風のささやき 俳句のblog

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雨 【詩】

2024年10月24日 | 

「雨」

雨傘の向こうであなたが笑っている
雨は、思い通りにはならない
僕とあなたとの間にも、透明な雨がある
今は10月の夜、冷たい雨粒
あなたの傘を握る手も冷たい

雨がどうにもならないこと
それは子供の頃から知っていたこと
叶わない物があることを
てるてる坊主に祈ってみても
叶えてくれないことがあること
自分はお天気男だからと
比較的の確率に縋ってみたりして

雨よ、降ることを止めろと、命令ができない
雨はそんなこと知らんぷりで
酔っぱらっている人の群れに行きあたると
その合間を縫うために、僕らは一列になり
傘の合間に、あなたの傘は挟まれて、一瞬たたむことになって
あなたの肩が、雨に濡れた

それでも笑っている、酔っ払いには少し
腹を立てて、でも、誰にも悪意は
ないことは知っていて
傘は邪魔だ、あなたが顔を伏せて
傘に隠れて、その横顔を見逃してしまう

こんな夜に、雨など降らなければ良いのに
今日は、僕の気持ちが荒んでいた日
色々な事柄が重なって
あなたの顔を見てほっとしていたかった
そんな気持ちは、考えることなく雨は降る

あなたとの間に降る雨は、僕とあなたとを雨傘の分、遠ざけて
それを、鬱陶しく思う僕、雨を好む
木々もいるというのに、それはどんな我儘なのだろうね

どうにもならないことを、どうにかしたいこと
それを我儘というのか、頑張りと言うのか
欲深きというのか、希望というのか
その中身にもよるし、人それぞれが
名付ければ良い事だけれど

上手くいかないことに、人は振り回されて
やがて降りやまない雨を諦めるように
それは、叶わないものだよと、寂しい微笑みを浮かべる
ここからはもう、逃れたくなって
あなたにもっと、寄り添いたくなる



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