礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

「同盟叢書」から「時事叢書」へ(1945年12月)

2014-05-03 05:36:27 | 日記

◎「同盟叢書」から「時事叢書」へ(1945年12月)

 一九四五年(昭和二〇)九月二〇日に同盟通信社が創刊した「同盟叢書」の第一冊は、武井武夫『原子爆弾』であった。そして、その第二冊は、同年一〇月一〇日に発行された、嘉納履方『ポツダム宣言』だったと思われる。
 今、「と思われる」というアイマイな言い方をしたのは、嘉納履方『ポツダム宣言』の現物を確認したことがないからである。嘉納履方『ポツダム宣言』の表紙に、「同盟叢書(2)」という表記があるかどうかも、確認していない。一九四五年一〇月一〇日発行というのも、インターネット上で知りえた、不確かな情報にすぎない。ただ、『ポツダム宣言』が、「同盟叢書」の「二冊目」として発行されたことは、ほぼ間違いない。ちなみに、『原子爆弾』、『ポツダム宣言』とも、国立国会図書館には架蔵されていない。
 では、「同盟叢書」の「三冊目」は、何という本だったのか。実は、「同盟叢書」に三冊目はない。同盟通信社の改組にともなって、同盟通信社の「同盟叢書」は、時事通信社の「時事叢書」というふうに、名前を変えたからである。
 その「時事叢書」の「一冊目」は、たぶん、大屋久寿雄『終戦の前夜―秘められたる和平工作の諸段階―』である。この本は、だいぶ前に入手したものが、いま手元にある。ただし、紙が劣化し、ボロボロの状態である。
 全三二ページ。表紙には、「時事叢書(6)」とある。裏表紙の下部に置かれた奥付には、「昭和二十年十二月十日印刷」、「昭和二十年十二月十五日発行」、「終戦の前夜(五万部)」「停七十銭(税共)」などとある。
 奥付の上に、「時事叢書/既刊」とあって、「原子爆弾 武井武夫」、「ポツダム宣言 嘉納履方」、「終戦の前夜 大屋久寿雄」の三冊が紹介されている。このことから、時事叢書の一冊目は、『終戦の前夜』であろうと判断した。
 さらにその上、裏表紙上部に、発行趣旨を記した文章がある。この文章は、『原子爆弾』にあったものと、若干、表記が異なる。参考までに、紹介しておく。改行は原文のまま。

戦禍の底から起ち上
がり 勁く明るく 私
達の祖国を再建する
ために あきらかな
叡智と 卑屈なもの
を去り固陋なものを
斥け 高くひろい永
遠の眼をもつて 正
しい世界の知識を育
みたい そのために
この一連の叢書をお
くる

今日の名言 2014・5・3

◎振出しに戻り、第一歩から踏み出す

「角川文庫発刊に際して」の中に出てくる言葉。「角川文庫発刊に際して」には、「一九四九年五月三日」という日付がある。署名は、角川書店の創業者・角川源義〈カドカワ・ゲンヨシ〉。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする