boston acousticsで聴いた今日の一枚
strictly powell / bud powell (RCA) * 1956
数々のジャズアルバム・カヴァーの作者として知られているBurt Goldblattが撮ったこの写真は手元がぶれ、しかもどことなく覚束ない。かって超絶的なテクニックを駆使し、「狂気の天才」と謳われたパウエルの肉体的にも精神的にも極限に近い状態を 一瞬のシャッター・チャンスで写し撮っている。そうした彼の嗅覚もまた「狂気」に近いものが有ると言えます。凄いワン・カットだ。以前、紹介した‘the return of howard mcghee ’も彼の作品で、捉える感覚がちょっと違いますね。
本作はパウエルのキャリアの中でも出来は下位の部類というのが、昔からの定説。確かに時折、手の縺れがあり、イマジネーションが途切れるせいか、リフ・フレーズも多めです
けれど、僕の凡庸な耳では、この位がちょうどイイ。ジョニー・グリーンの名曲‘I Cover The Waterfront’(波止場にたたずみ)でテーマに入る前のほんの短いルパートを聴くだけで、イチコロ。
このCDを聴くと、普段は片手ハンドルなのに、いつの間にか両手でハンドルを握っている自分に気づく。いい加減な気持ちに冷水を浴びせられるからだろう。もっとも、車を運転しながらパウエルを聴くこと自体、不謹慎と言われれば、返す言葉もありません。
‘STRICTLY’、良いタイトルです。「天才中の天才」とは、パウエルのためだけにある言葉だろう。
ps 以前、一度、本アルバムをupしたことがありますが、上手く反映されていませんでしたので、再度upしています。