『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

おいしい本その1 武田百合子「富士日記」ほか

2007-07-31 15:13:12 | おいしい本のはなし
梅雨が明けましたね。
青空を入道雲がふちどって、いよいよ、夏、本番です。
今日ははじめての試みで、「おいしい本」をご紹介したいとおもいます。

筆者はいわゆる「読書家」ではありませんが、本が好きで、小説を読んでいる時間が無上の楽しみ=愉しみ、喜び=歓びです。せっかくここになにかを書かせて頂くのだから、お酒や料理に関する「これは!」と思う本や写真集を紹介したいと思い、「おいしい本のはなし」というカテゴリをつくってみました。

その、一回目に、何をとりあげるか。
実は、前々から、心に決めていたものがあります。
決して料理の本でもレシピの本でもありませんが、私は迷わずにこれを挙げます。
「武田百合子全作品集」。

私が最も尊敬し大好きな四人の女性、マザーテレサ、キャサリン・ヘップバーン、レラ・サン、そして武田百合子。
百合子さんは、作家武田泰淳夫人、天衣無縫にして魅力的な人柄が溢れ出る文章をのこした人です。でも、泰淳氏が生きている間はそのサポートに徹し、富士山をのぞむ山荘にて暮らした日々に、家計簿のようにつけた日記しか、書いていないのです。氏の亡くなったあとにいくつかエッセイを書かれましたが、わずか67歳で亡くなられました。ほんとうに惜しいと思います。
率直でざっくばらん、自分の欲もずるさも隠さず、面白い発想とゆたかな感性がちりばめられた、どれも素晴らしい作品集です。「富士日記」は、日常のさりげないできごとをつづりながら、その文章の情感ととても冷静な外からの眼でもって、「いち主婦の日記」を文学へ昇華しています。あとにつづく、泰淳氏とのロシア旅行記である「犬が星見た」もすばらしいし、食にまつわる思い出を綴った「ことばの食卓」も、あちこちを見てあるく独特の視点がたゆたう「遊覧日記」も、娘さんの花さん(写真家)や市井の人々が生き生きと絡んでくる「日々雑記」も、本当に本当に面白いのです。
「富士日記」のなかである日、百合子さんは唐突に
「心がざわざわする。私の食欲と金銭欲と性欲。」
と日記をしめくくっていますが、「たべること」の記述は、全作品中まことに頻々と出てきます。それがいちいち印象深い描写なのです。
山小屋作りの作業に来る地元の人たちのぎっしりごはんが詰まったお弁当。
浅草で鼻血が出て食べられなくなった海老天丼。
ロシアの河畔でりんご水を飲みながら「今度ここに来ることがあったら瓜をたべたい」と書く。
貝屋をやっていたおばあさんがもてなしのために震える手で卓袱台にぶちまけてくれるお煎餅。
戦後、水飴にコーティングして売り歩いたチョコ玉のつまみ食い。
お弁当の魚フライのしみじみしたおいしさ。
歯のない夫にせっせと切ってたべさせた枇杷はしかし、泰淳氏が2個たべるあいだに百合子さんは8個たべたと綴ってあって。
「たべること」は百合子さんにとって「生きていること」そのものでした(私にとってもそうかもしれません)。そういう時代だったと言えばそれまでですが、食べものについての蘊蓄でない自然な興味と関心を、これほど生き生きと綴った人がいるでしょうか。人生に起こる他のことと同様に、食べものとして身体に入ってくるものを、百合子さんはその全的感性でとうとうと受け入れていったのです。

そして、圧巻なのは、「富士日記」、泰淳氏が脳血栓で倒れ、いっとき元気になり、再び倒れて肝臓がんで亡くなる、最後の日々の日記です。
…………………
歯が治ったのでうれしくて、固いお煎餅をバリバリ食べていた泰淳氏。
「それもお米だからカロリーがあるよ」と百合子さんが言うと、パッと食べるのをやめます。
「え?これ、米でできてるのかあ。ちっとも知らなかった。」そしてポツリ。
「あれが悪い、これは悪いから食べてはいけない、と医者は言うがな。生きているということが体に悪いんだからなあ」
聞いていた百合子さんは「むらむらとして、べそをかきそうに」なります。

「体に悪いものはおいしいねえ」。どさくさにまぎれて鰻を取って食べてしまおうとしている泰淳氏に百合子さんが言う、そのひとことのなんという重さ。

「かんビールをください。怪しい者ではございません」と言って缶を開けるまねをする、入院前夜の泰淳氏、それでもビールをあげられない百合子さんと花さんは、笑うしかない、そんな夜。
…………………
挙げて行ったら、きりがありません。その食いしん坊ぶりにあきれたり、笑ったり、食べることの重さを思って切なくなったり…。食にまつわる喜怒哀楽のすべてが、このたった5つの作品の中に詰まっています。食べて笑って怒って泣いてあちこち動きながらしっかり生きた、そんな百合子さんの言葉は、文字通り五臓六腑に染み渡ります。

縁あってこれを読んでくださった方すべてに心からお勧めしたい、そんな本たちです。私の読み古したのでよければ、いつでもお貸ししますね。百合子さんのチャーミングさに惚れてしまうこと、請け合いですよ。

「富士日記」「犬が星見た」「ことばの食卓」「遊覧日記」「日々雑記」
武田百合子著 全集は中央公論社 文庫版でも出ています。

    ★次回は「調理場という戦場」(斉須政雄)を紹介する予定です★

/R

今週末、恒例赤鬼浴衣会です!

2007-07-26 16:56:19 | イベント、お知らせ
来たる7月28日(土)&29(日)は、毎年恒例の「赤鬼浴衣会」です。
この両日、ゆかたを着てご来店くださったお客様は、女性二割引、男性一割引になります。
梅雨も開けて盛夏にさしかかろうというこのごろ、目にも涼しいゆかた姿で宵の一杯をリーズナブルに楽しみませんか?
従業員ももちろんゆかたでお迎えいたします。

赤鬼の毎夏の恒例行事ですが、昨年までは7月と8月の「最終土曜日」のみの開催でした。
今年は7月も8月も、月末の土曜日曜、二日間ずつおこないます。
つまり8月の25日(土)、26日(日)にも開催いたしますので、今月は無理というかたはそちらに是非!

お店は例年にならい、混み合うことが予想されます。ご来店前にお席の予約・空き状況の確認をしていただけますと、たいへんありがたいです。お手数ですがよろしくお願い申し上げます。
いずれの日も通常通りの時間で営業いたします。みなさまのお越しをお待ちしております。



※以下、ご参考までに…※

アニメで簡単解説 浴衣の着付け 女性篇 http://yukatalism.com/html/ktkv2_index.html
アニメで簡単解説 浴衣の着付け 男性篇 http://yukatalism.com/homme/how_to_dress01.html


最近は浴衣のアレンジメントもいろいろで、膝丈でミュール!とか付け爪派手ピアス!とか、なかなか斬新な着かたも見かけますが、筆者は個人的にはオーソドックスなきれいな着こなしが好きです。
着物のカジュアル版ですが、基本は着物と同じなので、「一髪二化粧」、髪はすっきりとまとめ、うす化粧で爽やかに、アクセサリはせず、襟も抜きすぎないのが正統派とおもいます。いわば「引き算の美」ですね。そうするとポイントはうなじと足首になりますから、ここを磨いておきましょう!
縦ラインが大事なので、うしろの中心線がすっきり真ん中に通り、帯は若い方や小柄な方は高めに、ご年配の方や背の高い方は気持ち低めに結ぶのがきれいです。
清楚で端正な、粋が匂いたつような着こなしをしている浴衣の女性を見ると、ほんとうに「涼を呼ぶ」おもいがして、同性ながら目の保養になります。男性が前下がりの角帯をぴしっと決めているのも気持ちがよいものです。襟がだれてしまう人は、着る前に固めに糊付けをしておくのも手かもしれません。スプレー糊ならアイロンをかけるだけなので簡単ですよ。ゆかたはもともと寝間着、室内着ですから、外へ着ていく時はだらしなくならないような工夫も大切だと思います。
また、洗いざらしていない浴衣はけっこう蒸し暑く感じられるかもしれません、汗とりのパウダーシート、ガーゼのハンカチ、そして団扇など、持ち歩くと重宝します。下駄を履き慣れないかたは、足指がすれたりしますので、ちいさな絆創膏を懐にしのばせてしておくと役に立ちますよ。

…と、お客様にはこんなことを言いつつも、毎年、浴衣で働くと汗だくでよれよれ、帰る頃には萎れた姿になっている筆者は、書きながら反省もしております。そういえば、所持しているうちの一枚は、なんと高校の家庭科で反物から縫った浴衣なのです。ひと夏に2~3回しか着ないので、四半世紀洗いざらしていても、まだまだしっかり着られます。すごいなあ日本の布、直線断ちって、いたみにくいのかしら。さすがに少し丈は短くなりましたが、働くのにはちょうどいいので、今年もまた着るつもりです。

はなしがだんだんそれてしまいましたが、そんなこんなで、今週末。
いろんな工夫と心意気とで、ゆかたを素敵に着こなして、ぜひぜひ赤鬼へ遊びにおいでくださいね!
お待ちしております。



/R

小左衛門フェア、大盛況でした。ありがとうございました!

2007-07-20 13:09:30 | イベント、お知らせ
昨晩の「銘酒小左衛門フェア」、大盛況でした。
ご来店くださったかた、お問い合わせくださったかた、そして中島さん、ありがとうございました!

サーヴィスの梅酒(お猪口も用意してくださって、記念に皆さんにお持ち帰りいただきました)をスターターに、ほぼ全員の方々が、いろんな種類の「直汲み」を試されました。
私も何種類か味見させていただきましたが、本当においしかったです!
新鮮で、ライブで、身体に元気がわいてくるような味わいでした。
お米による特質もはっきり出ていて、全種類試されたかたも数組いらっしゃいましたが、全然飲み飽きせずたのしかったとおっしゃって頂きました。
もうひとつの中島さんからのサーヴィス、山牛蒡と菊芋の赤味噌漬けも、お酒によく合う美味しさで、皆さんほんとうに「瑞浪の味」を堪能されたことと思います。

何よりも。
やっぱり、全然ちがうんです。
造ったひとが説明して、注いでくださるというのは。

その情報量もさることながら、絶対に我々従業員では伝えきれない「作り手のハート」が
きっと昨日のお客さまにはじわじわと沁みていったことでしょう。
お酒を造る人が、造ったお酒を自分の子供のように言われることがよくありますが、
まさにその感じ。
気持ちが伝播すると、ほんとうに、お酒もおいしくなりますね。
私たちもとても勉強になり、楽しく、得るところの大きい一夜でした。
明日からも大事に慈しんでお酒を出して行こう、と、いち従業員としてしみじみ思いました。

しかしながら、初めてのこころみだったこともあって、営業中ずっと、店はバタバタしておりました。
いらしてくださったかたは、こちらのいろいろな不手際を、中島さんの笑顔に免じてゆるしてくださったのだと思います、ほんとうにすみませんでした。
また、混んでいて入れなかったかた、ごめんなさい。
お酒を多めに持って来てくださったので、「直汲み」はまだ少しだけ在庫があります。
我々のサーヴィスではとても中島さんに及びませんが、よろしかったら蔵元に行かなければ飲めない数々の珠玉の味わいを、この機会にぜひご体験ください。
(お出しできる種類や価格など、詳しくは店の者にお尋ねくださいね)。

追ってまた、写真など載せて参ります。
中島さん、みなさん、本当にありがとうございました!


/R



いよいよ明後日「小左衛門フェア」、そして月末は浴衣会です!

2007-07-17 15:44:30 | イベント、お知らせ
三連休は台風で雨でしたね。
土曜日など、あの悪天候のなか、たくさんの方がお店に来てくださって、ありがとうございます。この期間にかぎらず、ちょうど混んだ時間帯で入れなかったかた、お待たせしてしまったかた、ごめんなさい。7時から9時くらいは、どうしてもお客様が集中してしまうので、お手間をかけますけれど、とくに週末は、なるべくお席のご予約をお願い申し上げます。
また、「予約の入っている時間までなら空いている」お席でもよいと言ってくださる方が多く、本来ゆっくりお酒の席を楽しんで頂きたいのですが、お言葉に甘えております。かさねてここでお礼申し上げます。

さて、先日お知らせした「銘酒小左衛門フェア」が、いよいよ明後日となりました。
くわしくは前回のこのブログでお知らせしましたが、ただでさえあまり飲める機会のない「直汲み」が11種類というのは、いままでに例を見ないことですので、ぜひぜひお立ち寄りください!
今のところ、テーブル席は予約でいっぱいになっておりますが、うんと早い時間(5時半~7時半)か、遅めの時間ですと、空きがでる可能性がございます。どうぞお手数ですが空き状況をご確認の上、お出かけくださいませ。満席の場合「空いたらこちらからお電話します」ということもできますので(もちろんお電話した時点でのキャンセルもできます)、どうぞご遠慮なくお申しつけくださいますように。
当日残念ながらご都合のつかない方も、「小左衛門」は引き続きいろいろな種類を置いてまいりますので、いらしたときにまたご案内させていただきますね。

そして。
いつも「隅田川花火大会」や「恵比寿盆ダンス」と重なってしまうのですが、来たる7月28日(土)、29日(日)の二日間は、恒例の「赤鬼浴衣会」です。
来週、もう一度当ブログでお知らせいたしますが、この日に浴衣を着てご来店いただいた方は、お会計が「男性一割引、女性二割引」となります。これも二十年にわたって続いている赤鬼の恒例行事で、昨年までは「7月&8月の最終土曜日」の開催でしたが、今年は一日ずつ増やして「7月&8月の最終土曜日、日曜日」となりました。
こちらもお誘い合わせてぜひお越し下さいませ。従業員も浴衣でお迎えいたします。

それでは、梅雨寒をひっぱる曇天と雨のなか、どうぞおいしいお酒が飲めますよう、お身体大切にお過ごしくださいますように。

/R

銘酒小左衛門フェアのお知らせです!

2007-07-09 15:54:39 | イベント、お知らせ
中島醸造さんご来店!
銘酒小左衛門フェア


来たる7月19日(木曜日)、銘酒「小左衛門」の造り手である
岐阜県瑞浪市、中島(なかしま)醸造のご当主が、赤鬼にいらっしゃいます。
めったに飲めない「小左衛門」直汲みを11種類も取り揃え、
なんとご当主みずから説明つきで注いでいただけるという、
赤鬼初の蔵元さん出張イヴェントです!

芳醇で個性的な味のお酒を数多く造っていらっしゃる中島さん、
スタッフが昨年見学にお邪魔し、大変お世話になった蔵元さんでもあります。
今回用意してくださるのは、全品直汲み(じかくみ)。
直汲みとは、「タンクから直に汲む」こと。通常お酒は搾ったあと少し落ち着かせてから瓶詰めするのですが、直汲みのお酒は、搾ってすぐに瓶詰めするので、残存する炭酸ガスとともにフレッシュな味わいがたのしめる、特別なお酒なのです。

☆気になるお酒のラインナップは、以下の通り。すべて直汲みです。☆
 小左衛門 純米大吟醸 35%精白(お米は秘密)
 小左衛門 純米大吟醸 播州山田錦
 小左衛門 純米大吟醸 備前雄町
 小左衛門 純米大吟醸 うすらひ(おりがらみ)
 小左衛門 純米吟醸 蔵人の情熱
 小左衛門 純米吟醸 13号 播州山田錦
 小左衛門 純米吟醸 38号 備前雄町
 小左衛門 純米吟醸 47号 瑞浪米
 小左衛門 純米吟醸 20号 瑞浪米
 小左衛門 純米吟醸 吟の精
 小左衛門 純米吟醸 美山錦
 (番号はタンクの番号で、仕込み順につけられるもの。
瑞浪米は小左衛門さんの地元の酒米です)。

ふだんでも、赤鬼での一杯が600円~1600円と、コストパフォーマンスの高さはピカ一なのですが、今回はなんと、小左衛門さんのご好意により、上記の全種類を
「一杯につき通常価格の200円引き」
にてご提供いたします!

そして、同じ岐阜から直送の「防風」(からし和え)「こんにゃく」(刺身)がまた、このお酒たちを引き立ててくれることと思います。日頃から赤鬼でご好評をいただいているメニューです。

さらに、蔵元さんご持参の山牛蒡の赤味噌漬けと梅酒がふるまわれたり、当日まで秘密のサプライズプレゼントもあるそうですよ。どうぞご期待ください!


なお、お店は通常通り営業しておりますが、当フェアの告知によりかなり混み合うことが予想されます。
お手数ですが、ご来店前に予約もしくは確認電話をいただけますとたいへんありがたいです。
よろしくお願い申し上げます。

※詳細は店内ポスターでも告知いたします。フライヤーもあります!いずれも古くからの常連さんであるI氏がデザインしてくださったものです。

文月波の日 魚のはなし

2007-07-03 15:18:14 | 赤鬼つれづれ日記
はやいもので、おとといから、7月になりました。
赤鬼だよりもすこしリニューアルしました。
カテゴリ(当文章の右上に表示されています)を増やし、イベントやお知らせのほかに、お酒や肴や季節にまつわるあれこれを綴っていきます。
この「つれづれ日記」は、お店まわりのよしなしごとを訥々とかたる、雑学雑感を含めた読みものです。

さて、その一回目は、暦のおはなしです。

先月末、「水無月」を召し上がった方はいらっしゃいますか?
6月30日は「夏越祓(なごしのはらえ)」、この半年間のけがれを祓い、夏以降の疫病除けを祈願する行事です。
この日京都では、三角形の白い外郎(ういろう)に甘い小豆がのっている和菓子「水無月」を食べるとききました。
白い三角形は暑気を払う氷を象徴し、小豆は疫病祓いの意味合いを持っているのだそうです。
私は一度もたべたことがないのですが、季節ごとに意味と知恵のこめられた食品があるって、良いですね。
自分ではせいぜい「おついたち」にお赤飯を食べるくらいしか思いつきませんが…。

さて、海開き山開きの文月朔日(ついたち)、きのうは暦の上では「半夏生(はんげしょう)」、そして今日は語呂合わせで波の日なのだとか。筆者はメールマガジン「暦のツボ」と「今日は何の日」で、その日のあれこれを読んで楽しんでいます。ちなみに半夏生とは「 雑節のひとつで夏至から11日目にあたる。一般的に梅雨明けの頃。半夏という薬草がはえる時期の意味。天文学的には太陽が黄経100度の点を通過する日」なのだそうです。

さて、せっかくネタ元があるので、夏に旬をむかえるお魚について、その「暦のツボ」から引用させていただきましょう。

<旬のおさかなあれこれ>

【疣鯛(いぼだい)】
東北以南の海で獲れる高級魚。煮付け、塩焼き、干物でよく食べられる。とくにヒレ近くの肉は脂がのって旨い。

【穴子(あなご)】
アナゴは味が年間を通して変わらないが、盛んに出回る夏が旬。ウナギは全国的に食べられ、ハモは関西を中心に、アナゴは関東を中心に賞味される。

【鮑(あわび)】
アワビの旬は夏。刺身に向くのはクロアワビ、マダカアワビ、酒蒸しやステーキによいのがメガイアワビ。アワビはコンドロイチンを多く含み、老化の進行を抑えるほか、血枯れを治し、病後の回復・解毒に効果がある。

【ウニ】
ばふんウニは春が旬だが、えぞばふんウニ、紫ウニ、しらひげウニは夏が旬。ウニの旨さの甘味は、グリシンなど6種類のアミノ酸が醸し出すもの。タンパク質、脂肪、ビタミンEを多く含む。

【はも】
旬は梅雨明けの頃の6月~7月。関西では夏の魚料理には欠かせぬ魚となっている。ビタミンAを多く含み、皮には肌や眼の老化防止に役立つというコンドロイチンが含まれており、夏バテの防止や美容によい。

【鱸(すずき)】
6月~9月においしくなる。成長に従い呼び名の変わる出世魚で、夏の魚の代表格。夏のスズキは脂がたっぷりのり、また脂肪性ビタミンA、Dが豊富で夏のスタミナ回復にもってこいである。

【鯒(こち)】
よく身の締まった白身魚なので、新鮮なものは刺身や洗いにするとよい。煮 付けや天ぷら、ちり鍋にも向き、出汁がよく出るのでぶつ切りにして味噌汁にするのも手軽でおいしい食べ方である。

【かんぱち】
アジ科の魚。初夏から秋にかけてがおいしい時期。幼魚は魚体が黄色いことからヒヨッヒ(シオッコ)と呼ばれ、高級魚の仲間に入っている。カンパチは肉が締まっていてコクがあり、脂ののりもよく、舌触りもよい。夏の高級魚の一つである。

【しじみ】
土用シジミとか寒シジミといわれるように夏と冬が旬。肝臓によい働きをする各種のアミノ酸を多く含み、カルシウム、ビタミンB2もたっぷり含んだ栄養豊富な食品である。身を味わいたいなら、煮立った湯に入れると旨みが逃げない。エキスを味わうには、水から入れて煮るとよい。

【虎魚(おこぜ)】
初夏から晩夏がおいしい時。悪相に似合わず、白身の肉は上品で美味。刺身、唐揚げ、わん種、煮付け、ちり鍋にと楽しめる。唐揚げにするときは必ず2度揚げすること。


いかがでしょうか。
「ウニ」「穴子」「カンパチ」「コチ」「スズキ」は、赤鬼でも食べられます。
旬のおさかなのうまみと効用を知って、より愉しいお酒タイムをどうぞ!
(R)