作ファンなら“あの曲”がいつ響くのかとつい期待するところだが、レントンが20年ぶりに実家の自分の部屋に戻りかつてのレコード・コレクションを手にとったとき、思わずそれを掛けるものの一瞬でやめる。
若い頃の思い出が蘇ることに対して怖くなる。
こんなディテールも、さすが。
果たして、人生でまだ一度も負けを味わったことのないようなティーンたちが本作を観たらどんな感想を抱くのだろうか。
だが少なくとも、この懲りない男たちのパワーに圧倒されるだろうし、主人公たちと同世代ならなおさら、彼らの咆哮がぐさぐさと心に突き刺さるだろう。
敗北も実体験することが勉強だ。
20年というインターバル。
1996年に生まれた「トレイン・スポッティング」は、アンダーワールド、ブラーといった英国ミュージックを盛り込み、「人生を選べ」と言いながら無節操にドラッグに明け暮れる若者たちを描いていた。
映画はその世界を斬新なスタイルと弾けんばかりの熱量で映像化した。
で、その20年後....。
まったく同じキャストが再結集したキャラクターたちはオッサンになり、かつてのような能天気なエネルギーも、あっけらかんとした楽観性も持ち合わせていない。
むしろ人生に失望し、こんなはずではなかったという悔いを抱えている。
そこをどう描くか、というのが本作の最大のポイント。
結果から言うと、ボイルは賭けに勝った。
これはたんに彼らのその後を写した続編ではなく、まったく異なる角度からみつめ、異なるテーマを描いた。
むしろインパクトで勝負していた前作よりもドラマとしてはより成熟した。
前作で金を持ち逃げしたレントンが、久しぶりに故郷に戻る。
裏切った仲間たちに、それでも会わずにはいられないのは、他に行くところがないから。
だが、更正するどころか相変わらずキレまくっている仲間たち。
そんな彼らの男として、父として、人間としての痛すぎるあがきがしかし、感傷的になることなく、どこかに希望を残しながら描かれる。
音楽ファンが思わず膝を打ちたくなるような、新旧まざったサウンドトラックの使い方も巧い。
とくに絶妙なのは、前作でテーマソングのように印象的だった曲を、現在のキャラクターの心情に合わせ重々しいリミックスに変えていること。
さらに前作ファンなら“あの曲”がいつ響くのかとつい期待するところだが、レントンが20年ぶりに実家の自分の部屋に戻りかつてのレコード・コレクションを手にとったとき、思わずそれを掛けるものの一瞬でやめる。
若い頃の思い出が蘇ることに対して怖くなる。
こんなディテールも、さすが。
果たして、人生でまだ一度も負けを味わったことのないようなティーンたちが本作を観たらどんな感想を抱くのだろうか。
だが少なくとも、この懲りない男たちのパワーに圧倒されるだろうし、主人公たちと同世代ならなおさら、彼らの咆哮がぐさぐさと心に突き刺さるだろう。
敗北も実体験することが勉強だ。