『ボクシングのこと、グローブは付けるが、所詮人の殴り合い! 1』
『近代ボクシングの発祥はイギリス、当時は時間無制限の一本勝負、階級制なく、どちらかが立てなくなるまで闘うというルールが!』
『階級制とグローブの軽量化は、ボクシングのリスク「ドランカーは減ったが、ボクサー骨折と網膜剥離の増加」になったのか?』
先ずは、何度見ても驚いたのはこのウエブ情報です。
宙に“浮いた”井上尚弥に米衝撃、『追撃左フックの決定的瞬間が海を越えて話題「魂を左拳に込めた」に』。 井上の両足が浮いた実際の写真(画像はトップランク社公式インスタグラムより)
ウエブ情報から引用
無敗王者だったフルトンを右ストレートから追撃の左フックでマットに沈めたが、8回、パンチを放った瞬間の井上の姿に米ファンも「クレイジーだ!」と衝撃を受けている。 井上の両足はリングについていなかった。
これは余談ですが、半世紀も昔の高校時代に山岳部員の自分がロードワーク中によく一緒になる、ボクシング部の『モスキート級(当時、今はミニマム級)の対戦相手なしで「不戦の県チャンプ」になった!』部員との三回戦のスパーリングを申し込まれて、無謀にもうけて、貴重な経験ができました。 互角に戦えたのは、15㎏の体重差もありますが、先輩セコンドのアドバイス『腰を入れて、体重をのせて打ち返せば!』、そうすれば、モスキート級に、倒されることはないとのアドバイスでしたのを思い出して、この『井上の両足はリングについていなかった』常識では考えられない、衝撃的な打撃に驚きました。
表題に戻ります。
圧倒的な実力と完璧なボクシングスタイルから『日本ボクシング史上最高傑作』と呼ばれており、世界で最も権威あるアメリカのボクシング専門誌『ザ・リング』が格付けするパウンド・フォー・パウンドランキングにおいて、日本人として初めて1位の評価を受けた怪物とも言われる『井上尚弥』を調べるために、ボクシングのことを少し整理しました。
この整理を思いついたのは最近見つけた、森合正範氏の著書『井上尚弥と闘うということ 怪物に出会った日』、この本は、負けた側の難しい取材に基づいて書かれていました。
プロボクシングの根強い人気は、ローマ時代の格闘技のように命がけではありませんが、プロボクシングには大きなリスクが三つ『ドランカーと、ボクサー骨折、と網膜剥離』もあり、人生をかけた試合が多くあります。
ドランカー(蝶の様に舞い、蜂の様に刺すで、打たれ強かった、マホメッド・アリは晩年発症した。)
ボクシングなどのスポーツで頭部に繰り返し衝撃が加えられた結果、数年~数十年後に進行性の神経変性疾患が現れる遅発性脳障害。 一般的に、ボクサーで現れる"パンチドランカー"として知られている。
ボクサー骨折(“カミソリ・パンチ”を武器にKOを量産したボクサー、海老原博幸は、そのパンチの強さゆえに、自分の拳まで痛めた。)
ボクサー骨折(中手骨骨折)は、繰り返しの強いパンチ動作によって、中手骨に過度な外力が加わることが原因です(疲労骨折)。 ただし当たりどころが悪かった時や、最大の力でパンチを出した場合には、わずか1回のパンチ動作でも起こり得ることがあります。
網膜剥離(辰吉丈一郎が網膜剥離の手術の後は、片目の視界が狭くなり、得意だったフットワークが消えた。)
スポーツなどで眼に強い衝撃を受けると、その衝撃で網膜裂孔(進行すると網膜剥離)が起こることがあります。 ボクシングなどの激しいスポーツをする方によくみられます。
古代ボクシングはグローブに鉄の鋲を仕込んで戦う壮絶なもので、ローマ時代に入ってからは「ピュージリズム」との名前で行われていましたが、ローマ教皇によって禁じられました。
階級制の採用は、体重の重い選手と軽い選手を公平にする目的で、1746年にヘビー・ウェイト(重量級)とライト・ウエイト(軽量級)が設置され、その後、間にミドル・ウェイト(中量級)がさらに細分化、現在の17階級になりました。
プロボクシング全17階級(掛ける4団体=68チャンピオンに)
ミニマム級・・・47.26kg以下
ライトフライ級・・・48.97kg以下
フライ級・・・50.80kg以下
スーパーフライ級・・・52.16kg以下
バンダム級・・・53.52kg以下
スーパーバンダム級・・・55.34kg以下
フェザー級・・・57.15kg以下
スーパーフェザー級・・・58.97kg以下
ライト級・・・61.23kg以下
スーパーライト級・・・63.50kg以下
ウェルター級・・・66.68kg以下
スーパーウェルター級・・・69.85kg以下
ミドル級・・・72.57kg以下
スーパーミドル級・・・76.20kg以下
ライトヘビー級・・・79.38kg以下
クルーザー級・・・90.72kg以下
ヘビー級・・・90.72kg以上
ライトフライ級・・・48.97kg以下
フライ級・・・50.80kg以下
スーパーフライ級・・・52.16kg以下
バンダム級・・・53.52kg以下
スーパーバンダム級・・・55.34kg以下
フェザー級・・・57.15kg以下
スーパーフェザー級・・・58.97kg以下
ライト級・・・61.23kg以下
スーパーライト級・・・63.50kg以下
ウェルター級・・・66.68kg以下
スーパーウェルター級・・・69.85kg以下
ミドル級・・・72.57kg以下
スーパーミドル級・・・76.20kg以下
ライトヘビー級・・・79.38kg以下
クルーザー級・・・90.72kg以下
ヘビー級・・・90.72kg以上
実際的には68階級あるのと同じです。 放映権とインターネット配信競争で
何階級制覇!と煽り立ていることが多々あります。
プロボクシングには大きなリスクが三つ『ドランカーと、ボクサー骨折、と網膜剥離』もありますので、ボクシングの試合に使用するグローブは2種類、男子の場合、63.50kg以下のスーパーライト級までは8オンス(片方227.0g)、それ以上の階級は10オンスのグローブ(片方283.5g)。 女子の場合、57.15kg以下のフェザー級までは8オンスで、それ以上の階級は10オンスのグローブ。 グ
12オンス(片方340.2g)のグローブもありますが、これは、ヘッドギアをつけてやるスパーリングなどに利用されます。
重い体重の階級ではそれだけパンチの威力も強く(グローブは大きくして衝撃力は軽減、言い換えれば、小さくすればボクサー骨折しやすくなる。)なるため、グローブも重い(大きい)10オンスが使用されているのです。 グローブは大きく・重いほど、安全性が高くなるとは、言い切れません。 ドランカーのリスクがありますので、良い塩梅のグローブなどあるハズがありませんので、ボクシングは、やはり厄介なスポーツです。
兄弟げんかや取っ組み合い(スキンシップ)の機会がない今こそ工夫して、良い形で『ボクシング』進められるよう期待しております。
(記事投稿日:2024/05/11、#745)