風のささやき 俳句のblog

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寂しい口笛 【詩】

2024年01月11日 | 

「寂しい口笛」

あなたはその透明な口笛の
寂しい音色を聞く
誰かの耳に届かせるものではなくて
僕の心を通り抜ける隙間風

僕の心はいつから乾いていたのだろうか
ささくれ立った、そうして冬のあかぎれて
枯葉のようにかさかさと、乾いた音でなっている

寒い冬の夜、ひと際冴えた星を一人
見上げて、夜空に吹く、か細い生の基音
何処まで行っても、知る人もいない、遠い場所だ
歩みを挫けさせるには十分の、手がかりのないところに
手を掛けようとして、今日もつくため息のような
口笛は嘆きか、強がりか
自分を宥めるような、心よ、落ち着け
とでも吹くような、弱く震えた音色

聞こえることのない、他人にはと
思っていた、その口笛の音色が
けれどあなたに、聞こえていることを知る
驚きは、その音符を聞いている
あなたも、寂しい、消え入るような、声の歌い手

重なり合うと、寂しさは、和らぎを知り
寂しみ続けて、良い事を知る
人の世は寂しい、語り尽くせぬほどに、けれどそれを
同じ音色で聞いている人よ、そこで
肩寄せ合うこともできて、言葉尽くす、説明もいらない
冬の夜空の遠い、一等星の瞬きも、ちっぽけで
儚い存在だとする、肯い、いつかはたどり着ける心地で
憧れとして見ている、あなたは
僕の寂しい口笛を聞く

歌は素直に、重なり合うことができる
聞こえてくる歌があり、頬を重ね合わせるように
素直に重なり合えば、流れて行く、歌がある



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