風のささやき 俳句のblog

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願い 【詩】

2023年04月27日 | 
「願い」

優しくなりたい
優しくなりたいと、強く思い描いて
眠ったとしたら
目が覚めて一輪の花として
花開くことが許されるといい

一輪のひなげしが
あなたを喜ばせるとしたならば
僕はそのひなげしになりたい
手折られてあなたの
胸に捧げられる

アカツメクサの一杯咲いている野原
その中の一本道を
あなたが足取り軽く
歩いて行くのであれば
僕はそれに従い、髪を遊ぶ
長閑な、春の風になりたい

背の高い向日葵が空をむくように
あなたが夏の空に向かって
背伸びをするのであれば
僕は、その視線の先の雲になって
ほぐれたり、羊のように群れたり
あなたの目を楽しませる

クチナシの匂う部屋
あなたがそっと
カーテンを開けて
夜空をのぞき、溜息をつくのなら
何が心に、重くのしかかっているの
一晩中、明るい月になって
その月光であなたを見守ってあげたい

金木犀は
胸に幸せを運ぶ香り
本当はあなたと
その小さなオレンジの花の下で
手を繋いでずっと
たたずんでいたい
秋はその余韻を
僕らのつないだ手に重ね

優しくなりたい、優しくなれない
でもやっぱり、優しくなりたいと
願い続けるとしたならば
最後にはあなたに降り注ぐ
暖かな陽ざしになれるのだろうか

その時に僕はいない
僕の余韻だけがその光の中にはあって
それは、あなたがくれた幸せ、嬉しさ
透明な沈丁花の甘さ、まとって
あなたの側に、いつでもありたい


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