『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

如月二月、今月の六品 その1

2012-02-07 10:25:30 | 酒の肴
朝晩の冷え込みはまだまだ続いていますが、
夕方、すこし日が長くなってきたのを感じるこのごろ。
皆さま、如何お過ごしでしょうか。

今月も、旬のものをたくさん使った
とくべつメニューが出来ました。
二月の六品、いつものようにご紹介します。
ぜひぜひ、おためしあれ!



「菜の花の白和え」

南から運ばれる、春のたより。
そのさきがけのように、菜の花が市場にとどきます。
歯ごたえとほろ苦さ、力強い青ものの味。
シンプルな芥子和えも人気の、菜の花です。
その菜の花をつかって、若手スタッフ竹下が
白和えをつくりました。

味見をさせてもらったら、料理名を聞いたときのイメージと
全然違うものが出てきたので、びっくりした筆者です。
豆のあまさを丁寧に引き出した白和えの地はちょっと多め、
湯がいた菜の花にふんわりと添わせ、
薄く薄くむいた独活で巻いて供されます。
うどのシャキっとした「皮」につつまれた
菜の花と豆腐のハーモニー。
白和えというより春巻きか、こんなまとめかたがあったのか、
新鮮なサプライズとともにおいしさの和合を噛みしめました。
美しい和菓子のような姿も目に愉しい一品です。

(竹下作)

如月二月、今月の六品 その2

2012-02-07 10:09:56 | 酒の肴
「ヤリイカとうるいの梅和え」

旬を先取りしたヤリイカ。
早春に産卵のため接岸してくるものを煮付けたりして
毎年メニューに載せてきましたが、
今回は、みずみずしい山菜「うるい」とともに
さっぱりと、梅和えに仕立ててみました。

梅干しと一緒にさっと炊いたやわらかいヤリイカ、
ほんのり味をうつしたところで
シャキシャキのうるいとおいしいわかめとを合わせ、
さらりと梅肉で和えています。
うるいの持つ歯ごたえと少しのぬめり、
わかめの潮のかおり、
そしてヤリイカのタウリンたっぷりのうまみ。
このところ「六品」では若手スタッフのバックアップに回り、
皆の作ったものをみてからバランスを考えて
自分の料理を決めている店長中村が、
早春のさわやかさを先取りしてつくった、
海のめぐみと山里のめぐみの出逢いものの逸品です。

(中村作)



如月二月、今月の六品 その3

2012-02-07 09:52:58 | 酒の肴
「黒むつの新じゃがロール揚げ」

冬に旬を迎えるお魚、黒ムツ。
脂ののった高級魚はお刺し身や煮付けが多いですね。
その黒ムツを、出始めの新じゃがと一緒に揚げものに仕立てました。
これはもう、料理長でないとなかなか扱えない上級技です。

むっちりとやわらかい身は「むつこい」(あぶらっこい)から
きたと言われるその名のとおり。
なめらかにマッシュした新ジャガを芯にして黒むつの身で巻き、
粉をまぶしてぱりっと揚げています。
熱々を旨出汁でいただく変わり天ぷらは、口に入れれば
ジャガ芋の瑞々しさとねっとりした魚のうまみが相まって、
思わずう~ん、と目を細めたくなる佳肴です。
揚げたてを、どうぞ!

(菅作)



如月二月、今月の六品 その4

2012-02-07 09:36:43 | 酒の肴
「カキのもろ味噌焼き」

今年は手ごろな牡蛎がなかなか入らないので、
毎年生牡蛎を楽しみにして下さっているかたに
殻付きの牡蛎をお出しできずにいます。
冬には大人気、生でも火を通してもおいしいカキですが、
その旨味をこんなかたちで、酒肴にしたててみました。
牡蛎の、もろ味噌焼きです。

若手スタッフ浅沼が、まずカキを漬け込むもろみ味噌床づくりから
あれこれ試作を重ねました。
味や漬ける時間など、何度もつくってみて改良し
「これだ!」となったのが、このお味。
身がしまってうまみの凝縮されたカキをさっと焙って、
こうばしいかおりと共にお出しします。
海のミルクの力強さが麹のゆたかな風味につつまれ、
お酒がますます進んでしまう、蠱惑の酒肴です。

(浅沼作)


如月二月、今月の六品 その5

2012-02-07 09:27:48 | 酒の肴
「白子の茶碗蒸し」

先日も、十年二十年といらして下さっている方から
「いろんな料理が出るようになったなあ」と
お言葉をいただきましたが、
ついに「六品」に、赤鬼初の「茶わん蒸し」が登場しました。
今まで、あの狭い調理場と限られた時間のなかでは
なかなかチャレンジできなかったメニューです。

ぷっくりと火の通った真鱈の白子は
それだけでお酒が進む酒肴の王道ですが、
上質な出汁とたまごでつくった茶碗蒸しに仕立てることで、
さらに口福が増した、贅沢な一品です。
濃厚な白子のうまみとその風味の染み込んだなめらかな卵、
柚子胡椒のアクセントがぴりっと効いて、
ひとりでまるごと平らげたくなるようなオツなひと品ですよ。

(菅作)


如月二月、今月の六品 その6

2012-02-07 09:16:27 | 酒の肴
「白菜と豚肉の豆乳鍋」

そのむかし、冬には「赤鬼鍋」というメニューがありました。
白菜と豚肉の重ね蒸し鍋です。
シンプルながら、ほろほろと煮え上がった豚肉と、
やさしい味の染み込んだ白菜はあとをひく旨さで
身体のあたたまるお鍋でした。

知らずしてその赤鬼鍋の進化系となったのが、
今回スタッフ大内がつくった小鍋立てです。
地を豆乳で仕立て、冬野菜の甘みをさらに引き出しています。
雪の白はしんしんと寒さを感じさせますが、
お鍋の中のやわらかな白は、あたたかさの象徴。
蓋を取ったときの湯気からごちそうの始まり。
おいしくてポカポカになる、滋養たっぷりのお鍋です。

(大内作)