「冬の日」
# 1
冬の朝
寒さ湛える外気に
風景は人の吐く息で白い
朝日はまだゆっくりと
山並みの稜線に
空に昇ることを
億劫がっているようで
冷たい水を一口含んで冬の朝
かじかむ手を擦りながら
いつもの駅へ向かう
足どりが運ぶ僕の心は
眠たい毎日に鈍り
寒さは無用の長物と感じている
# 2
針山となった街路樹の通りを
四角いバスは走る
ぎっしりと人を
その体の中に詰め込んで
時々急ブレーキで驚かせ
うつむいて上がる駅の階段
ホームは騒然とした
人の声 電車の到着する音
発車ベル ため息にも満ちて
僕はまた朝からけだるく疲れている
# 3
寒々とした毎日を
当たり前のものとして
受け入れる僕の心は
悲しみも喜びもなく
なんの痛みも感じなくなって
冬の朝
空だけが晴れ上がって
ああ 美しい
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