新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

オーダーメイド化の時代に医師が過剰になるのか?

2012-05-26 21:53:22 | 医療

今日は4時起きだし…お酒を飲んでいるので、記事の紹介を一つして寝ます。

 

CBからです

個別化医療がすべての薬に広がる時代が来る- 医療の「未来」を探る(下)

 個別化医療(オーダーメイド医療)が最も普及しつつあるがん領域。国内でそのきっかけをつくったのが、中外製薬の抗がん剤ハーセプチンだ。がん細胞の表面にHER2というタンパクが発現している患者に効果のある世界で初めての分子標的薬であり、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているスイスのロシュ社が開発した同薬は、がん治療にパラダイムシフトをもたらした。中外製薬が個別化医療を意識した薬の開発に取り組む理由とは―。【津川一馬】

 製薬企業における「個別化医療戦略」は、治療薬と共に、それを使用する上で最適な患者を選択するための診断薬を同時に開発し、現場に普及させることを目指すというものだ。梨契典氏(中外製薬R&Dポートフォリオ部長)は、「高い効果を示す可能性のある治療薬の提供は、医療者と患者さんにベネフィットをもたらす。これは規制当局の目標にかなったものでもあり、保険者としては、患者さんの選択によって無駄な医療費を省くことができる。この4者へのベネフィットが『個別化医療戦略』を推進する理由」と話す。
 もちろん、製薬企業側にもメリットは存在する。これまで「がん患者」とひとくくりにしてきた患者群から、特定の患者を選択して投与することは、マーケットの縮小につながる半面、高い効果や少ない副作用があらかじめ見込める患者を対象に開発を行うことで、開発期間の短縮や、開発コストの低減が見込まれるという。中外製薬が公開している開発パイプラインの8割以上が、個別化医療の戦略にのっとって開発を進めている。

 同社がこの戦略を推進する上で、大きな強みとなっているのが、ロシュ社が抱える世界最大の診断薬部門の存在だ。実際問題として多くの製薬企業は、診断薬部門を持っていないため、治療薬と診断薬を同時に開発するためには、診断薬企業と組む必要がある。ただ、「例えば、製薬企業側がある治療薬をグローバルに展開することを考えていたとしても、それに合わせて診断薬をグローバルに供給できる診断薬企業の数は相当限られる。組む相手の選択と、その後の戦略のすり合わせが難しい」(梨氏)との課題が残る。その点、中外製薬の場合は、グループ内の診断薬部門と自由に共同開発できる体制が整っていることが大きな利点となっている。

■がん以外の領域にも個別化医療の可能性

 
同社のハーセプチンを皮切りに、がん領域では分子標的薬が相次いで発売されており、個別化医療の戦略を掲げる製薬企業は少しずつ増加している。「例えば『肺がん』でも特定遺伝子の変異がある患者さん、ない患者さんが存在しており、今までの疾患分類では済まない状況になっている。さらに、一つの特定遺伝子の変異だけでは薬の効果を予測できない、すなわち、一筋縄ではいかない『ハードターゲット』に対する創薬が必要な時代に入っている」と梨氏は指摘する。

 一方で、がん領域以外の慢性疾患領域では、こうした個別化医療の戦略に基づいて開発され、承認に至った治療薬はまだない。背景には、「慢性疾患領域の場合、一つの薬で7、8割の患者さんが効果を得られることが多かった」(梨氏)ため、効果を予測する診断薬の必要性が、がん領域に比べて低かったという事情がある。

 ただ、すべての慢性疾患領域にこれが当てはまるわけではなく、中外製薬は現在、血中のある分子が多い患者に高い効果が見込まれる喘息治療薬を開発している。「がん以外の疾患でも、疾患の原因となるターゲットが患者さんによって異なる場合があるかもしれない。今の治療分類を超えて、より細分化が進めば、がん以外の領域でも個別化医療の対象になってくるだろう」と梨氏は話す。
 また、慢性疾患の場合は長い治療の中で、薬の予期せぬ副作用が表面化する可能性もある。梨氏は「患者さんを選択する必要のない疾患でも、今後は副作用を防ぐための薬の使い分けが進むだろう」と予測する

■「個別化医療は避けては通れない」

 
「個別化医療戦略」に基づいた薬の開発について、今後の動向をどう考えるか―。梨氏は「治療薬が効くかどうかを見極めるための判断材料となるようなターゲットさえ見つかれば、個別化医療は早々に展開する可能性がある」と話す。実際、がん領域の分子標的薬は臨床試験の開始から上市に至るまでの期間が、従来の抗がん剤の半分程度に短縮した例もある。
 「今後は、基礎研究から見つかったターゲットが、個別化医療の治療薬・診断薬として有用なものかどうか、臨床応用に橋渡しをする臨床研究がますます重要になる」(梨氏)。

 「製薬企業にとっては、個別化医療は避けては通れない道」と強調する梨氏は、こう語る。
 「個別化医療という言葉はいずれなくなり、すべての薬剤が何らかの個別化医療に基づいて使用される時代になると思っている」―。

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前も書きましたが、オーダーメイド化されていく時代の中で医師が過剰になるのはなかなか難しいと思います。

例えば日本人は高血圧が多いですが、原因遺伝子がいくつかある中で特定のものに著効するような薬剤ができたら、当然使用しますよね。この薬が効くのがわかっているのに、複数の薬で対応されるというのは患者さんもいやでしょう。

 

僕も慢性疾患と言われるもの、特に生活習慣病の領域やCOPD(肺気腫や慢性気管支炎など)などでいろいろ起きてくるのではないでしょうか。

 

そうすると必要な知識は馬鹿みたいに増えていくわけです。

 

一つの病気に対して知っておくべき知識が増える。それが今の医療がどんどん複雑になっている原因なんだと思います。

 

これを単純化することは「この病気に対して誰にでも聞く特効薬」が出現することです(例えばCML:慢性骨髄性白血病におけるBcr-abl阻害薬)。そういうものが出てくれば「過去の治療」把握あくまで過去のものになるでしょうが・・・。

 

まぁ今のが適切かは不明ですが要は特効薬が出てこなくては、オーダーメイド化された医療により医師は不足するだろうな~と(ず~っと前から書き続けていますが)思います

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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親族扶養の義務はどこまでか?

2012-05-26 21:10:10 | Weblog

こんばんは

 

今日は朝4時に起きて、また釣りに行ってきました。医師になってからこんなに高頻度に釣りに行ったのは初めてかもしれません。というよりは大学病院にいる間は一度も行きませんでしたし、北海道でも数回しか行ってないですし・・。

 

おかげさまでおいしい魚を食べることができました。まぁ、4時から起きているから、若干眠いのですが。

 

さて、昨日より「生活保護」に関して、いろいろな記事が出ています。

 

 有名芸能人の親族による生活保護の受給が波紋を広げている。

 お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)は25日、母親が最近まで生活保護を受給していたことを東京都内で開かれた記者会見で認め、一部を返還する考えを明らかにした厚生労働省は今後、扶養可能な親族がいる場合は、家庭裁判所での調停を通じ、民法の扶養義務を果たさせるよう自治体に呼びかけるなど、運用を厳格化することを決めた

 「母親は一人で僕と姉を育てた。面倒をみなければならないのに、自分がしっかりしていれば、嫌な思いをさせることもなかった。申し訳ない」。25日午前、河本さんは記者会見で涙ながらに何度も頭を下げた。

 先月、週刊誌の報道をきっかけに河本さんが批判にさらされるようになったのは、息子である河本さんには民法で母親の扶養義務があるからだ。

 河本さんによると、母親は14~15年前に病気で働けなくなり、生活保護を受けるようになった。仕事が全くなかった当時の河本さんにとって、母親を支援する余裕はなかったが、5~6年前から知名度が上がり収入も増えたため、生活費を支援するようになった。

 福祉事務所にも相談しており、違法とはいえないケースだが、援助は一部にとどまり、受給は先月、母親が打ち切りを申し出るまで続いていたという。

 この問題を巡っては、制度の運用や行政側の対応の課題も浮き彫りになった。

 同省によると、生活保護の受給申請があると、自治体は申請した人の親族に生活援助が可能かどうかを照会する。ただ、親族の回答はあくまでも自己申告で、仮に事実とは違う内容を説明されても見抜くのは難しい。また、経済力があっても親族が扶養を断ることは可能で、結局は申請した人の生活が困窮しているかどうかで受給の可否が判断される仕組みだ。

 受給が始まった後、自治体は原則年1回、親族の経済状態を調べ、受給者の扶養が可能かを再検討することになっている。しかし、担当のケースワーカーが確認を怠っているケースもあるとみられ、河本さんのケースでは、調査は約15年間に3回程度にとどまっていた。

最終更新:5月26日(土)9時10分

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 ◇「次長課長」河本母 生活保護受給問題

 片山氏は18日、自民党の世耕弘成参院議員とともに吉本側から事情説明を受けた際に「不適切な受給額を返納し、本人が直接説明すべき」と提案。河本が提案を全て実行したことに、「この制度にもらい得はないと訴える最大の目的は果たした」と理解を示した。

【写真】会見で涙が止まらない河本準一

 年収額の推移を明示しなかった会見内容にも片山氏は言及。「生活保護の“お小遣い化”を是正するためには、仕送りすべき側が、できない理由を極めて詳細に示す資料を出す必要がある」と、今後の制度のあり方に触れたうえで「2日に初めて吉本側から接触があって以来、収入データの提出はいまだにない」と、踏み込みの甘さを指摘した。

 一切の疑問点が払拭(ふっしょく)され、返納がなされれば、「もとより個人が追及の対象ではない」と事態収束に向かう構えを示している片山氏。「ただし、新事実が出てくれば別ですよ」と強調。河本の母親以外の親族の受給状況など不透明な部分もあり、「このことへの追及を緩めないでほしいという大変な反応も来てますので」と、今後も動向を注視する意向だ。

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今回の話でいろいろ考えました。

 

まず、片山氏らがいっている話は正論だと思います。少なくとも十分に親を養う経済力のある人は養うべきである

それは人としてそうだろうと思います・。人間関係が悪くなければ。

 

その一方で2つのことを思いました

 

1、どの程度の経済力がある人は「扶養義務」が発生するのか

共働きでようやく自分たち夫婦と子供を養うような家族がかなりあると思うのだが、どのレベルからは扶養義務になるのだろうか。別々のところに住んでいるだけで、通常予想されるものよりも高額な生活費になると思うのだが?

自民党はそのことも考えているのだろうか。

 

生活保護を誰でも彼でもうけるべきではないと僕も思う。ただ、どの程度から扶養の義務なのかはよく考えるべきだと思う。

 

今回の件では人気芸人の親であり、扶養できるだろうということだと思うが・・・これを機に扶養できないようなレベルの人も厳しく制限されるようになれば、みんなで首をくくるほかないという家族も出てくるかもしれない

 

そういうことは思わなかったのかと言いたい。そういう意味では・・二番目の記事の片山氏の発言が気に入らない。

2、家族の人間関係が悪いところはどうなるのか?

 

民法を細かく確認していないのでわからないが、扶養の義務はどの程度生じるのか?

そう思って調べたところ、こんな質問を見つけました

http://www.seiho110.org/rei/huyou.htm

 

扶養の義務が家族関係が悪いところはどうなるのかなど気になることはいろいろあります。

 

いろいろ気にして調べていたところ、毎日新聞ではこのような記事がありました。

 

 生活保護を受けている母親への扶養義務を果たしていないと批判を受け、25日に記者会見を開いた人気お笑いコンビ「次長課長」の河本(こうもと)準一さん(37)。保護費の一部返納を表明したものの、波紋は広がり、小宮山洋子厚生労働相が生活保護受給者の親族らが受給者を扶養できる場合、親族らに保護費の返還を求める考えも示す事態となった。義務の範囲は叔父やおいなど3親等に及ぶこともあるが、実際には「縁を切った」などと、援助を拒むケースがほとんどだ。専門家は「扶養は当事者の話し合いで決めるもの」として、冷静な議論を求めている。【遠藤拓、袴田貴行】

 扶養義務厳格化、人命に関わる

 民法は祖父母、父母、子、孫など直系の血族と兄弟姉妹について、扶養の義務があると定めている。家庭裁判所が認めれば、叔父やおいなど三親等内の親族に適用される。厚労省によると、各地の福祉事務所は生活保護の申請を受けると、扶養の義務を負った親族に対し、生活保護の受給申請があったことを書面などで伝え、扶養する意思があるかを確かめる。収入や資産も尋ね、受給が始まった後も、年1回の確認事務を行う。

 ただ、回答はあくまでも任意であり、断った当人が罰せられたり、生活保護の申請自体が不利になることはない。どの程度援助の手を差し伸べるべきか、明確な決まりはない。生活保護法には扶養義務を果たさない者に対し家庭裁判所の審判により保護費を徴収できるとの規定もある。

 小宮山氏は「明らかに扶養可能と思われる場合は、家庭裁判所への調停手続きを積極活用する」と語ったが、同省によると、これまでに適用例はほとんどなかったという。厚労省は07年度に扶養義務の履行状況を数十の自治体に調査した。扶養の義務を果たした人は全体の3%だった。

 各地の状況はどうか。「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所が多く、生活保護率が東京都で最も高い台東区。受給者の親族は、ほぼすべてが区外在住者で「家出してもう何十年も会っていない」などと断るケースばかりだ。担当者は「十分な収入があっても、強制する権限がない以上『できない』と言われればそれまでだ」と制度の限界を指摘する。

 ただ、生活に困っても、親族に生活保護の申請が知られるのをおそれ、申請を取りやめるケースは少なくないという。貧困問題に取り組むNPOでは、親族らへの連絡が、生活保護受給を阻む「水際作戦」の一環と化しているとの批判が根強い

 生活保護問題対策全国会議の代表幹事を務める尾藤廣喜弁護士は「扶養をするかどうか、どの程度するかは本来、当事者の話し合いで決めるものだ。扶養義務の適用を厳格化することは『生活保護は受けるな、互いに助け合え』という考え方につながり、人命に関わる。安易な議論は看過できない」と話している。

 ◇問題の経緯

 今回の問題は、週刊誌の報道に端を発し、ネットを中心に物議をかもした。さらに、自民党の片山さつき、世耕弘成の両参院議員が問題を取り上げるなど騒動が拡大。25日に記者会見した河本さんは「むちゃくちゃ甘い考えだったと深く反省しています」と謝罪し、これまで受給した額の一部を返金する意向を示した。

 河本さんによると、病気で仕事ができなくなったことをきっかけに母親が14、15年前から生活保護を受けるようになったという。駆け出しだった河本さんの年収は100万円に満たず扶養できなかった。その後、テレビ番組に出演するなど売れっ子となり、福祉事務所側から母親の援助ができないか打診があり仕送りは増やしたものの、母親に受給を辞退させることはなかった。【袴田貴行】
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この専門家の方の話に同感ですね。
 
恐らく今でも厳しいところは厳しいですし、甘いところは甘く生活保護を受給できるようになっていると思います。
 
Twitterなどで知らばているとそんな話がチョコチョコ出てきます。本当かどうかを確認はできないのですがw
 
ただ、扶養の義務を強制すれば、よほどの経済力のある家族でなければ破たんし、人命にかかわると思います
 
皆さんはどのように思われますか?
 
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

 

 

 

 

 

 

 

コメント (4)
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