アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

戦争もブラック企業もゴメンだ!大阪若者憲法集会&デモ

2014年10月29日 18時28分09秒 | 何でも秘密ではなく積極的に情報公開


 「何が秘密、それも秘密」。政府にとって都合の悪い情報は何でも秘密にしてしまう秘密保護法の12月10日施行を前に、同法の廃棄をめざす集会やデモが、先週末を皮切りに、これから全国各地で取り組まれます。さる10月26日には大阪でも早速、同法や集団的自衛権行使に反対する上記の集会とデモがありました。私もそれに飛び入り参加してきたので、少し遅くなりましたが報告させてもらいます。



 「大阪若者憲法集会&デモ」と銘打ったその取り組みは、午後1時に大阪・西区民センターでの弁護士さんの講演で始まりました。その弁護士さんは西川大史さんと言い、「明日の自由を守る若手弁護士の会」(略称:あすわか)に入って秘密保護法反対の活動をされている方です。その方が、今の日本国憲法の成り立ちや、その憲法に違反している秘密保護法や集団的自衛権行使について、分かりやすく説明して下さいました。(左上写真)

 今の憲法と他の法律との最も一番大きな違いは、法律が人々を縛る物であるのに対して、憲法は国家権力を縛り、その暴走を食い止める点にあります。これはどういう事かと言うと、例えば刑法という法律には、「他人の物を盗ってはいけない」「他人を殺してはいけない」という事が定められています。取り締まられるのは、あくまで国民です。しかし、これが憲法では逆に、「何事も法律によらなければ、国民の自由を奪ったり国民に刑罰を科してはならない」「もし罪に問われる事になっても、被告人の権利は充分尊重されなければならない」という事が定められているのです。この様に、国家が法律の名で国民を不当に抑えつける事がないように、憲法で国家権力に縛りをかけているのです。この仕組みが「立憲主義」です。
 ところが、今の安倍政権は、その「立憲主義」が気に入らなくて、戦前の様な、政府が好き勝手に国民の自由や権利を制限できる憲法に再び作り変えようとしているのです。

 その一つが集団的自衛権の行使です。「憲法9条を変えて再び外国と戦争できるようにしよう」「それも、別に日本が攻撃されていなくても、米国がどこかで戦争をおっ始めたら、それに自動的に参戦できるようにしよう」と言うのが、その内容です。これではもはや「自衛」ではなく「侵略」です。昔の日本による韓国併合・中国侵略も、戦後の米国によるベトナム・イラク侵略や、旧ソ連によるアフガニスタン侵略も、全て自衛の名目で行われました。今の「イスラム国」等に対する攻撃も、それを「集団」と言う名の「仲間内」で行おうとしているのです。
 しかし、もっと日本にとってより身近な尖閣の領土問題や北朝鮮の拉致・ミサイルに限って言っても、別に集団的自衛権なぞ振り回さなくても、個別的自衛権(自衛隊による専守防衛)だけで充分対処できる問題です。しかも、当の米国自身も「戦争になっても助けるのは自国民優先で、外国人を助けるのは余裕がある時だけだ」と言っているにも関わらず、「日本人救出に向かう米艦船も守れないでどうする?」と大嘘まで付いて、集団的自衛権の行使に踏み切ろうとしているのです。そんな事をしても、売られてもいない他人の喧嘩を自分から買って出て、逆に他人から逆恨みされるだけなのに。何でそんな事の為に我々が犠牲にならなければならないのか。

 その嘘を覆い隠す為に、集団的自衛権行使とセットで持ち出されてきたのが、先に上げた「何が秘密、それも秘密」の秘密保護法です。しかし今でも、福島第一原発事故の影響が隠蔽され、都合の悪いデータは一切開示されず、鳴物入りの安全キャンペーンだけが張られているのに、そんな法律が施行されたら一体どうなるのか。ますます憲法はただの「絵に描いた餅」に成り下がってしまうではないか。憲法も空気の様な物で、無くなって初めてその有難味が分かる。・・・そういう事を、西川さんが分かりやすく説明していただきました。

 その次に登場なさったのが、イラクで戦争前から子どもたちの支援活動をしてきた高遠菜穂子さんです(右上写真)。彼女は、「戦争になればまっ先に犠牲になるのはこの子どもたちだ」と、イラク戦争反対の声を上げた為に、散々ネトウヨ(ネット右翼)から叩かれました。当時まだ私が参加していた北朝鮮拉致問題の掲示板でも、この頃から、ネトウヨどもによる「朝鮮人は朝鮮半島へ帰れ」だの「朝鮮人死ね」だのと言った、北朝鮮とは何の関係もない高遠さんたちを貶める投稿がやたら目に付き出し始めました。その一部は、当時まだ掲示板として始めたばかりだった今の私のブログにまでちょっかいを出しに来ましたね。

 しかし、実際はどうだったか。あれほど当時の米大統領ブッシュが「イラクにある」と言った大量破壊兵器は出て来ず、イラクではフセイン政権打倒後もそれに輪をかけた独裁政治や特定宗派に偏った政治が行われた為に、かえってテロをのさばらせる結果になってしまったではないか。
 今のイラクのイスラム教徒シーア派を主体としたマリキ政権も、かつてのフセインに弾圧された腹いせから、以前よりも更に輪をかけた弾圧を同じイスラム教徒のスンニー派に対して加えるようになった。国民は言論の自由を奪われ、日々の生活にも困窮する中で、反政府・反米を掲げる「イスラム国」に次第にシンパシーを抱く様になってしまった。勿論、その「イスラム国」とて、その本質においては、かつてのフセインや今のマリキ以上の弾圧政治でしかないが、もはやこれだけ「テロリストの天下」になってしまった中では、それを抑える物が何も無くなってしまった。
 米国の空爆は、更にそれを煽る結果にしかならないのに、マスコミは「イスラム国」の脅威を煽るだけで、その背景については何も伝えない。・・・その様子を、高遠さんが滞在当時のビデオを使って解説して下さいました。

 この西川・高遠両氏の講演会に参加していたのはほとんど20歳代と思しき若者です。講演に先立って咲洲・池田北高校の廃校に反対する在校生・卒業生のアピールもありましたから、ひょっとしたら10代の人もいたかも知れません。最近はこの手の集会には中高年の人しか見た事がないので、久しぶりに新鮮な感じがしました。ただ、如何せん参加者が余りにも少なすぎます。会場の大ホールにいたのは100人位でしょうか。ちょうどそれ位の人数に見合った会場だったので、座席はほぼ埋まっていましたが、施行前のこの時期にまだこの人数では、とても秘密保護法施行を食い止める事は出来ません。今以上の取り組みが求められていると思います。私も微力ながら頑張らねば。 



 講演と意見交流の分散会の後は、いよいよ大阪市内をデモ行進。区民センター横の公園から長堀通に出て、心斎橋から御堂筋に出て難波まで歩きます。既に夕暮れ時で、デモ行進が出発する時はすっかり陽が落ちていました。集会・デモの実行委員会から支給された光物のネックレスやブレスレットを身に着けて、いざデモに出発!

 そのデモですが、もはやデモというよりパレードです。昔の様な「我々は~何々に反対するぞぉ~!」と言った絶叫調ではなく、路上ライブのノリで、「レッツゴー・トゥギャザー!みんなで一緒に声あげよう!憲法生かせ!平和を守れ!自由の為に!権利の為に!戦争なんか行きたくない!私は望む!みんなが平等、差別ない社会!お金が無くても学べる教育!ブラック企業はルールを守れ!」と言った、誰もが納得できる分かりやすい言葉で、シュプレヒコールを上げていました。私としては、「ルールを守れ」の箇所については、もっとはっきりと「ブラック企業撲滅!」ぐらい言ってやっても良いのではないかと思いましたが。
 御堂筋に入ると、もはやデモコースの定番となった車道と歩道の間のバス専用レーン(?)を通り、心斎橋の大丸・そごう横をかすめ、南海難波駅前を右折した先の交差点で流れ解散となりました。

 みんなもたまには飛び入りで参加して、普段思っている事を口に出して言えば良いのに。その為のデモなんだから。それがたとえストレス発散の為であっても別に構わないじゃないですか。少なくとも、「在特会」の「朝鮮人殺せ~!」と言ったヘイト(差別扇動)デモなんかよりかは、まだこっちの方が、よっぽど自分にとっても社会にとっても為になります。もしも、デモと言えば未だに、中年のオッサンがヘルメットとマスクかぶって、あるいは鉢巻とゼッケン姿で、「我々は~何々に反対するぞぉ~!」と絶叫している様なイメージしか持っていないとしたら、そっちの方がよっぽど古臭いと思いますね。

 そもそも、それ以前に、こんな「何が秘密、それも秘密」なんて法律、守ろうにも守りようがないじゃないですか。それでも守ろうと思うなら、もう何も言わずに黙り込むしかない。そんなバカな話はない。そういう意味でも、この秘密保護法は、もはや憲法違反以前の欠陥法案なのです。
 こんな守りようもない法律、いくら施行されても別に守らなくても良いのではないでしょうか。何でもかんでも「悪法も法なり」と従えば良いってモンでもないでしょう。時と場合によっては、そんな居直りも必要なんじゃないかと思いますね。
 実際、職場にまともな労働組合もなかった(形だけの御用組合はあるが)牛丼チェーン「すき家」のアルバイトも、最後には一斉退職という形で会社に抵抗する事で、ブラックな労働条件の改善を一定勝ち取る事が出来たのですから。

 以前、したり顔で「戦争になれば世の中が流動化して負け組も浮上できる」と言った評論家がいましたが、実際は逆です。安倍や石原、橋下等の政治家が戦争に行く事はまずありません。戦争に駆り出されるのは常に貧しい若者たちだけです。現に米国がそうなっているではありませんか。いくら志願制でも、他にまともな就職口がなければ、軍隊に入隊するしかない。そんな貧しい黒人やヒスパニックがイラクや他の外国の戦場で大勢亡くなっています。米国政府も、奨学金や恩給や、不法移民でも入隊すれば与えられる市民権をエサに、そんな貧しい若者をターゲットに軍隊への勧誘活動を行っています。
 日本も遅かれ早かれそうなるでしょうが、そんな事はまっぴらゴメンです。「特攻・玉砕」に名を借りた無理心中は、第二次大戦時だけでもう沢山です。



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