何を演っても名演、ずらりと名盤が行列を成すロリンズの1957年。
その中でまるで埋もれ木のようで、孤独な一枚。
人気者S・クラークの東海岸進出の初陣とキャッチコピーがいくら煽っても虚しく響くばかり。他の傑作に目が行って後廻しのままかもしれない。
以前から気になる事が。
何年か前、あるジャズ専門誌に載った評。評者が購入したCD(デジタルK2マスタリング)が「ジャズの音にしてはおとなしい。もし、RVGだったら良かったのに」とぼやき、冴えない音で聴いた評はややネガティブに書かれていた。まさかこの評だけで「孤独」の存在になったとは思わないけれど、問題は、そうした正規の国内CDが流通している(いた)事実。それと、残念なのは、「音」に不審を持ち、本当の音を確認する努力を怠った事、プロならば、そこまで突っ込んで欲しい。また、RVGが全てではありません。ちょっときつい言い方になってしまったが、そうしないと誤った風評が流れてしまい、本人、リスナーにプラスにならないと思う。
所有する盤はセカンドorサード・プレスのモノラル盤(オリジナルはホワイト・ラベル)。
「おとなしい」とは真逆の「鋼」のような硬質のロリンズのtsが鼓膜を突き破りそうで、クラークのpにしてもBNとは違い輪郭がハッキリした音となっている。ただ、bはややぼやけているが「全体の音」は実に混濁なく「優秀録音」ですね。オリジナルならbもしっかり出ているかも。
だから、たまたま、そのCDが拙かったと言えます。ただ、この時期のリバーサイドの録音はバラツキがあり、同じ録音でもMONOとSTEREOでは極端に違うケースがあるので要注意です。まさか、このCDがSTEREO・ヴァージョン、或いはMONOへミックス・ダウンしているとは考え難いですが・・・・・・・・・
この問題は言い出すとキリがないので、この辺で。
で、内容について「小唄もの」とか「鼻歌まじり」とかのコメントも見受けますが、そんな「柔」じゃありませんよ。恐らくこのCDを聴いた感想でしょう。
このブルー・ラベルのMONO盤の「音」を聴けば、他のts奏者が束になっても、逆立ちしても敵わない1957年のロリンズに圧倒される。
「嘘」と思うか、「信じる」か、機会があれば、一度試してみる価値はあります。聴き方、見方が変わります。
カヴァをちょっと観察すれば、自ずと・・・・・・・・・ タイトルは決して 嘘をついていない。