’TRANQUILITY’でも聴こうかと探していると、これが目に留まった。
ジャズ本でよく取り上げられる一枚だが、不思議なことに自分の周りで「これはイイ」と言う人に出会ったことがありません。
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なんなんでしょうか、このカヴァ。いくら‛VERY COOL’と雖も氷柱を額縁風に見立てる陳腐さ、文字の書体、大きさも無頓着、カラー・コディネートはチンドン屋も裸足で逃げ出すセンス。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ではありませんが、コニッツもコニッツ、頬杖をついて「どお?」だって。ま、ここまでくれば、もうご立派と言うほかありません。
このカヴァのせいでまともに聴いた記憶が全くなく、初めての気分で針を落としたところ、10秒もすると、長年、蔑ろにしていた迂闊さが恥へと変わった。
トリスターノ理論がどういうものなのかよく分りませんが、これは「コニッツ流・ハード・バップ」。でも、BN、PRESTIGE等々、レーベル・キャラで聴かせるハード・バップ作品群と一線を画している。
STORYVILLE、ATLANTIC盤や初期のサブコンシャス・リーばかりにスポットが当たり、VERVEと言えば、野心作'MOTION’の方に目が行くけれど、一枚のレコードとして聴き易さも含めて完成度、充実度では、案外、上位に食い込んでくるかもしれない。
人気曲として知られる‛Kary's Trance’が収録されていたとは知りませんでした。‛INSIDE HI-FI’ではtsと吹き分けていますが、本作ではas一本に絞り、本気度はこちらが上に聴こえます。
オリジナルを2曲も取り入れられたD・フェララ(tp)もコニッツを足を引っ張ることなく好演している。またスタンダード2曲、'Stairway To Stars’、'Crazy She Calls Me’ もメロディの良さに頼り安易に電子レンジでチンしたり、或いはミキサーで切り刻んだりせずにじっくりと煮込んでいくコニッツは、やはり物が違います。
パーカーの‛Billie's Bounce’で〆るあたり、このアルバムに対するコニッツの一本、筋が通った意欲が解るというもの。
国内モノラル盤なのに、鮮度はともかく意外に音が前に出てくる。中でもインドのbが。急にオリジナル盤で聴きたくなりました。
カヴァで随分、損をしている作品かも。尤も騙された自分が悪いのですが・・・・・・・・・
どこがクールなんだよ、と思ってました。
ケリーズ・トランス、こちらのほうがいいですか、そう言われると聴かなきゃ、ですねえ。
安いオリジナルに出会うことを祈りましょう・・・
尤も、絵像が最悪なんですが・・・・・・
中身が良くても、外見がこれじゃ、手、腰を引きますよ。
結局、安値狙いに落ち着きますね。