新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

一般名処方の増加:ジェネリック推進はよいがバイオアベイラビリティも考えて

2012-05-02 20:38:56 | 医療

さて、追加します

 

一般名処方の増加に関してです。ジェネリックを使用しやすいように(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shohosen.html)…ということでしょうが、なんか微妙なところです。

 2012年度の診療報酬改定以降、調剤薬局の処方せんの総受け付け回数に占める一般名処方の割合が増加していることが、ネグジット総研の調査で明らかになった。200人の薬剤師を対象に実施した同調査によると、改定前の一般名処方の割合を0%と回答した薬剤師が6割を超えていたが、改定後は1割と大幅に減少した。9割の薬局で一般名処方の処方せんを受け付けたことになる。12年度改定で、医師が一般名処方した場合に処方せんの交付1回につき2点が算定できる「一般名処方加算」が導入されたことが主な要因と、同社はみている。

 調査は改定直後の4月6日から15日にかけて、インターネット上で実施した。

 改定前の一般名処方の割合を尋ねたところ、「0%」が61.0%で最も多く、次いで「1-10%未満」が27.0%だった。以下は、「30-40%未満」の3.5%が最も多く、40%以上の回答項目はすべて割合が1%以下だった。

 これに対し、改定後は「1-10%未満」が22.5%で最も多く、「30-40%未満」が12.0%でこれに続いた。「0%」は10.5%で、改定前から50ポイント以上も減少。30%以上の割合は累積で47.5%に上った。「90%以上」も10.0%あり、改定前から9ポイント増加した。

 また、一般名による処方が多い医薬品を見ると、鎮痛薬ロキソプロフェンNaが16.9%で最も多く、胃潰瘍治療薬レバミピド、高血圧症治療薬アムロジピンが共に14.2%で、これに次いだ。
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一般名といってもピンとこないと思いますが、言ってしまえば一般名とは「主な薬効成分名」みたいなものです。逆が商品名です。
 
今までは商品名を書いて、ジェネリックでもいいよ…としていたのを「一般名書いたら20円病院の収入アップ」としたので、追い込まれている多くの病院は20円を患者さん一人につきアップさせにいっているというところです。
 
そしてその一般名を見ながら薬局で「どの薬品を処方するか」というのを選ぶということになります。もしかしたら薬局でも「利益率が良いジェネリック」を使用しているかもしれません。
 
僕は以前も書きましたがジェネリック医薬品に関して「鎮痛薬」など生命にかかわらないもの、一時的に使用する薬剤は積極的にジェネリックにするべきだと思っています。
 
しかし、抗がん剤などはどうなのかと思っています。処方する抗癌剤でジェネリックが存在する5‐FU、テガフール、点滴だとゲムシタビン(ジェムザール)は一言でいえばオリジナルによる治験でのデータはありますが、ジェネリックでのデータはありません。それは大きなことだと思っています。
 
 
例えば、僕が一般の人と話をしていてびっくりした言葉があります。
「飲み薬の薬を水に溶かして、点滴すればいいのではないの?」
と、いわれ・・・
「まず、水に溶けて薬としての作用があるかがわかりません。物によっては腸内で薬効成分に変わったり、肝臓を通過するときに変わったりします。第一、多分100%オレンジジュースを点滴したら死ぬ可能性があります。同様に安全かもわかりません」
と答えました。
 

ここまで大きな例えだと「それはいくらなんでも」と思われるかもしれませんが、主成分が同じでも他のところが異なるジェネリック医薬品は「吸収効率」などが変わる可能性があります
 
これをバイオアベイラビリティと言いますが、吸収効率や分解の受けやすさ(初回通過効果)によっては想像以上に薬効が弱まるかもしれないわけです。それ故、僕は上記のように「抗癌剤や主軸として生活習慣病に対して使用している薬剤」はジェネリックにしないようにしています。
 
逆に鎮痛薬や胃薬などはジェネリックで…と思っていますが。
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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2012-05-02 20:19:58 | 医療

こんばんは

 

今日はGW前に結婚式の招待状を取りに来てほしいといわれ、取りに行っておりました。とりあえず、あとはGW中に封筒に入れて発送します。

雨と風がひどく強かったので、濡らさないように持って帰ってくるのが大変でしたが。

 

さて、本日は以前も紹介いたしました「卵子保存」の記事に関連したものです。

卵子保存で妊娠:可能性を残す治療というだけで素晴らしいと思う

 

広がるがん患者の卵子保存
副作用による不妊に備え
情報の普及に課題

 
医療技術の進歩で多くのがん患者が社会復帰を果たせるようになった。一方、治療の副作用によって卵子が作れなくなることがあり、がん克服後に子どもを産みたい女性患者にとってつらい問題となっている。最近、未婚のがん患者が不妊になる前に卵子を採取して凍結保存し、結婚してからの体外受精に備える動きが広がっている。
 ▽不安と決断
 「ほらほら、いい子ねー」。関西地方に住む主婦、水谷彩子さん(44)=仮名=は、昨年7月に出産した娘を抱え、満面の笑みで話し掛ける。
 大阪で働いていた34歳の時、独身の水谷さんは急性白血病を発症した。抗がん剤治療を約半年間受け回復。治療終了後、急いで専門医を訪ねて卵子数個を保存した。
 「すぐに不妊にはならなかったけれど、病気が再発してさらに治療を受けたら、どうなるか分からない。年齢も考えての決断でした」
 幸い再発はなく42歳で結婚。赤ちゃんを望んだが妊娠せず、不妊治療を始めた。その際、新たに採取した卵子を使った体外受精も試みたが、最終的に妊娠が継続できたのは若い時に保存しておいた卵子だった。
 「再発して不妊になっても妊娠のチャンスが残っていると前向きに考えられた。がん治療後の不安な気持ちが随分と和らいだ」。水谷さんは当時の心境を振り返る。
 ▽妊娠の適齢期
 生体組織を零下196度の低温で急速冷却する「ガラス化法」の開発で、卵子を傷つけずに保存できるようになったのは2000年ごろ。  水谷さんは、凍結卵子により出産したがん経験者の国内第1例とされる。母子ともに健康で、同じ境遇の女性にとって明るいニュースとなった。
 多くの不妊治療を手掛けた加藤レディスクリニック (東京都新宿区)の青野文仁・研究開発部室長によると、骨髄移植や卵巣近くへの放射線治療では8割以上が不妊を招く。抗がん剤のみの治療はそれより低いとされるが「不妊の恐れは無視できない」(青野さん)。
 がんが発覚してすぐの治療で問題が生じなくても、再発後の治療で不妊になる事例も多い。治療を終えてしばらくしてから結婚や妊娠を考える患者もおり、卵子が妊娠の適齢期を逃してしまうことがあるという。
 同クリニックでは、依頼を受けると病状や抗がん剤投与のタイミングなどを主治医と相談し、治療に支障がないことを確認して卵子を採取する。希望者のがんの種類は血液がん、乳がん、肺がんなどさまざまだ。
 ▽選択の機会を
 こうした取り組みは当初、民間クリニックが個別に進めてきたが、現在は日本産科婦人科学会もがん患者の卵子凍結の重要性を認めている。国内のクリニックを中心とした研究グループが07年に学会の承認を受け、血液がん患者を対象に卵子採取や体外受精の安全性を厳密に確かめる臨床研究を開始。昨年末までに全国の21施設が参加した。
 技術的に卵子保存は可能になったが、患者への普及には課題が残る。大谷貴子・全国骨髄バンク推進連絡協議会前会長(50)によると、治療による不妊のリスクと卵子保存の説明を主治医から受ける患者は少ない。「治療開始までに採卵する時間は十分あったのに何も伝えられず、後でショックを受けることがある」と大谷さんは憤る。
 「道が開かれたのだから、医師は患者のがん克服後の人生も考えて卵子保存を選択できるチャンスがあることを伝えてあげてほしい」。白血病治療で受けた骨髄移植の後遺症のために20代で卵子を失った自身の経験を踏まえ、大谷さんは強く訴えている。(共同通信 菊池太典)

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抗癌剤の使用者に対して挙児願望があるかどうかはまず確認することです。ですので不妊のリスク説明がないとは思いませんが、女性に対しては少ないかもしれません。精子の方が不妊になる可能性が高いし、精子保存はよく行われますが卵子保存は一般的ではありませんでした

 

女性の方で骨髄移植を行った30代の女性の方には「卵子保存」の話はしましたが、CHOP療法などの悪性リンパ腫に対する治療では「不妊の可能性は低いが0ではない」という説明になりますし、急性白血病に関しては「説明して、採取する時間的余裕がない」ため、いったん治療に入るというのが実情です。

 

抗癌剤だけではなく、同種骨髄移植を施行するのであれば「卵巣遮蔽」なども含め説明する必要(実際はうちの施設ではできあかったので、希望するなら卵巣遮蔽での放射線照射を行っている施設に紹介するといいましたが)はありますが、卵巣遮蔽をするとどうしても再発リスクは少しは上昇します。そういう意味では卵子保存をして、しっかりと照射する(卵巣機能低下による不妊の可能性は否定できませんが)選択肢は重要だと思います。

 

卵子保存、以前も書きましたが「可能性」を残す治療は素晴らしいと思います

 

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