先の兵庫県知事選挙で再選された斎藤元彦知事。その知事選挙の広報全般を任されたとされるPR企業の株式会社Merchu(メルチュ)。県議会全会派から不信任を突き付けられ、最初は圧倒的に劣勢だった知事を見事再選にまでのし上げたのだから、さぞかし大手の一流PR会社かと思いきや。実際は高級住宅街の一角にある、雑居ビルの一室に居を構える無名の企業でした。
企業の社長は折田楓という女性です。企業所在地は兵庫県西宮市南越木岩町11番地6号。阪急甲陽線苦楽園口駅近くの雑居ビル「苦楽園エクセル」。クリニックや学習塾、フィットネスジムなどが入る、そのビルの4階にオフィスはあります。オフィスというよりも、むしろマンションの一室という感じの部屋でした。オフィスには鍵が掛けられ、人の出入りは一切ありませんでした。ビルの壁には「マスコミ取材お断り」の注意書きが何箇所も張り出されていました。
私はこれを見て、選挙買収の疑惑が更に膨らみました。そもそも、公職選挙法で認められている支出は、ウグイス嬢の給与やポスター代金などの必要経費のみです。それ以外のPR活動などは認められていません。そうしないと、一部の裕福な候補者だけが、金にモノを言わせて当選できる金権選挙となってしまいますから。その経費も税金で賄われますから、ポスター代の請求書も印刷会社から県の選挙管理委員会に回されます。しかしMerchuはPR会社であって印刷会社ではありません。そもそもポスター代を受取る資格すら無いのです。
これがもし、Merchu社長の折田楓氏が個人として、ボランティアで斎藤陣営のSNS選挙活動を行っていただけなら、何の問題もありませんでした。誰がどの候補者を応援しようが個人の自由ですから。但し、その場合でも、政治資金規正法もよる届け出は必要です。個人献金も政治資金収支報告書に記載しなければなりません。労務提供も寄付とみなされ記載の対象となります。
他方で、選挙には膨大な金が掛かります。選挙ポスターも同じです。その中で、少しでも経費を浮かそうとするなら、普通は出来るだけ印刷単価の安い大手の印刷会社に任すはずです。こんな住宅街にある個人経営のMerchuなんかが、そもそも受注出来る案件ではないのです。そうであるにも拘らず、何故、個人経営のPR会社が、大手の印刷会社を差し置いて、選挙ポスター印刷などの大口の仕事を受注出来たのか?謎は深まるばかりです。
それにしても、折角西宮まで来ながら、Merchuの事務所偵察だけで終わるのは、余りにも勿体無い話です。その後は行楽に切り替えて周辺散策に移ります。
まず私は鉄道ファンなので、阪急甲陽線について調べました。何故こんな所に全長僅か約2.2キロで2駅(苦楽園口、甲陽園)だけの行き止まりの鉄道路線が出来たのか?別荘地開発の為です。苦楽園や甲陽園の地名も、元は別荘地の名前でした。温泉を掘り当て、別荘地が開かれた。そこに阪神電鉄がトロリーバスでの乗客輸送を目論んだのに対し、阪急電鉄は甲陽線の建設で対抗。やがて阪神のトロリーバス計画は立ち消えとなり、甲陽線のみ残りました。その代わりに、阪神の普通のバス路線が、甲陽園の駅前と阪神西宮駅を結ぶようになり今に至ります。
しかし、温泉が昭和初期に枯渇して、別荘地は高級住宅街に。思えば、私が生まれ育った高石の地を走る南海高師浜線も、そんな路線でした。でも、格下の保養地だった為か、戦後は工業地帯に変貌。温泉旅館も無くなり、下町をガラガラの2両編成の電車が15分おきに走るのみ。それに対して、甲陽線は今も3両編成の電車が10分おきに走り、平日の日中もほぼ満席の状態です。駅周辺には高級スーパーの成城石井やイカリスーパー、ハイソな飲食店などが軒を連ねます。
そして、この付近は六甲山の麓にある関係で、山にちなんだパワースポットも点在。越木岩神社もその一つです。株式会社Merchu前の通りが越木岩筋、町名も越木岩町、山手の方には越木岩神社も。どんな神社か見て来ました。甑岩というデッカい花崗岩が御神体です。豊臣秀吉が大阪城築城の際にここの石を切り出そうとしたが、雷鳴が轟き、皆それに驚き採掘を諦めたのだとか。初めて知りました。
また、ここはパワースポットだけでなく、宇宙人ネタのアニメの聖地でもあります。「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」という名前のアニメです。アニメのあらすじをかいつまんで説明すると、男子高校生キョンが入学先の高校で、涼宮ハルヒという女子高生と出会います。ハルヒは「宇宙人にしか関心がない」という変人で、あちこちで超常現象を引き起こします。ハルヒは級友から疎んじられ、クラスで孤立してしまいます。
キョンはそんなハルヒの為に、新しい同好会を立ち上げます。それがSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)というSF同好会です。SOS団には長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹などの生徒が相次いで入部して来ますが、実はその生徒たちこそが宇宙人で、超常現象を引き起こすハルヒを監視する為に異世界から派遣されて来たのだとか。
ここが何故そんなアニメの聖地になったかと言うと、作者がこの西宮の出身だからです。アニメに登場する喫茶店や高校前の坂も、作者が通い詰めた喫茶店や通学していた高校の坂をモチーフにしています。私もそこに行って来ました。このあらすじ、少しいじれば、今回の知事選挙にもそのまま使えるじゃない。このようにw。
「斎藤元彦SOS団の憂鬱」w
「知事になる事しか興味がない」とほざくモトヒコの為に、折田カエデがSOS団(世界を大いに盛り上げるための斎藤元彦の団)を立ち上げ、「#斎藤元彦知事ガンバレ」とSNSで応援を始めた。しかし、自己顕示欲の塊の折田は、自分の自慢話ばかりして、内情をベラベラと喋ってしまうので、その監視役として、立花孝志、吉村洋文、石丸伸二が急きょSOS団に派遣される事になった。元検事の郷原弁護士や裏金問題エキスパートの上脇教授から告発状も出された今、SOS団の運命や如何に?これでは「世界を大いに盛り上げる」どころか、また失職してしまう。なるほど、だから「SOS団」なのかw。
斎藤陣営だけ立花と2人3脚で、2人分の選挙資金と運動員、宣伝カー、ポスター、ビラをゲット。そんな違法ギリギリの不公平な選挙を繰り広げながら、やれ「斎藤さんは嵌められた」だの「悲劇のヒーロー」だの言ってる奴の気が知れない。嵌められたのはむしろ他陣営の方だ。
でも斎藤信者にはその程度の常識も通用しない。ネットで偏った情報しか見ないから。幾らネットに精通していようが、SNSを使いこなそうが、偏った情報しか見なければ情弱(情報弱者)と同じ。パソコンやスマホも、AI(人工知能)の働きで、検索関連情報=「その人好みの情報」しか集めなくなる。
でも、情弱の信者には、そんなネットの特性も理解出来ないから、「ほら見ろ、ネットでこんな事言っていたぞ」と、偏った情報ばかり鵜呑みにし、ますます陰謀論の泥沼にはまりこんで行く。むしろ、ネットをやらない人の方が、健全な常識を持ち合わせている場合が多い。これ、ブロガーとして長年活動してきた私の経験則。
ぶた猫ぶーにゃんの社会的マイノリティ研究所です。
西宮が「涼宮ハルヒの憂鬱」の聖地だとは初めて知りました。
(私はいわゆる「オタク趣味」はデジタルゲームしか嗜まないのでアニメやライトノベル、漫画にはすごく疎い)
しかし「斎藤元彦SOS団」とはうまいこと言うたなあと思います。
なんかあまりにも世の中の政治・社会状況が宇宙人すぎて私たち社会的マイノリティにとっては本当にしんどすぎます。
それも自民党とはまた違ったしんどさ。
「ネットは新たな庶民の『武器』になる」と言われていたのがもはや遠い昔です。
それでは寒くなってきましたのでお体にはお気をつけて。