『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

水無月六月、今月の六品その1

2009-06-06 10:58:54 | 酒の肴
地上では恵みの雨が降る季節、
天上界では水が無くなってしまうという、水無月(みなづき)。
みなさま如何お過ごしでしょうか?

味のノリがますますよくなってきたお酒のラインナップに添うように、
今月もあたらしい旬の料理が六つ、
メニューにならびました。

例によってひとつずつ、ご紹介していきますね。



「時鮭のあさりバター蒸し」

時鮭とは「時知らず」と呼ばれるこの季節の鮭のこと。
検索してみると、だいたいこんなことが出てきます。

「時鮭とは、ロシアのアムール川あたりから下りて来て
まだ成長途上(2~3年)の状態で獲れる鮭のことです。
若い鮭なのでウロコの色もとても綺麗です。
しかも若い分、栄養素が体に凝縮されているので
油のりも身の締まりも抜群です。
時鮭は時期はずれの5月~7月位に北海道太平洋沿岸を通って行きます。
特に日高の沖で獲れた物が一番良い状態です。」
(ちなみに秋に獲れる鮭はだいたい4~5年ものなのだそう)

その短い旬の「トキシラズ」を活かして
毎月の定番、「赤鬼の小鍋立て」にしてみました。

お供はいつものあさり出汁。
あさりの酒蒸しと鮭とバターとくれば、
脂も乗り、味もぐっと出たウマウマな組み合わせですね。
それをかさねたキャベツがやさしく受け止め、
味も食感もバランス良く仕上がった、熱々の蒸し鍋です。
ビールにも日本酒にもよく合って、
出汁の最後の一滴まで掬いたくなるような、
こくのある一品。ぜひ、おためしあれ。




水無月六月、今月の六品その2

2009-06-06 10:46:03 | 酒の肴
「冷やし水茄子」

先月からメニューに登場している泉州の水ナス。
アクのほとんどない大きな茄子は、
お刺し身として、縦割りしたのを生のまま
お醤油+グレープシードオイルで召し上がっていただくのが
毎年の定番になっています。
サックリとした独特の食感とその風味が好まれて
この季節の人気メニューのひとつです。

今回は、ちょっと趣向を変えて、
出汁の効いた冷製にしてみました。

炒ったさくらえびがほんのりと効いている出汁地に、
茹でた水ナスを漬け込みます。
味が沁みてほどよく冷えたところを、
長芋の千切りとわさびを添えて、お出ししています。

翡翠いろの茄子はしっとり、
まっしろの長芋はサクサク。
シンプルな冷やし茄子ですが、
お刺し身とはまた違ったうまみと食感で、
初夏の妙味が愉しめるひと皿です。

水無月六月、今月の六品その3

2009-06-06 10:28:53 | 酒の肴
「チェリートマトのお浸し、空豆ペーストがけ」

トマトのお浸し?味の想像がつかないわ、と
おっしゃるかたもいらっしゃるかもしれませんが、
トマトは、出汁にも合うんですね。
トマトのおでん、というのが
定番メニューの居酒屋さんもあるくらいです。

しかしこの「今月の六品」では、
ただのトマトのお浸しではつまらないので、
もうひとクセ、お酒のつまみになるようなものをと考えました。
そこで出てきた組み合わせが、これです。

そらまめを茹でて裏ごしし、
出汁と塩とほんのすこしのマヨネーズでのばしたペーストを
湯むきして浸し地に漬けたチェリートマトにかけました。
トマトの濃縮された甘みと酸味、空豆の持つ独特のコク、
それをシンクロさせる出汁の隠し味が効いています。
赤と黄色という二色のチェリートマトにペーストの緑とくれば
イタリアンカラーがたのしい一皿ですが、
口に運べばしっかりと、日本酒に合うようにつくられた
軽みとコクとを合わせ持ったおつまみなのです。





水無月六月、今月の六品その4

2009-06-06 10:12:41 | 酒の肴
「揚げ新じゃがの鱈子あんかけ」

水気が多くホクホクとした新ジャガは、
先月のサラダ仕立てでも好評をいただきました。
揚げると水分がぎゅっと閉じこめられて、
外側カリカリ中はやわらか、という
若々しいジャガ芋の味を堪能できますね。
そんな新ジャガもだいぶ育って大きくなる季節。
ここでは、丸ごと一個を、蒸して、素揚げして、
そこに熱々のあんをかけてみました。

タラモサラダという料理があるとおり、
ジャガ芋とタラコの好相性は洋の東西を問わず知られていますね。
出会いものとは、まさにこのこと。

やさしい銀あんにほぐしたタラコ、
きれいな塩味が利いて、プチプチの食感も楽しいあんかけです。
これがほっくりしたジャガ芋によくからんで、
箸も進めばお酒も進む、そんな一品ができました。


水無月六月、今月の六品その5

2009-06-06 10:01:23 | 酒の肴
「くらげとささみの梅酢和え」

六月といえば梅雨、入梅。
季節の名にも「梅」がはいっているとおり、
じっとりと蒸し暑いような日には
梅の爽やかな酸味がおいしく感じられますね。

そんな季節にぴったりの、清涼感あふれる酒肴が、これです。
ほの白く透きとおったお刺身くらげ、
さっと湯引きにした鶏のささみ、
そしてオカヒジキを、梅酢で和えました。
クラゲのコリコリ、ささみのねっとり、オカヒジキのシャキシャキと、
食感の違いもたのしく、さっぱりと口を洗ってくれる和えものです。
上に載せた茗荷の甘酢漬けの紅みと、
クラゲの白、笹身の薄桃色、オカヒジキの緑がまた
目にも涼しく、もう一献とかさねたくなる爽やかな箸休めです。

水無月六月、今月の六品その6

2009-06-06 09:45:35 | 酒の肴
「煮穴子とクリームチーズの和えもの」

この時期、穴子も旬ですね。
白焼き、小鍋だてなど毎年いろいろな料理で
穴子をお出ししてきましたが、今回はこれです。

さっと煮た穴子と、クリームチーズと青菜とを、
ツメ(甘辛の穴子の煮汁)で和えました。
穴子とチーズは本来どちらも淡泊なのですが、
ツメのこくがよく絡まってねっとり、ふっくらした味わい。
そこに青菜(小松菜など日によって変わります)の
シャキシャキ感がほどよいアクセントになっています。
それぞれの素材が引き立てあったなかなかにオツな酒肴です。
濃厚芳醇な生酒はもちろん、燗酒にも合いますよ。