些か味気無いカヴァのせいか、それともメンバーから容易に推測できる演奏スタイル、内容なのか、巷での評価、人気はそれほど高くない。恐らくホーク、ベン、其々、単独で良い作品があり、エアポケット状態なのだろう。たまに覘く円盤屋のエサ箱にも安価で常時在庫(国内盤)としてよく見掛ける。
でも、この作品は「B面を聴く」と言うスタンスを取るとグッと価値が上がります。ピアノのイントロの後、サブトーンをたっぷりと染み込ませたベンのテナーが地を這う様に流れ、聴き慣れたメロディを歌い出すと、「あれ、”You’d Be So Nice ・・・・・”はペッパー一択(インストもの)のはずだが?」と怪訝に思う人は少なくないだろう。ピーターソンのブリッジ的なソロの後のベンのtsがまた、良いんだなぁ、ホント、「人誑し(ひとたらし)」ですね。このままでは「す〇こまし」になりかねない、と危惧した?(笑)ホークがマイクを取って換わる、と言った展開が目に浮かびます。
続く、”Prisoner Of Love”も良いし、3曲目”Tangerine”のバラード、二人のソロ、最高です。
日頃、モダンを中心に聴き、それ以前のスタイルのジャズをあまり注視していなく、ある時、あるジャズ・バーでこのアルバムが掛った時、タイトルが分からなかった。その時もA面ではなくB面だったので、知っている人は知っていますね。さすが二人の巨匠、この位、朝飯前の出来かもしれないが、時の審判に色褪せる事なく、未だに鮮度を保っている。
検事の耳で聴く類のジャズではなく、このB面をさり気なく、毎日流すジャズ喫茶、ジャズ・バーは自然と人が集まる気がする。