台風が去って十月がやってきました。
少しずつ深まってゆく秋の風情、
皆さまは如何お過ごしでしょうか?
今月も、心をこめてつくった定例「六品」が
できました。
ぜひぜひ、おためしください!
それではいつものようにひとつずつご紹介していきます。
「とろっと揚げ芋」
まさに秋に旬を迎える里芋は、
薩摩芋やジャガ芋よりもはるかに古く、
縄文時代から、日本人に食べられてきました。
栄養もたっぷりで、独特の粘りの成分は
ムチン(潰瘍予防、肝機能強化)や
ガラクタン(血圧やコレステロール値を下げる)。
ナトリウムの分解を助けるカリウムが豊富で
アミノ酸も多種含み、和食には欠かせない素材です。
(ちなみに、里芋の産地上位には、一位千葉を始め
関東五県が入っています。まさに地産地消の素材なのです)。
ふっくらと炊いた里芋はそれだけでもおいしいのですが、
そこに粉をつけてカラッと揚げ、うまみをぎゅうっと凝縮させ、
さらにきれいな出汁のあんかけにしました。
見た目はシンプルですが、
口に入れればとろとろ~ふわふわ~モチモチ~と、
三重の手間ぶんの複雑な滋味が染み込んできます。
燗もよし、うまみの乗り切った生酒もよし、
お酒のあてには和むこと間違いなしの小鉢です。
思わず「はー」と幸せなためいきを呼ぶ、
無骨な秋の宝石を、ほっこりほくほく、味わってくださいな。
(竹下作)