新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

複数記事:カルテの話と医学部新設

2012-05-10 23:01:49 | 医療

さて、いろいろ書いたので記事の紹介を簡単に

 

 宮城県医師会(嘉数研二会長)は8日、県内での医学部新設に反対する見解を発表した。見解では、「医学部を新設すると、多くの教員確保のために医療現場から勤務医の移動が発生し、医師不足を加速させ地域医療崩壊を決定的にする」などとしている。同県医師会として医学部新設に正式に反対表明するのは初めて。

 同県医師会は2日に開催した理事会で、医学部新設に反対することを決めた。見解では、医学部新設は医師不足や医師偏在の解決にはならないと強調し、「既存の大学医学部の入学定員を増員することで対応するのが適切」とした。このほかに反対する理由としては、巨額な費用が発生し、国の補助金が使われることや、いったん新設すると医師養成数のコントロールが困難になることなどを挙げた。

 同県に医学部は、東北大(仙台市)にしかなく、仙台厚生病院(同)と東北福祉大(同)で医学部新設に向けた準備を進めている。同病院は、キャリアブレインの取材に対し、「勤務医不足を解消するのが、医学部を新設する目的」(医学部準備室)と説明。東北福祉大は、「政府の医学部新設のゴーサインが出た時に対応できるよう、病院と連絡を取り合っている」(広報課)とした。
 

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僕は教員の不足からすぐに医学部新設はどうかと思っている人間ですが、医師数が増えすぎて困るなどということ恐らくないと思います。まずそれほどの医師数は存在していないし、需要と供給のバランスが大きく崩れるとすれば需要が大幅に下がることだと思う。

 

需要がこれから低下するというのは高齢者がいきなり激減するような「全国に広がる感染症のパンデミック」で高齢者中心に多くの人間が死亡する(この場合、医師も死ぬでしょうけど)。災害などで人が減る。

あとは人為的にある程度年を取ったら死ぬのが自然(みたいな本が出ていたような)というような考えが浸透して、高齢者の受診抑制を公共の利益(?)としてやるようになるとか?

普通にやっている限り、医師不足はなくならないと思いますけどね。

 

今の診療報酬だと多くの患者を診ないと経営が成り立たないでしょうから、いろいろ微妙なんでしょうが・・・。だからいびつな制度になっていくのでしょうけどねw

 

 災害時に避難所などで緊急的に治療する際のカルテについて、日本集団災害医学会など3学会が、統一した書式作りを始めた。応援の医師が交代しても患者情報が引き継がれるうえ、地域の拠点病院などが集約して分析することで、感染症など疾病の発生状況を素早く把握できる。学会横断の検討会でカルテに盛り込む項目などを議論し、今年度内の完成を目指す。

 学会は他に、日本診療情報管理学会と日本救急医学会。

 検討されている災害時用カルテの利用期間は、災害発生直後から地元の医療機関が復旧するまでの1カ月~1カ月半程度を想定。被災地では特に感染症の流行が懸念されるため、災害時用カルテには、発熱や下痢の症状を詳しく書き込む項目を設ける見込み。

 近年は電子カルテが普及しているが、インターネットや電話などの通信手段が被害を受けることもあり、災害用カルテは紙との併用も検討する。

 国のまとめでは、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県では、6911の医療機関のうち1474機関で建物に被害があり、377機関が外来患者の受け入れが不可能になったか制限した。一方で4000人以上がけがをし、多くの人が避難生活で体調悪化を訴え、全国から支援に入った医師が避難所を巡回するなどして診療にあたった。

 医師法は、カルテに名前や住所、症状、治療法、診療年月日の4項目を書き込むと決めているが、書式は医療機関によって異なる。このため被災地では、患者の生年月日などが詳しく書き込まれたものから内容に乏しいものまでばらつきが大きく、集計しにくかった。加えて、地域によっては混乱でカルテ自体が引き継がれないケースもあり、応援の医師が入れ替わると患者の投薬情報が分からなくなるなどの問題があった。

 検討会の委員長の小井土雄一・災害医療センター救命救急センター長は「災害時のカルテ統一は長年の懸案だった。今度こそ全国で統一して、現場で確実に連携を取れるようにしたい」と話している。【久野華代】
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これは必要だと思います。
 
忙しい時に最低限必要なチェック項目を列挙して、それを記入したうえで空欄に追加を書けるようにするとかがいいなぁ。本当にTriageが必要な状況だったら、1人1人のカルテを書いていられません

恐らく医療の前線が崩壊しますよ。

 

Triageというのは本来そうならないように需給のバランスを見ながら行うものですが、Triageを行う前線が崩壊してしまえば後半の医療機関も崩壊に巻き込まれて収拾がつかなくなります。それを防ぐのもTriageの役目だと思っています。

 

そうならないためにも簡易的で、必要最低限のことを全員で共有できるようなものを作ってほしいと思っています。

 

 厚生労働省は9日、受診歴など医療分野の個人情報を複数の病院や自治体、介護施設が共有・活用するための法整備について検討を始めた。医療機関同士の連携強化といったメリットと、個人情報保護をどう両立させるかが最大の課題。今夏に有識者による検討結果を取りまとめた後、審議会などでさらに議論を深め、来年の通常国会への法案提出を目指す。
 医療分野における個人情報の取り扱いをめぐっては、同省が医療・介護事業者向けのガイドラインを策定。適切に情報を扱うための組織体制の整備や規則の策定などを求めている。ただ、個人情報保護法が国会で審議されていた2003年当時から、医療や金融のような高いレベルで情報保護が必要な分野は個別法で対応する必要性が指摘されていた。 
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この個人情報との関連が厳しい・
 
けど、これもあると非常に助かる話・。
 

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骨髄増殖性疾患(骨髄線維症)の説明

2012-05-10 21:58:12 | 医学系

さて、最後に骨髄線維症の説明です

 

骨髄線維症、二次性はともかく原発性はめったに見ません。僕は自分で診断した患者はいないかも。骨髄線維症と診断してもだいたい二次性ですしね(白血病とかMDSとか)。

 

よって骨髄線維症として説明した時はないのですな、これが。

 

ですが、僕だったらこういうだろうということで(症例のイメージは研究していた時に診断されていた2人の患者さん)

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○○さんは今回、貧血でお近くの病院を受診されて当科に紹介になりました。診察で貧血の所見と、大きな肝臓と脾臓を認めました。臍を超える大きなものでした。血液検査では白血球が5000/μl、Hbが9.3g/dl、血小板が55万/μlと貧血と若干の血小板の増加を認めました。白血球の中には骨髄芽球と呼ばれる若い細胞が散見され、赤血球には涙滴赤血球と呼ばれる変形した細胞を認めました。

 

この時点で骨髄線維症というものを疑い、骨髄穿刺と骨髄生検を行いました。骨髄穿刺ではうまく吸引ができず、Dry tapと呼ばれる状況でした。骨髄生検では骨が分厚くなり(骨梁の増加)、Azan染色やGitter染色などで著明な線維化を認めました。また、骨髄巨核球の増加も認めました。

 

骨髄線維症の原因として骨髄異形成症候群・真性多血症などの他の血液の病気があるのですが、明らかな血液疾患の合併、それを示唆する所見は認めませんでした

血液(骨髄でないという意味で)で染色体の検査を行いましたが、正常でした。しかし、遺伝子の異常でJAK2という遺伝子の異常を認めました。

以上より原発性骨髄線維症と診断しました。

 

原発性骨髄線維症は血液を作る骨髄というところが固くなり、血液が作れなくなっていく病気です。今回血小板が若干上昇していますが、これは当初血小板を産生する巨核球という細胞が増加していることが多く、それを反映していると思います。

 

この病気はまだわかっていないことも多く、経過も様々です。骨髄移植だけが完治につながる可能性がある治療ですが、高齢者に多いことや低リスク群と言われるグループでは10年以上の生存中央値が得られていることから移植をするかしないかは検討が必要です。中間リスク群や高リスク群では分類にもよりますが中央生存率は数年とされています。しかし、これは年齢や様々な検査データにより左右されるものです。○○さんのことを表しているわけではありません。

 

○○さんは

1、65歳を超えている

2、低リスク群(4つあるリスク分類のどれかで分類)

3、65歳未満、移植可能年齢の中間~高リスク群

 

1,65歳以上であり、同種骨髄移植を行うことは難しいと思われます。日本ではまだ認可されていませんが、諸外国ではサリドマイドやレナリドマイド(レナリドミド)などの免疫調整薬による治療が半数程度の患者さんに有効とされています。また、Jak1/Jak2阻害薬などというものも諸外国では有効とされていますが日本ではまだ行えません。よって、今のところは対症療法(足りないものを補う輸血など)を主体として、追加で貧血に対しダナゾールなどのタンパク同化ステロイドで治療を行っていき、できるだけうまく共存していけるように一緒に頑張っていきましょう。

 

2、低リスク群になっています。これは中央生存期間が10年以上とされており、今すぐ治療に入るのが良いかどうかは不明確なところがあります。慎重に経過を見ながら必要な時に必要な対応ができるように、一緒に歩んでいきましょう

 

3、○○さんは××歳と同種骨髄移植も治療法の検討に入れていく必要があります。

先程も述べましたが高リスク群だと数年の中央生存期間です(それぞれの分類で違うが)。それに対して我々が取れる治療は2つに分けられます。

治療のリスクは大きいが完治を目指す方法、すなわち同種骨髄移植が1つ

治療によるリスクは低いが完治は望めない、共存を狙いとした治療(上の輸血や免疫調整薬など)

 

日本国内では免疫調整薬は多発性骨髄腫以外では適応はないので、基本的に輸血を中心とした治療になります。

 

同種骨髄移植に関してこの疾患に対してまだわからないことも多い。しかし、2001年以降移植による死亡率も減少(統計学的に2001年以降のものが生存率が上昇していることがわかっている)してきており、生存率も改善してきている。

○○さんの年齢を考えると若く、同種骨髄移植を選択した方が良いのではないかと僕自身は考えます。

 

 

(この後、移植の説明までするかどうかは状況次第。すぐに動かないといけない急性白血病ではないので、一度患者さんの様子を見て間を取るかもしれない)

 

この治療法に関する決断は大きなものですので、ご家族とも一度お話をしていただいてまた来週にでももう一度お話しできればと考えています

一緒に頑張りましょう。

 

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こんな感じになるのかな…と思います。

 

僕も骨髄線維症を研究していた時に(あぁ、あれは結局どうなったんだw)、同種骨髄移植できれいに骨髄が改善したのを見ました。不思議なものです。線維化していた骨髄が改善するのだから、体の中のバランスをうまく整える(正常にしてやる)と改善するんでしょうね

 

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骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症)の説明

2012-05-10 21:20:56 | 医学系

追加です

 

先程も書きましたが、コメントの骨髄増殖性疾患について…というところから今度は本態性血小板血症に関して説明です。

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○○さんは、このたび血液のうちの血小板の数値が高くなっているということで、当診療科を紹介受診されました。

この2週間で血液検査、骨髄の検査などを行ってきました。

診断が付きましたのでご説明いたしますと骨髄増殖性疾患と言われているもののひとつである「本態性血小板血症」という疾患です。

 

骨髄増殖性疾患は骨髄という血液を作るところで、血液をいっぱい作ってしまい人の体に不利益を起こす病気の総称です。この病気の中には先ほども述べた「真性多血症」のほかにも「慢性骨髄性白血病」「本態性血小板血症」「特発性骨髄線維症」という疾患があります。本当にまれなものも含めるともう少しありますが、これが主な疾患です。どの疾患もすべての血液の成分を多く作るのですが、主に作るものが異なってきます

 

本態性血小板血症は血小板という「止血」を担当する細胞のがんです。ほかにも真性多血症というものは赤血球のがん、慢性骨髄性白血病は主に白血球が増えるタイプを言います。

 

この血小板というものが無制限に作られる病気ですが、他の血液の数値も増えることがあります。○○さんの血液の数値は白血球が13000/μl、Hbは13.5g/dlと白血球が若干増加しています。しかし、この中に白血病細胞のような異常細胞は認めていません。血小板数は85万/μlと上昇していました。

 

その原因を確認するために骨髄穿刺、骨髄生検を行いました。どちらの検査でも巨核球という「血小板」を作る細胞が増えておりました。しかし、他の骨髄増殖性疾患を示唆する所見(線維化など)は認めませんでした。

JAK2という遺伝子の異常が50%の患者さんに診られるとされておりますが、○○さんは認めませんでした

 

血小板を増やすほかの因子としては感染症などの炎症、悪性腫瘍、貧血などによる増殖刺激があるというものがありますが、感染を示唆する所見はなく、貧血もありません。CRPという炎症を反映する数値も陰性でした。

 

以上より「本態性血小板血症」と診断しました。

 

この病気は血小板が増えることによって「血栓症」を引き起こします。個人的に2回ほど経験がありますが、150万を超えると出血を起こしやすくなります。それ故に当初はアスピリンという血小板のはたらきを抑える薬で血栓症の予防を、数が増え続けると血栓症をリスクも上昇し、さらに出血も起きやすくなるので100万を超えてきたら、飲み薬の抗癌剤を使用して数を減らします

 

基本的に完治させるためには骨髄移植以外にはありませんが、この疾患による死亡率は低く、骨髄線維症や急性白血病へ移行することも少ないので、一般にはそのような治療は行いません。先ほど述べたような「共存」を目指した治療を行っていきます。

 

脳梗塞や出血などを起こさないようにうまく数値をコントロールしながらやっていきましょう。

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こんな感じですかね

 

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骨髄増殖性疾患(真性多血症)の説明(患者さん向け)

2012-05-10 20:26:00 | 医学系

こんばんは

今日も朝から移動してばかりという一日でしたが、雷雨のため急遽仕事が中止となり、昨日よりは早く帰ってきました。昨日よりは疲労度も軽いです。

本日はまずコメントをいただきました、骨髄増殖性疾患に関して書いていってみようと思います。ただし、慢性骨髄性白血病は別物として扱った方が良いと思うので、ここでは書きません。

 

これは僕がいつも骨髄増殖性疾患(今だと骨髄増殖性腫瘍になるのかな)の初診の患者さんに説明している内容です。

まずは真性多血症から

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○○さんは、このたび血液のうちの赤血球の数値が高くなっているということで、当診療科を紹介受診されました。

この2週間で血液検査、骨髄の検査などを行ってきました。

結果は骨髄増殖性疾患と言われているもののひとつである「真性多血症」という疾患です。

 

骨髄増殖性疾患は骨髄という血液を作るところで、血液をいっぱい作ってしまい人の体に不利益を起こす病気の総称です。この病気の中には先ほども述べた「真性多血症」のほかにも「慢性骨髄性白血病」「本態性血小板血症」「特発性骨髄線維症」という疾患があります。本当にまれなものも含めるともう少しありますが、これが主な疾患です。どの疾患もすべての血液の成分を多く作るのですが、主に作るものが異なってきます

 

真性多血症は赤血球を無制限に作ってしまう病気です。イメージでは赤血球のがんです。

本態性血小板血症は血小板のがんであり、慢性骨髄性白血病では全て増えるのですが、白血球の増加がほかの3つよりも著明に多いです

 

真性多血症をは先ほども言いましたが赤血球のがんです。

今回○○さんは 白血球が14000/μlと若干上昇していて、Hbという赤血球の成分が女性の割には17.0g/dlと高いです。血小板の数値は異常ではないかもしれませんが35万/μlと高めの数値です。白血球の増加した中には異常な成分、特に白血病細胞などは認められません。

 

この赤血球の成分ですが、受診されたときにも申し上げましたが他の理由でも上昇します。例えばマラソン選手が酸素の供給量を増やすために高地トレーニングをしますが、そういったものでも増えますし、喫煙でも増えます。肥満気味の人も増えたりしますし、肺の病気などでも増えます。これは酸素が不足気味なので、少しでも酸素の供給量を増やそうとする体の正常な働きによるものです。これを命令する因子にエリスロポエチンというものがあります。時折エリスロポエチンというこの因子を作り出す腫瘍(特に腎臓癌が多い)でも赤血球が増えすぎることがあります。

 

お話を聞いた限りでは、このような生活上の因子は特に認められませんでした

また、今回このエリスロポエチンをはかりましたが正常より低い状態です。正常より低い命令しかでていないにもかかわらず、赤血球の産生が増えている。これは体の中で命令に従わない部分がある、つまり腫瘍性の増殖が起きていることを示しています。

 

診断の確認ために骨髄の検査を行いました。骨髄検査では骨髄穿刺、骨髄生検の両方で赤血球を主体に全ての系列の細胞が増えていました。しかし、俗にいう白血病細胞の増加や異常な細胞は認めませんでした

特に今回は特殊検査としてJAK2という遺伝子に異常がないかを確認しましたが、異常を認めました。この真性多血症という疾患の95%に異常が存在するという遺伝子であり、最新の診断基準では診断基準に入っています。

 

以上の検査結果から「真性多血症」と診断しました。

 

今から病気の説明をしていきます。先程も申しあげましたが、この病気は赤血球が増えすぎることにより不利益を被る病気です。赤血球が増えすぎるとどうなるかというと顔が赤くなり、頭痛やめまいなどが生じやすくなります。これだけであればまだよいのですが、血液が増えすぎるということは、血液がドロドロしているということになります。よって最も怖いのは心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気です。

これを防ぐためにどうするかというと、治療の主体となるのは瀉血と言って「余分な血液を抜くこと」です。男性であれば血液のもう一つの数値である、ヘマトクリッと(Ht)を45%以下に、女性なら42%以下に押さえるようにします。しかし、それだと頻回になりすぎるので状況によっては45~50%くらいにしたりすることもあります。ただ、推奨されているのは先ほど申し上げた数値です。

あとは血栓症の予防として、こちらが原因であるわけではないのですが血小板という別の数値の方を抑える薬を飲んだります。アスピリンという薬ですが、死亡率に差は出ないとなっていますが、出血の増加も認められておらず、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減らすことは判明しています。

年齢が60歳以上、できれば70歳を超えたくらいであれば飲み薬の抗癌剤を併用することがあります。ハイドロキシウレアという薬を使用することが多いのですが、これを用いて治療を行っていきます。できるだけし高齢者に用いるのは二次発癌を避けるためです。この病気は急性白血病になったりすることがもともとあるのですが、この薬を使用するとその確率が少し上昇します。飲む期間が長くなればなるほど当然リスクは増えますので、できれば若いうちは使用しないほうが良いと思います

 

ただ、高齢になると瀉血を頻回に行うことによる身体の負担も大きいです。そういったことも考えるとハイドレア(ハイドロキシウレアの商品名)を使用することでQOLも保てますし、治療効果を維持することができます

 

この病気による死亡の確率は先ほど述べました「血栓症(脳梗塞や心筋梗塞)」によるものと「悪性腫瘍」によるものが半々です。死亡率は年間100人の患者さんがいると3.7人の方がなくなると統計上はなっております。あとは長期化すると白血病のリスクが上昇すること、骨髄線維症を合併することが言われていますが、これはその時になってから考えましょう。今、そのことを気にして治療を行うことは推奨されていませんし、半分以上の人が10年以上生存する(診断年齢中央値は60歳)のに命を縮めることになりかねません

 

今はこの病気とうまく付き合うために、作りすぎた赤血球をうまく調整して脳梗塞や心筋梗塞などを起こさないように気を付けていきましょう。

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治療に関してはアスピリン+瀉血をメインにいく若い人(体力もあるし、瀉血による合併症は少ない。また、抗癌剤や原疾患による二次発癌を考えると…)、ハイドレア+瀉血の高齢者に分かれると思います

 

(2017年に新しく更新しました:僕の真性多血症の説明(患者さん向け、2017年版)

 

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