新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

職場の人との会話より:簡単な急性胃腸炎の説明

2012-05-30 21:42:10 | 医学系

さて、これも予約投稿です

 

先日、職場の方が急性胃腸炎になりまして、何故急性胃腸炎は起こるのかと聞かれました。

 

その時のちょっとしたやり取りです

 

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「先生、あのあと近くの病院に行ったら「急性胃腸炎ですね」といわれました」

「そうですね。水様性下痢が続いて、発熱もそれほど高くなくというのであれば・・・」

「なんで、急性胃腸炎は起きるのでしょうか。熱もないのに」

「まず、いくつかの要素があります。まず、胃腸というところから、食事に加えて胃液や腸液というのが出て・・・10lくらい水が入ってくるのですけど、それが何らかの理由で吸収できなかったら下痢になります

「その理由が僕の場合はウイルスだったということですね」

「そうですね。いろいろ菌やウイルスによって吸収できなくする理由は違います。イメージしやすいのは10lの水を本来は吸収できるはずなのに、吸収能力を持つ腸の機能が下がった場合ですね

腸粘膜がダメージを受けたりすれば吸収効率は下がります。仮に腸粘膜が正常でも、通過速度が速くなれば吸収する前に下痢として出ていってしまいます

「腸の機能が落ちていたんですか?」

「まぁ、結果的には落ちていたんだと思います。理由ははっきりとはわかりません。おなかが痛くなったり、軽減したりしたということですから、かなり腸の動きが早かったんだと思います体が防御反応としてウイルスなどの有害なものを外に排泄しようと頑張って動いた結果かもしれません

「腸が逆に頑張りすぎたと?」

「そういう可能性もあります。ウイルスによって腸粘膜がやられていたかもしれません

(要はよくわからないということです。それでも対応が変わらないの、どちらが主因かというのは意識していません)

「なるほど~」

「熱が出なかったのは基本的に消化管というのは『体外』なんです。すなわち血液中に入って来なければ発熱はしないです。膀胱炎とかもそうですね。ただ、胃腸炎なのに熱が出るタイプのものもあります。侵襲性大腸菌とかサルモネラ菌などの腸粘膜を通過してくる・・・、まぁ体内に侵入するタイプの菌ですね。これは抗菌薬を使用する必要が出てくるかもしれません。特に子供は」

「他には」

「抗菌薬という意味なら、血便とかもそうですが・・・。発熱というならノロウイルスやインフルエンザは発熱+下痢のパターンですね」

「対処法は?」

基本的には水分をしっかりとって、下痢が止まるまでおとなしくしていることです。下痢を止めるとウイルスとかの排泄が遅れるので、やらないほうが良いです

「あぁ、今回診てもらった先生にも言われました」

僕は寝る前だけOKと言っています。寝れなくて体力消耗するというのも問題なので

「で、整腸剤とか胃薬で対応して回復するのを待っていればよいわけですね」

「そういうことになります」

「ありがとうございました」

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実際は分泌を更新させるタイプの下痢(腸液などを過剰に出させる・・・コレラとかですね)や、出血による下痢(大量の出血は吸収しきれない)、脂肪の吸収能力が低い人が脂肪分の多いものを食べた後にする下痢などいろいろなタイプがありますが・・・。

 

一日に何回も下痢をするというのは多くの場合はウイルス性などの急性胃腸炎(一言で言ったらお腹の風邪)が一番多いのではないでしょうか。

 

ちなみにストレスなどで生じる過敏性腸症候群などもありますが、この場合は寝ている間は下痢しないという特徴がありますね。ストレス性なので・・・。

 

意識障害が出ているとか、他の症状が何があるのかは大事です。ただ、急性胃腸炎による下痢などが主体であれば水分だけでもきちんと摂取できるかどうかは重要なポイントだと思います。それができなければ入院になってしまうでしょうし、食事ができなくても水分がある程度取れれば普通は入院しないのではないかと思います。

もちろん、年齢や合併症なども考えて対応はしますが。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

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