70年代に入り、ベトナム戦争の停戦、終結に伴いJAZZを取り巻く社会環境も大きく変わり、それまでの反戦、厭世観からくる重め、暗めのものから明るめ、開放的なサウンドにシフトし始め、その代表的なレーベルがC・テイラー率いるCTIとB・シール率いるFLYING DUTCHMANだった。
それと同時にミュージシャン、特に黒人の自立意識が急速に拡大し、トリバー、カウエルが主宰するSTRATAーEASTのような自主運営レーベルが生まれ、注目、人気も博した。そうした流れの中、ts界のホープとして期待された一人がB・ハーパー。ダークなトーンとハード・ボイルドなプレイが当時のスピリチュアル・ブームのなか結構、持て囃された。
左が初リーダー作の”CAPRA BLACK”(STRATAーEAST)、右が2作目”BLACK SAINT”(BLACK SAINT)、ジャズ喫茶で随分、受けたようですが、入手済みながら自分ではそうした実感が無く、ポジティブな聴き方が出来なかったので、M・ローチの一員で来日したステージに確認の意味で出かけた。
初めて生で聴いて驚いたのが、ローチのドラミングの素晴らしさ!
ローチの「正義、正論」のdsには結構、辛口な意見が見受けられるが、いやいや、聞くと聴くとでは大違いですね。そんじょそこらのドラマーとの差は歴然としており、ドラム・ソロなんか、芸術の薫りが漂っていた。
で、少なからず期待していたハーパーはどうか、と言えば、よほど調子が悪かったのだろう、安っぽいブローを連発していた。まさか、そうすれば日本のファンは喜ぶ、と見縊ったワケではないと、思うけれど ・・・・・・・
そうしたネガティブな記憶を抜きにして、改めて聴くと、当時の大きなトレンドに抗するようなBLACKなプレイはなかなか聴き応えがありますが、柔らかさも出てこないと伸びしろが苦しいかな。