今住んでいる西成あいりん地区のワンルームを今月一杯で退去する事にしました。原因は南京虫の増殖です。6月下旬に布団に虫が巣食っている事が確認されて以降、布団やカーペット、梱包の段ボール類は全て室内から撤去しました。それ以後は毎週休みのたびにこまめに室内を清掃するようにしました。床には簀の子を敷き、その上にエアクッションと冷感ラグを乗せて寝るようにしました。バルサンも既に2回室内に散布しました。ところが、虫の増殖は収まるどころか、更に勢いを増す様になりました。
そこで、虫の写真をマンション管理会社に送って駆除を依頼したところ、この虫はマンションによくいるダニではなく、南京虫(別名トコジラミとも言う)である事が分かりました。ダニは小さいので肉眼ではなかなか認識出来ませんが、それよりも大きい南京虫はすぐに確認出来ます。スイカの種の様な平らっぽい体形をしています。飛ぶ事が出来ないので腹ばいになって移動します。人間や他の動物の血液を吸い、卵を産んで増殖します。吸血する際に血液凝固を防ぐ唾液も分泌するので、それがアレルギー反応を引き起こし、皮膚の痒みの原因となります。吸血と同時に脱糞するので、血糞や脱皮した後の抜け殻が周囲に散らばります。
南京虫は、昔は日本に普通にいましたが、戦後の衛生環境向上により、日本からは一掃された事になっていました。ところが実際は、その後のグローバル化の進展、外国人観光客の来日に伴い、再び被害が全国各地で見られるようになりました。現に、私が先週末に旅行で訪れた静岡県大井川上流域の民宿でも、南京虫は普通にいました。ところが、マンション管理会社は「南京虫はもはや住宅には存在しない。今いる南京虫は私が外から持ち込んだ物だ。だから駆除費用も私が負担せよ」と言ってきたのです。
ところが実際は斯くの如しです。それどころか、今は殺虫剤にも耐えるスーパー南京虫が全国各地で猛威を振るう様になりました。虫害の件で西成区役所に相談に訪れた時も、大阪市南部の住之江・住吉・西成区を中心に、南京虫の被害報告が多数寄せられている事も、区職員から聞いています。
ダニアースやダニフマキラーを南京虫に吹きかけても全然死にません。一時的に仮死状態になるだけです。バルサンを焚いても、南京虫は壁の隙間に巧妙に隠れ、深夜になると更に増殖して、室内のあちこちに増殖する様になりました。パンツの隙間にも入り込んでうごめく様になりました。
その為に、夜も寝れなくなりました。連日、睡眠不足が続き、フラフラな状態の中で、仕事をしなければならなくなってしまいました。先日も、商品の仕分け中に、立ったままウトウトと寝入ってしまい、気が付いたら出荷用のデポカードだけを手にしていた事がありました。商品は全然違う宛先に出荷してしまっていました。この時は、流石にヤバいと思い、社員に理由を言って早退させてもらいました。
もう、そんな状態なので、今までのワンルームでは寝れなくなり、急きょ近くのホテルに避難する事にしました。コロナ感染予防の事も考え、あいりん地区によくある浴室・トイレ共同のドヤホテルではなく、個室に浴室もトイレもあるタイプのホテルに泊まり、そこから平日は出勤し、休日は次の物件探しに充てる事にしました。ワンルームの家賃に加え、ホテルの宿泊費も払う事になりますが、もはや緊急事態なので背に腹は代えられません。お陰で、ようやく、ぐっすり眠る事が出来るようになりました。
そんな状態であるにも関わらず、マンション管理会社は、設備の老朽化も放置して、私の個人責任を言い募るばかりです。そこでもう、賃貸契約を解約する事にしました。下記がその解約通知メールの全文です。
お部屋の状態 南京虫発生による血糞、抜け殻散乱。但し、南京虫を賃借人の私が持ち込んだとする証拠はない。仮に私の衣服に付着して持ち込まれたとしても、そんな事まで賃借人の瑕疵(かし=過失)にされたのでは、賃借人はおちおち外出も出来ない事になってしまう。事実、国交省の原状回復ガイドラインにも、虫害を賃借人の責に帰す旨の記述は一切無かった。南京虫は外から持ち込まれた物だと建物管理会社は主張するが、一時期、日本から一掃されたとされる南京虫も、その後のグローバル化、インバウンド訪日者の激増により、再び国内で繁殖する様になった。部屋のすぐ横の天井の雨漏り、廊下の壁紙の剥がれ等も放置している家主などの不作為を棚に上げ、賃借人の私が南京虫を持ち込んだとする賃貸人の主張には同意出来ない。逆に、バルサン散布により南京虫が壁の隙間に入り込み、深夜に更に増殖する様になった。もう夜は室内で眠れないので、私はホテルで避難生活を余儀なくされている。そこまで追い詰められている賃借人に対して、気遣う事もなく、一方的に害虫駆除費用の個人負担ばかりを言い募る賃貸人の冷酷さに愛想が尽きた。これが今回退去を決断した最大の理由である。
左:解約通知の理由記述。右:国交省の原状回復ガイドライン
左:今のワンルームマンション賃貸契約の原状回復条項。右:その条項に記載された入居者遵守事項。